菊地晴夫の美瑛写真家日記

美瑛・富良野の旬の情報や、最近の出来事をご紹介いたします。

小麦鮮烈

2010年06月04日 | Weblog
 
光線状態を話題にしていますが、このカットは2011年版(来年用)大型カレンダーに使用している写真です。
まさしく麦秋鮮烈。
オレンジ色に輝く小麦の帯が鮮烈に浮かび上がっています。
もちろんフィルターなどはいっさい使用しておりません。
太陽光線が作り出す「写真の妙」といったところでしょうか。
日中真上にある太陽に比べ、夕方の光は斜めに大気圏を通過してきます。
この長い経路の中で可視光線の青系の光は拡散により減少してしまいますが、残った赤系の光だけは波長が長く遠くまで届きます。
夕日が赤く見えるのはそのためで、この光が朱色に色づいた小麦などを照らすと、それが更に誇張され見た目以上に赤く写るのです。
私の経験からですが、この写真のように暗雲が立ちこめ今にも雨が降りそうな時に、西の雲間から夕日が差し込むような条件が最も赤く色づきます。
また、このような場合1絞りほどアンダーに撮影するのですが、空が明るいと力が抜けてしまい麦畑が誇張されません。
欲をいえばこのカットも、空一面暗雲なら更に力強い仕上がりになったと思うのですが、そこが少し惜しまれるところです。

Hasselblad 503C/W,Sonnar 150mm,1/4sec. f/22 RVP