駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

新型インフルエンザへの対応

2009年05月17日 | 医療
 神戸市で新型インフルエンザの人人感染が確認された。これは予想されていたことで驚くことではない。持ち込んだ人と今回の感染者との間に複数の人が介在すると思われるので既にウイルスはかなり広範囲に広まっている。患者と接触した人達を虱潰しに調べることは不可能で、調査は属する組織と家族の情報に基づき現在の人員で可能な範囲でよい。行政単位の対応はナンセンス、行政の県単位でなく人が動く圏単位で対応することが必要なのは明白。厚労省はそれを織り込んで指示を出す必要がある。
 新型インフルエンザは毎冬流行するインフルエンザと重症度はさほど変わらない様子であること、新型の割には感染力がさほど強くない、つまり新型でもある年齢以上の人には感染しにくい様子であること(精査中と思う)。インフルエンザウイルスは多湿な夏が苦手なので、大流行しにくいこと。などがあるのは幸運なことで、周知させてパニックを避けたい。
 日本の医療は全国津々浦々で一定のレベルが保たれているし、衛生レベルも高く、国民の清潔志向の十分だし、情報も瞬時に伝わるので、重症化する人は最低レベルに押さえ込める。
 一番怖いのはパニックになって医療機関が麻痺することだ。優先順位を守らせることが重要。過剰な反応、例えば非感染域で一般人が予防的にタミフルを請求するようなことは避けたい。万が一の時どうしてくれると言うのが得意のせりふだが、それは交通事故に会わないようにしてくれと言うのと同じ、そういう人は人に会わないで家に閉じこもっていてもらおう。
 自分だけ助かろうとすると自分も助からなくなる。
 余談:国民を安心させる顔と声を持つのは誰だろう。意外なことだが実は大切。桝添さんも悪くはないが年金で安請け合いをしてきたから信用度はもう一つ。王さんあたりが適任だろう。
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壁が動いている

2009年05月16日 | 世の中
 ベルリンの壁が壊され、バブルに穴があいた1990年頃には八十才が壁だった。二十年後の今、壁は十年後ろに下がり九十才になった。
 開業当初は七十半ばで徐々に老化による症状が現れ八十の声を聞くか聞かないかで寝たきりになったり亡くなられる方が多く、八十を元気で超えられる方は少なかった。いわば八十才が壁だったのだが、この二十年で壁が十年後退し九十才になった感じがしている。
 八十の峠を元気で越えられる方が増えた。そして八十半ばで徐々に老化の自覚他覚症状が出て、九十を前にして寝たきりになったり、惚けたり、亡くなったりする方が多くなった。これは町医者の大まかな感覚で、統計を背景にした話ではない。十年は区切りがよいのでそう感じやすい面もあろうが、かなり実態を反映していると思う。2020年には九十才を越えられる方が増え、壁もさらに数年後ろに下がると予想する。老人医療の対象者の年齢が上がってゆくだけのことで、そのこと自体は長生きするようになったと喜ばしいことだろう。
 しかしこれは想定外のことで、そのための社会の対応策ができていない。環境問題と並び社会の隅々まで変革を迫られている待ったなしの課題であることを国民一人一人が何処まで身に染みて理解しているだろう。高齢化社会あるいは環境問題という言葉には収まりきらない問題で、言葉で上滑りにわかったような感じを持たないように警告したい。何よりも高齢者のサポーターになる人達、悪化する地球環境下で生きて行く人達を権力の場に参加させる必要がある。内閣の平均年齢が五十五才を超えるようなことがあってはならない。女性議員の数をもっと増やす必要がある。
 問題発言:女達は何を手をこまねいているのか。
 場外発言:マスコミの手垢の付いた皮相の見出しに騙されない。親小沢反小沢など相変わらず中身のないレッテル張りに終始している。それに踊らされる民主党議員も居るようでXを呉れてやりたい。岡田の方が小沢に似ているのがわからないとは眼力がない記者達だ。未だましの選択でないのは民主に幸いだ。どちらも麻生より優れているのは、町医者にもわかる。
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校長室でお茶を飲む

2009年05月15日 | 身辺記
 半世紀前、私の年代では小中学校の先生は先生であったし、校長先生は偉い人だった。恩師といえばまず小中学校の先生を思い出す。
 一昨日、中一の健康診断を終えたあと校長室でお茶を頂いた。歴代校長の肖像画を背に、校長と看護教諭を前にして、生徒の健康状態や教育現場の現状について少しお話をした。校長室からは五月晴れの青空と校庭が見え、明るい日差しが入り込んでおり、遠い思い出の中学校そのままだった。
 まさか自分が校長室で校長先生と上座に腰掛け談笑することがあるとは想像していなかったので、毎年のことだが不思議な感慨を覚える。
 アトピー、肥満、不登校、未払い等が昔とは違う問題のようだ。診察時の服装も個人情報保護の風潮から、手間を取るようになったとのこと。学校側から変革を発信することは今の体制では不可能と聞く。昔は多少生活が苦しくても子供の給食費などは親がまなじりを決して納めたと思うが、今は義務教育だろと知らんぷりの親が結構居ると聞いて驚く。甘えの構造までは良いかも知れんが、甘ったれの構造ではいかんともしがたい。多少そんなようなニュアンスのことを申し上げたら、「先生にそう言って頂くと心強い」。などとお礼を言われてしまった。何だか変だ。
 人間形成に最も重要な影響を与える小中学校が筋違いの抗議を恐れ萎縮しているのでは将来が不安だ。鳩山さんが尊敬するというケネディの言葉、Ask notを思い出す。世の中では濃淡はあっても全てが繋がっている。自分に出来ることを診察室で続けることかなと思いながら、校舎を後にした。
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診断書の怪

2009年05月14日 | 医療
 鴻池副長官が辞任した。危機管理能力の無さが主罪、公費濫用が重罪である。一般国民は当然だろうが、医者としても納得いかないのは、健康上の理由という嘘がまかり通ることだ。麻生首相が任命責任と言われても病気じゃあと適当に逃げている。病気が主因でないと認めた河村官房長の方がよほどまともだ。交代したほうがいい。いや交代では上手くゆかない河村首相、麻生議員とし官房長官には女性議員を推薦したい。
 診断書は医者にしか書けずその権威は厚く保護されているが、政治家向けの診断書にはしばしば医者も頭を傾げる。勿論、通常の診断書も科学的範囲内であれば、患者の立場を守るように配慮することがある。例えば来院2日前から嘔吐下痢で寝ていた場合はそれが現状から妥当に推定できれば遡って書くなど。
 今回の場合は野党議員が皮肉るように健康過ぎて?エキストラコースを楽しんだ?様子で、入院が必要な病態とは思えない。なんでそうした診断書を書くのだろうと思ってしまう。
 まあこれほどではないが、患者の言い分通りに書くのを何度も拒否してきた。恐ろしい顔で睨まれたり、捨てぜりふを聞かされたので医者ばかりを責めることもできないと思うが。
 こうした構図はこの国に深く巣くう病態で世論の後押しなしには変わらない。その通りと言われる方は自分の場合も当然と受容する心構えをお願いする。そうでなければ本当の力にはならない。
 ところで、国務を司る人の健康管理には長く疑問を持ってきた。医学はこの30年で長足の進歩を認めている。ついこの間現役で亡くなった小渕さんなどはキチンと健康管理をしていれば倒れないで済んだと思う。表現は適当でないかも知れないが、一流の臨床医に診て貰っている議員は少なそうだ。その点では小沢さんは賢いと言えるかもしれない。
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民主代表はどちらでも

2009年05月13日 | 世の中
 小沢が辞めて次の民主党の代表は誰になるのだろう。岡田と鳩山が下馬評に挙がっているが、あと数日しかないのでどちらかになるのだろう。
 政治活動は皆無だが政治には関心がある。情報源は新聞テレビなど一般のメディアだけだが、政治記者の話を聞いて驚くことはほとんどなく、我々は十分な判断材料を持っていると思う。
 最近痛感しているのは報道に携わる人達の力量の低下だ。私の方が正しいとは言いにくいが、参考にならないどころかミスリードな報道も目立つ。
 鳩山、岡田どちらも麻生とは雲泥の差、勿論優れている。共にリーダの資質がある。鳩山さんは小沢を支えて一回り大きくなった。人をまとめる力は岡田よりも上ではないか。岡田は微かに奇矯な所があるが、政策の展開では鳩山よりも優れているかも知れない。
 両者共信頼に足る人だ。どちらがなっても民主党には幸いだと思う。いつも何処にもいる一言ある人々が挙党態勢を取れるかどうか、問題はそこにあるだろう。
 岡田を小沢の対極のように報道しているが、それは皮相の見方だろう。原理原則で動いてゆくところは至極似ている。何も贈り物を受け取らないと聞いて池田成彬を思い浮かべる記者が何人いるだろう。
 鳩山は自然で丁寧な言葉遣いで育ちの良さがよく分かる。それがもはやひ弱さには繋がらないことに気付いている記者が何人いるだろう。
 もとより特別な政党を強く支持する質ではない。しかし小沢が見抜いた政権交代しか、国の腐敗した部分を取り除く方法はないという思想には共鳴している。

 
 
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