なかなか興味深い記事があったので紹介したい。
テレビ局が日本のアニメを駄目にした
「制作委員会」で制作会社は搾取される
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090901/203914/
まず衝撃的だったのは
> 日本は中国にアニメ制作量で抜かれています
ということだ。
中国産アニメなんて、パクリ疑惑で笑いモノになるようなのくらいしか日本では知る機会がない。
質で負けるなんてことは当面ありえないわけだが、量で既に負けていたというのはかなり驚いた。
たしかに中国は人海戦術やらせたら世界最強の国ではある。
そうはいってもアニメーターなんて誰でもできるような仕事なわけはあるはずもなく、あれはかなり高度な熟練労働だというのはアニメ好きなら誰でも知っておろう。
アニメの場合には量を稼げるというだけで、それなりに熟練労働を供給できるマスがあることを意味しているわけで、単なる軽工業製品でつかわれる人海戦術とはワケが違うのだ。
世間でもアニメなどのコンテンツ産業はこれからの日本をささえる有望な輸出産業の1つだと言われている。
それに比べたら、いまの政府は産業を育てる努力を全く行っていない。
たとえば半導体産業などではMIRAIプロジェクト(※1)という国家プロジェクトがある。
次世代以降の半導体プロセスで必要とされる技術おいて、国が音頭とって企業と連合してハイリスクで開発資金のかかる未来の技術を共同開発し、そして国家の競争力を維持しようとやっきになってやっている。
それに比べたらコンテンツ産業はどうだ?
やっと何かやろうとしたアレも、「アニメの殿堂」だとかバカにされ、けっきょくナシになってしまったじゃないか!
こういうのは競争力を失い始めてから何かやろうとしても遅い。
これからの日本をささえる有望な輸出産業の1つだと言うのならば、国が率先して競争力を維持できる政策を振るうべきだと思う。
しかし日本は「アニメなんてくだらねえ」とか「アニメーターなんてまっとうな職業じゃねえ」とか思われる風潮がかなり強い。
わたしはアニメーターの人たちは尊敬すべき熟練労働者だと思っているが、世間的にはそうではない。
だからコンテンツ産業に国家予算を投入しようとするとすぐケチがつく。
例のアレが正しいかどうかはさておき、現状ではTV局の自称良識派コメンテーターは何をやってもイチャモンつけてきやがるのは間違いない。
いまはこういう製作者側の地位についての啓蒙活動からやるしかなかろう。
そのあとにならないと国が噛むようなことはできはしない。
はたしてそのときで間に合うのだろうか?
それから最近よく聞く話題ではあるが、
> テレビ局が日本のアニメを駄目にした
というのがある。
たしかに今はアニメ製作会社がかなりツライものがある。
そして収益構造からしても、地上波TV局と組むと儲けのほとんどを吸い取られてしまうが、地上波TV放送枠を勝ち取らないと拡販につながらないという、にっちもさっちもいかないジレンマに陥っている。
わたしはTV局を通さないweb配信に最後の期待を託したい気もしないでもないが、web配信のメリットよりも違法アップロードによるデメリットのほうが遥かに大きい。
意外に話題になることがないのだが、かつてTV局に儲けを吸い取られる製作委員会方式、これにメスを入れようとした者がいた。
我らがGONZOだ!
これはGONZOのかつての決算説明会資料を読むとわかる。
GONZOはTV局が1枚も2枚も噛んできて権益をごっそり持っていかれるこの構造を改革しようとした。
具体的には、銀行借入を活用することで、手持ち資金にレバレッジをきかせて自前でほとんど全部をかかえこんでアニメを作るビジネスモデルを構築した。
しかしGONZOの作るアニメは通好みではあっても一般受けしなかった。
制作費を回収できるだけのグッズやDVDの売り上げを得ることができなかった。
しかもレバレッジをきかせたことで収益が不足した分が倍返し以上になって跳ね返ってきてしまった。
結果、GONZOは倒産スレスレになってしまっている。
GONZOの行ったこのビジネスモデルは結果的には大失敗だった。
しかし構造的に欠陥があるものではない。
うまく大ヒットするアニメでこれが使えたのならば、それこそ業界構造を一新させる革命児となった可能性もあったのである。
そもそもわたしはTVは好きではない。
バラエティー番組やニュース番組のレベルの低さにはムカついてくるほどガマンならん。
だがTVアニメだけは例外的に大好きだ。
実はそのアニメにしても、そのTV局にゼニを吸い取られる構造になっているのはあまり気分が良いものとは言いがたい。
GONZOはそれをひっくり返せる唯一かつ最後の希望だったのかもしれないのだが・・・。
【※1 MIRAIプロジェクト】
http://www.miraipj.jp/ja/
テレビ局が日本のアニメを駄目にした
「制作委員会」で制作会社は搾取される
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090901/203914/
まず衝撃的だったのは
> 日本は中国にアニメ制作量で抜かれています
ということだ。
中国産アニメなんて、パクリ疑惑で笑いモノになるようなのくらいしか日本では知る機会がない。
質で負けるなんてことは当面ありえないわけだが、量で既に負けていたというのはかなり驚いた。
たしかに中国は人海戦術やらせたら世界最強の国ではある。
そうはいってもアニメーターなんて誰でもできるような仕事なわけはあるはずもなく、あれはかなり高度な熟練労働だというのはアニメ好きなら誰でも知っておろう。
アニメの場合には量を稼げるというだけで、それなりに熟練労働を供給できるマスがあることを意味しているわけで、単なる軽工業製品でつかわれる人海戦術とはワケが違うのだ。
世間でもアニメなどのコンテンツ産業はこれからの日本をささえる有望な輸出産業の1つだと言われている。
それに比べたら、いまの政府は産業を育てる努力を全く行っていない。
たとえば半導体産業などではMIRAIプロジェクト(※1)という国家プロジェクトがある。
次世代以降の半導体プロセスで必要とされる技術おいて、国が音頭とって企業と連合してハイリスクで開発資金のかかる未来の技術を共同開発し、そして国家の競争力を維持しようとやっきになってやっている。
それに比べたらコンテンツ産業はどうだ?
やっと何かやろうとしたアレも、「アニメの殿堂」だとかバカにされ、けっきょくナシになってしまったじゃないか!
こういうのは競争力を失い始めてから何かやろうとしても遅い。
これからの日本をささえる有望な輸出産業の1つだと言うのならば、国が率先して競争力を維持できる政策を振るうべきだと思う。
しかし日本は「アニメなんてくだらねえ」とか「アニメーターなんてまっとうな職業じゃねえ」とか思われる風潮がかなり強い。
わたしはアニメーターの人たちは尊敬すべき熟練労働者だと思っているが、世間的にはそうではない。
だからコンテンツ産業に国家予算を投入しようとするとすぐケチがつく。
例のアレが正しいかどうかはさておき、現状ではTV局の自称良識派コメンテーターは何をやってもイチャモンつけてきやがるのは間違いない。
いまはこういう製作者側の地位についての啓蒙活動からやるしかなかろう。
そのあとにならないと国が噛むようなことはできはしない。
はたしてそのときで間に合うのだろうか?
それから最近よく聞く話題ではあるが、
> テレビ局が日本のアニメを駄目にした
というのがある。
たしかに今はアニメ製作会社がかなりツライものがある。
そして収益構造からしても、地上波TV局と組むと儲けのほとんどを吸い取られてしまうが、地上波TV放送枠を勝ち取らないと拡販につながらないという、にっちもさっちもいかないジレンマに陥っている。
わたしはTV局を通さないweb配信に最後の期待を託したい気もしないでもないが、web配信のメリットよりも違法アップロードによるデメリットのほうが遥かに大きい。
意外に話題になることがないのだが、かつてTV局に儲けを吸い取られる製作委員会方式、これにメスを入れようとした者がいた。
我らがGONZOだ!
これはGONZOのかつての決算説明会資料を読むとわかる。
GONZOはTV局が1枚も2枚も噛んできて権益をごっそり持っていかれるこの構造を改革しようとした。
具体的には、銀行借入を活用することで、手持ち資金にレバレッジをきかせて自前でほとんど全部をかかえこんでアニメを作るビジネスモデルを構築した。
しかしGONZOの作るアニメは通好みではあっても一般受けしなかった。
制作費を回収できるだけのグッズやDVDの売り上げを得ることができなかった。
しかもレバレッジをきかせたことで収益が不足した分が倍返し以上になって跳ね返ってきてしまった。
結果、GONZOは倒産スレスレになってしまっている。
GONZOの行ったこのビジネスモデルは結果的には大失敗だった。
しかし構造的に欠陥があるものではない。
うまく大ヒットするアニメでこれが使えたのならば、それこそ業界構造を一新させる革命児となった可能性もあったのである。
そもそもわたしはTVは好きではない。
バラエティー番組やニュース番組のレベルの低さにはムカついてくるほどガマンならん。
だがTVアニメだけは例外的に大好きだ。
実はそのアニメにしても、そのTV局にゼニを吸い取られる構造になっているのはあまり気分が良いものとは言いがたい。
GONZOはそれをひっくり返せる唯一かつ最後の希望だったのかもしれないのだが・・・。
【※1 MIRAIプロジェクト】
http://www.miraipj.jp/ja/