駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

駅前気象庁では梅雨明け

2011年07月06日 | 自然

 

 この10日ほど、毎朝じっとりと汗をかきながら登院する。確かに曇り空は多いし、時々夜間雨が降る、しかしこの暑さは梅雨明けの暑さだと思う。気象庁に先駆けて、私設駅前気象庁は7月5日関東以西は梅雨が明けた模様と宣言しておきたい。

 この模様というのが味噌で、弁当屋さんに怒鳴り込まれても「いやあ、断言はしていないんですよ」。と申し開きが出来る仕組みだ、青嵐。

 なぜそう思ったかは簡単。昨日、医院の中庭の出来のわるい茄子を見ていて、これは7月終わりの風景だなと思い出したからだ。この暑さ、このなすびの色と葉っぱのしおれ具合は、梅雨時のそれではない。遠い昔、夏休みに入って直ぐ、自転車を漕ぎながらK君の家へ行く道すがら、道端で見た茄子にそっくりだ。

 昨日の午後の暑さ(36C)は異常だった。定期往診に出掛ける矢先、突然息苦しいと呼ばれてやむを得ず掛かり付けでない爺さん(T医院通院中)を往診した。最初に行ってあげようと十五分後に訪れると、爺さんは玄関脇の西日の照りつける四畳半にするめのように伸びていた。軽い認知に難聴の婆さんは、自分に団扇を使いながら、「午前中は台所に座っていたんだがねえ」。と呑気なものだ。窓を開けて、枕元に清涼飲料を持ってこさせ、点滴を繋いで帰る。往診の時だけ呼びやがってと思っても勿論口には出さず、突然呼ばれても今度は来れないからタクシーで来るか救急車を呼んでと耳元で声を張り上げて帰ってきた。

 帰院が遅れ、さぞかし患者さんが大勢しびれを切らして待っているだろうと駆け戻ると、あれあれM婆さんがたった一人ぽつねんと待っているだけだった。余りの暑さに、出足が遅れていたのだった。患者さんは気短医よりもうんと賢い。

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