そもそも障子の張り替えなんて思いついたのは、職場で仕事中に受入れたばかりの本をぱらぱらとみていたことから始まる。
平野恵理子『修繕の女王』(ヴィレッジプレス/刊)の中に、雪の結晶模様の障子のイラストを発見した。折しも2階のサッシの窓の内側にある障子は、にわか雨に濡れ茶色くみじめに破れている。これは「ときは今!」という神の、もしくは明智光秀のお告げであろう。早速お告げに従い、おとといから昨日にかけて障子の張り替えを決行した。
ところで障子の張り替えは今まで冬場、大聡怩フ一環として2、3回したことがある。誰に言われた訳でなく、自分の勝手な固定観念なのだった。大聡怩ノ障子の張り替え。きれいな障子でお正月。これだね!
むろん作業の30分後には、激しく後悔することになる。「なにが悲しゅーて、こんな寒い中で障子紙はがして桟を洗わなあかんのやろ。忙しい最中でなかなか乾かへんし」と心中ぶつくさだった。だから次回は必ず夏にリベンジ!!と固く誓ったわけである。いや、誰に対するリベンジかは私にとって不利になるので訊かないで欲しい。
最後に障子の張り替えをしたときに、何より大変だったのは古い障子紙の撤去である。桟に残さず綺麗に除去する。これが大変手間のかかる作業なのだった。
ところが今回、平野さんより大いなる福音をいただく。障子紙をきれいに取り除く製品があるというのだ。その成分は「非イオン系界面活性剤」らしい。
ん? 界面活性剤? それって食器洗い洗剤の成分じゃないのか? と「非イオン系」という接頭語は思い切り無視して、濃いめの洗剤液を作り、紙が桟にのり付けされた箇所をャ塔ンと丹念に濡らしてゆく。全ての箇所に洗剤液が塗られたら、ゆっくりと紙を剥がしてゆく。
んんん?! 面白いようにきれいに取れてゆくではないか! あっぱれでござるぞ!と、思わず会心の笑みがこぼれる。先代の古くしつこい紙ですら、アイスの木のしゃもじで引っ掻けば、あっけなく取れていく。やったね!
こうしてシーズンオフのため3割引でホームセンターで入手した、紙吹雪のような色紙がほどよく散りばめられた障子紙を落ち着いて貼ってゆく。乾かして、余分にはみ出た所をカットすれば完成である。
2階の窓の障子張りがご機嫌に終了したので、翌日おばあちゃんの部屋の大きな障子も1枚張り替える事にしてみた。こういうのは、勢いが大事なのだ。修繕前はべろりんと一部はがれて、お化け屋敷に相応しいような障子が、かわいい五色豆を散らしたような障子に変わる様は、魔法のようである。こうして2枚の障子を張り替える事ができた。
完成すると比喩でなく小躍りして喜ぶ。会う人ごと(もちろん家族だが)に「みてみて~!!」と完成品をみてもらう。皆さん心得たもので内心「どーでもいいしー」と思っていても、私の機嫌を損ねないよう、もしくは落胆を招かないよう、ほどよく反応してくれる。さすがは家族である。
今日職場で一緒に仕事をしていたNさんにこの話をすると、「リンスでもよくとれますよ~」と新たな情報を教えていただく。ああ~リンスという手もあったんだ。「でも、リンスは匂いが強いのがありますから、その辺が難しいんですけどね」と、親切に補足情報も追加してくださったのである。
障子の張り替えで思い出すのは、忘れもしない田辺聖子さんの小説である。(って、タイトル忘れてるやん!) 美人のOLさんが「障子の張り替えに行く」というのを聞いて、意味がわからず怪訝なカオをする美人じゃないOLさん。
その小説を読んで初めて私は「処女膜再生手術」というものが、この世に存在することを知ったのである。しかし果たしてこの手術、いまも健在なのであろうか?(とても健在とは思えないが)
ま、たしかに障子の張り替えみたいなもんかもな。いろんな意味で、いかにもお聖さんがいいそう。うまいこと、いわはるわ、やっぱり。
平野恵理子『修繕の女王』(ヴィレッジプレス/刊)の中に、雪の結晶模様の障子のイラストを発見した。折しも2階のサッシの窓の内側にある障子は、にわか雨に濡れ茶色くみじめに破れている。これは「ときは今!」という神の、もしくは明智光秀のお告げであろう。早速お告げに従い、おとといから昨日にかけて障子の張り替えを決行した。
ところで障子の張り替えは今まで冬場、大聡怩フ一環として2、3回したことがある。誰に言われた訳でなく、自分の勝手な固定観念なのだった。大聡怩ノ障子の張り替え。きれいな障子でお正月。これだね!
むろん作業の30分後には、激しく後悔することになる。「なにが悲しゅーて、こんな寒い中で障子紙はがして桟を洗わなあかんのやろ。忙しい最中でなかなか乾かへんし」と心中ぶつくさだった。だから次回は必ず夏にリベンジ!!と固く誓ったわけである。いや、誰に対するリベンジかは私にとって不利になるので訊かないで欲しい。
最後に障子の張り替えをしたときに、何より大変だったのは古い障子紙の撤去である。桟に残さず綺麗に除去する。これが大変手間のかかる作業なのだった。
ところが今回、平野さんより大いなる福音をいただく。障子紙をきれいに取り除く製品があるというのだ。その成分は「非イオン系界面活性剤」らしい。
ん? 界面活性剤? それって食器洗い洗剤の成分じゃないのか? と「非イオン系」という接頭語は思い切り無視して、濃いめの洗剤液を作り、紙が桟にのり付けされた箇所をャ塔ンと丹念に濡らしてゆく。全ての箇所に洗剤液が塗られたら、ゆっくりと紙を剥がしてゆく。
んんん?! 面白いようにきれいに取れてゆくではないか! あっぱれでござるぞ!と、思わず会心の笑みがこぼれる。先代の古くしつこい紙ですら、アイスの木のしゃもじで引っ掻けば、あっけなく取れていく。やったね!
こうしてシーズンオフのため3割引でホームセンターで入手した、紙吹雪のような色紙がほどよく散りばめられた障子紙を落ち着いて貼ってゆく。乾かして、余分にはみ出た所をカットすれば完成である。
2階の窓の障子張りがご機嫌に終了したので、翌日おばあちゃんの部屋の大きな障子も1枚張り替える事にしてみた。こういうのは、勢いが大事なのだ。修繕前はべろりんと一部はがれて、お化け屋敷に相応しいような障子が、かわいい五色豆を散らしたような障子に変わる様は、魔法のようである。こうして2枚の障子を張り替える事ができた。
完成すると比喩でなく小躍りして喜ぶ。会う人ごと(もちろん家族だが)に「みてみて~!!」と完成品をみてもらう。皆さん心得たもので内心「どーでもいいしー」と思っていても、私の機嫌を損ねないよう、もしくは落胆を招かないよう、ほどよく反応してくれる。さすがは家族である。
今日職場で一緒に仕事をしていたNさんにこの話をすると、「リンスでもよくとれますよ~」と新たな情報を教えていただく。ああ~リンスという手もあったんだ。「でも、リンスは匂いが強いのがありますから、その辺が難しいんですけどね」と、親切に補足情報も追加してくださったのである。
障子の張り替えで思い出すのは、忘れもしない田辺聖子さんの小説である。(って、タイトル忘れてるやん!) 美人のOLさんが「障子の張り替えに行く」というのを聞いて、意味がわからず怪訝なカオをする美人じゃないOLさん。
その小説を読んで初めて私は「処女膜再生手術」というものが、この世に存在することを知ったのである。しかし果たしてこの手術、いまも健在なのであろうか?(とても健在とは思えないが)
ま、たしかに障子の張り替えみたいなもんかもな。いろんな意味で、いかにもお聖さんがいいそう。うまいこと、いわはるわ、やっぱり。