駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

いろいろな人

2009年05月13日 | 世の中
 連休も終わり、毎日毎日患者さんを診る日が戻ってきた。天候や連休などの関係か、忙しさは相手任せで一定しない。小児科や専門性を打ち出している医院では予約性にして受診患者数の平均化を図っているようだが、当院は昔ながらの町医者スタイルで広く浅く内科一般を診療するので高齢者が多く、予約制は無理と諦めている。希だが、祭日に「何で今日は休みだ」。という電話が掛かってくる位だから、予約なんかにしたら受付が爺さん婆さんの問い合わせで困るだろう。
 70%が定期的に通院されている高血圧糖尿病高脂血症などの慢性疾患の患者さんだ。残りは再来初診で年に一二回体調を崩されて受診される患者さん、全く初めての患者さんは日に二三人で多くはない。それでも、もう二万人以上の患者さんを診てきたから、相当な数になる。
 去る者は追わず来る者は拒まずを医院の方針にしている。そのせいではないと思うが定期的に受診されている患者さんも年に数%抜けて行く。他院へ行かれたか自己判断で通院を止めたか、あるいは何か急変で総合病院へ行かれたか、理由は様々だろう。
 何年も診ていると自然に世間話をするようになる。Fさんは五十代痩身のおばさんだ。町中のビジネスホテルの受付をされている。景気が悪く宿泊客が減り、首にならないかとビクビクしていると言う。ホテルの人はよく客の顔を覚えているような気がしたので、「どうやって顔を覚えるの」と聞いたら「私、駄目なの」。と言う。「鍵を渡す時はいろいろ聞いて、確かめてるわ」。なるほど、それじゃ、ちょっと心配だなあと思ったが、口には出さない。「いろんな人が来ますよ。先生もそうでしょうけど」。「そうねえ、困ることもありますよ」。「まあ、いい人は百人に一人ね」。えっと内心驚いたが「患者さんはそんなことはありませんよ」と答えていた。いい人は百人に一人か、ビジネスホテルの受付も大変そうだなあ。
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小沢代表辞任

2009年05月11日 | 世の中
 民主党の小沢代表が辞任の意向を固めたようだ。いかにも残念だ。というのは小沢献金問題というのは、けしからんという人は多いようだが、西松建設献金問題の詳細と意義を聞かれて答えられる人は少数と思われるからだ。
 要するにマスコミの見出しだけで理解しムードで犯罪者扱いをして、結局それが皮相のアンケート結果に表れ、民意のように突きつけられ詰め腹を切るという構図で日本の将来を左右する大事なことが決まってしまった。
 マスコミだけでなく、検察の恣意性にも問題がありそうだ。少なくとも大局的な視野は欠けていた。今、広い意味でメディアリテラシイを涵養しなければ、間違いが起きると思う。
 悪人面?をして、もごもご言っていると犯罪者にされてしまう。間違ったDNA判定が根拠にされたり、強制的に自白させられたりして牢獄に繋がれる。失われた時、傷つけられた人間性を償いようがない。
 一体今日本で何が起きているのか、一人一人にきちんと考えて欲しいと思う。勿論、そうしたおこがましいことはおくびに出さず診療しているのだが、自分で考える姿勢を体したいとは思っている。 
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水際作戦に穴?

2009年05月10日 | 医療
 日本に新型インフルエンザが侵入した。予想されたことで、機内で見付けただけでも凄いと思うのだが、周りにいた人を取り逃がした?と新聞では大きな落ち度があったように報道している。過剰な反応だ。
 水際作戦は確率を下げる効果しかないことを常識ある人達は知っておられると思う。漏れたと大騒ぎするなら得意の鎖国しかない(鎖国しても侵入してくる人は居ると思うが)。
 費用対効果を考えて作戦を考えられるように、記者は誰よりも冷静沈着に取材報道して、いたずらに不安を煽ったり、頑張っている人を非難することは謹んで欲しい。その意味で河村官房長官を見直さねばならない。良く存じ上げず軽い人の起用との印象があったが、感情に流されない話し方は評価したい。桝添大臣は頑張っておられるが、冷静沈着かどうか少々疑問がある。咎めるよりも良案を出す環境を作るのが、主要報道機関の作法と思う。
 穴と言えば諸外国は巨大な抜け穴だらけなのだ。オランダへの入国はフリーパス、マスクなんかしている人は皆無。それがよいかどうかはともかく、きちんとした統計は取れていないだろうなとの感触を受けた。
 統計も眉につばを付けて読み解かなければならない。メキシコでの感染者は発表の10倍は居る。下手をしたら100倍くらい居るのではないか。死亡したり重症だった患者だけが統計に上がっていると思う。アメリカで数倍、日本は今のところほぼ正確と思う。軽い感染者ほど見逃されるので、死亡者は多くても数百人に一人くらいではないかと思う。
 もし日本が世界に誇れることがあるとしたら死亡者を出来れば通常インフルエンザと同等の0.1%、少なくとも最低レベルにすることだ。これは可能で、厚労省はそれこそ最大の知恵を絞って、作戦を展開してほしい。前線レベルになると急に自治体医師会任せなどと言わないように。官僚得意の無責任指令は駄目。
 私の予想を言えば熱しやすく冷めやすい国民性から7月くらいまでは、緊張感が持続かなり上手く対処できるだろう。11月通常インフルエンザがは流行し始める頃が問題だ。はたして今年のインフルエンザ予防注射の中身はどうなるんだろうか。
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ジャガイモ料理

2009年05月09日 | 旨い物
 新しい味、美味しい物に出会うのは大きな旅の楽しみです。オランダはあまり期待しないように言われておりましたので返ってその分、意外に美味しい食べ物に出会えました。
 まずパンが合格ですね。朝食のパンが不味いとがっかりなのですが、これは外れがなく、外れのあるフランスより良かったかもしれません。
 素朴な美味しさに驚いたのがフライドポテトです。日本では要らないのに付いてくる感じで、不味く不要なカロリーと敬遠していましたが、オランダのフライドポテトは日本の数倍の厚さの短冊切りでホクホクして、とても美味しいのです。
 目抜き通りに面して人だかりが出来ている店があり、何だろうと覗くとフライドポテトの出来たてを売っていました。三角の紙包みにこんもり入れ、それにマヨネーズかケチャップを掛けてくれるのです。大中小とあり、小が400円、それでも我々二人には十分な量です。ケチャップかマヨネーズかというので、周りの真似をして(マヨネーズ派が圧倒的に多い)マヨネーズにしました。このマヨネーズが何とも仄かに甘く、塩の利いて温かいフライドポテトに良く合うのです。
 写真がその店なんですが、マネッケンピスと読むのでしょうか、この店は在日オランダ人にはきっと懐かしく垂涎の店なんだろうと思います。
 三十代と四十代とおぼしきマッチョ髭面のおじさんが四人、注文を取る係、盛りつけドレッシングを掛ける係、ポテトを揚げる係に分かれ、忙しげに誇らしげに働いていました。
 そこで私は考えた。日本の料理研究家は一体何をしているんだ。こんなに簡単素朴で旨いジャガイモ料理があるではないか。実はジャガイモ料理の奥は深い。それにジャガイモは栄養的にも費用的にも優れものだ。肉じゃがに私でもできる細かい工夫して、どんなもんだと出すばかりでは芸がない。ジャガイモ料理の本場で勉強して来て欲しいな。
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本物を見る

2009年05月08日 | 
 折角はるばる日本から来たのだからと、アムステルダムの国立美術館で小雨の中を一時間半も並んだ。日曜日だったために混んだらしい。行列している人達の会話からオランダの人よりも東欧や米国の人が多いように思えた。
 賢明と思ったのは、入館者数を制限していることだ。そのため、中に入れば芋を洗うようなことはなく、ゆっくり鑑賞できる。教科書で見た絵を目の当たりにして、その素晴らしさに圧倒された。
 十七世紀オランダの人物画の凄さを写真で伝えることは不可能だ。生きている光を写すことは無理だろう、土門でもどうか。平凡な感想だがレンブラントの迫真に言葉を失った。四百年の時空を超えて、今まさに目の前に栄華を誇ったオランダの人々が生きて集っている。話しかければ返事が返ってきそうだ。
 写実というのは写真以上というか写真を超えている。心象を描いているように思う。いつか見た青い空そしていつか見たあの面影。強く心に焼き付いた光景を再現している。人はそのように見てそのように記憶している映像を目の前にしている思いに囚われる。
 歴史を知っていることや絵の技法や描かれた背景を知っていることは鑑賞を深めるが、感動を変容させることはない。本物を目の前にすれば、何かが心に直に伝わり、感動が湧き上がってくる。
 美なのか真なのか何かはよくわからないが、本物に直に接して外に出ると世界が違って見える。単に出遅れて、残っていた航空券でスキポールに降り立ったわけだが、オランダに来てよかった。
コメント (4)
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