昨日夕食がてら映画を見てきた。時間が合ったので「あなたへ」。にした。久しぶりの高倉健、歩き方や肩の線に年齢を感じたが相変わらず格好良い。田中裕子には不思議な魅力があり、薄幸にも健気にどこか少女の面影を留めて可愛らしさを垣間見せながら生きる女性が似合う。高倉健も田中裕子も楽しい家族団欒に縁薄く、哀愁を背中と横顔に漂わせながら、独り静かに生きる姿が地のように見える。
ストーリーは亡くなった妻の遺骨を遺言に従い彼女の故郷の海に還そうと旅に出る男の話なのだが、日本の美しい風景に旅で出会う人物が微妙に絡んでゆく。高倉健自身のための映画のように感じた。
故郷を離れて暮らす、いずれ骨になる日もさほど遠くない人間にはさてどうするかと思わせるものがありました。