試合中にゲームのルールを変えられては堪らない。そんなことをされれば公正さが崩れ、ゲームが成立しなくなってしまう。どうしてもルールを変更する必要があれば、シーズン終了後、公開で討議してから行うことになるだろう。それが世の中の常識だ。ところが、医療では試合(診療)中にもかかわらず、どんどんルール(治療方針と治療目標)が変わってゆく。というのは医療にはスポーツのようなシーズンオフは無く、ルールが最新の科学的なデータと治療法に基づいて決まってゆくからである。
一般の人にもなじみ深くなった生活習慣病と言われる高血圧症、高脂血症、糖尿病のルール(診療基準)は、十五、六年前までは十年単位くらいでゆっくりと変更されてきた。ところが、この十年は数年単位で変わってきている。それだけ、臨床のデータが蓄積され、新しい薬が出てきているのである。ルール変更の度に、目標値はより厳しくなり、血圧もコレステロールも血糖も目標値がより低くなった。コレステロールに至っては今までと違う種類のLDLと呼ばれる悪玉コレステロールが主役に躍り出てきた。
より良い予後のために厳しい目標を設定するのは当然とはいえ、その新しい目標値に向けて迅速な対応を迫られる最前線の町医者はなかなか大変だ。というのは今までとちょっと違うことを言わねばならなかったり、場合によって薬や検査を増やさなければならないからだ。新たな要求はいつも、多くの患者さんの抵抗に会う。大丈夫のようなことを言っていたのに、もっと薄味にしろ、もう少し痩せろ、甘いものを減らせ、運動しろと注意されて、なんだか薬も増えて、支払いも増えたりすれば、不審の目が返って来るのは当然かもしれない。
そんなわけで、町医者というのは走っている最中に急にハードルが数cm高くなる、過酷?なレースに出場しているようなものだ。いや、私の仕事にはもっとひどいルール変更があるという声も聞こえそうだが。
一般の人にもなじみ深くなった生活習慣病と言われる高血圧症、高脂血症、糖尿病のルール(診療基準)は、十五、六年前までは十年単位くらいでゆっくりと変更されてきた。ところが、この十年は数年単位で変わってきている。それだけ、臨床のデータが蓄積され、新しい薬が出てきているのである。ルール変更の度に、目標値はより厳しくなり、血圧もコレステロールも血糖も目標値がより低くなった。コレステロールに至っては今までと違う種類のLDLと呼ばれる悪玉コレステロールが主役に躍り出てきた。
より良い予後のために厳しい目標を設定するのは当然とはいえ、その新しい目標値に向けて迅速な対応を迫られる最前線の町医者はなかなか大変だ。というのは今までとちょっと違うことを言わねばならなかったり、場合によって薬や検査を増やさなければならないからだ。新たな要求はいつも、多くの患者さんの抵抗に会う。大丈夫のようなことを言っていたのに、もっと薄味にしろ、もう少し痩せろ、甘いものを減らせ、運動しろと注意されて、なんだか薬も増えて、支払いも増えたりすれば、不審の目が返って来るのは当然かもしれない。
そんなわけで、町医者というのは走っている最中に急にハードルが数cm高くなる、過酷?なレースに出場しているようなものだ。いや、私の仕事にはもっとひどいルール変更があるという声も聞こえそうだが。