多少変化はあると思うが今も診断学では病歴診察検査が不動のトライアングルになっているはずだ。しかしこの組み合わせも長く前線で患者さんを診ていると最善かもしれないが完璧には遠いと思い知らされる。
誤診というのは嫌な言葉だし不正確なので医者は殆ど使わない。最初の見込みが外れることは時にあることで修正できなかったり外れてばかりでは問題になるが、難しい注文に手間取ることは医業に限らない。
初診の感冒様症状の患者さんには数%肺炎、亜急性甲状腺炎、筋肉リウマチ・・など他の疾患が混じっている。直ぐ分かることもあるが分からないこともある。優れた知識に豊富な経験のある医師の方が早く正しい診断に到達できるが完璧ということはない。時間と費用には限りがあるから、経験の浅い医師が自信がないからと長い時間を掛けて診察して検査を数多くしては、患者さんも困るし医療保険が持たない。
そのような診断学にも時代の変化の兆しは感じる。検査が進歩ししかも簡便廉価にできるようになれば、診断学の病歴と診察が縮小し検査の比重が大きくなる。廉価で効率がいいのは良いことだが、折角の知識や経験の意味合いが減るのは老兵には遺憾だ。