DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

湖の鎮魂歌(76)

2013-10-10 11:45:11 | ButsuButsu


有職料理というのは、平安時代の宮廷料理に歴史をさかのぼることができるようだ。

大津に、有職旬菜料理を標榜している店がある。

割烹「いと井」だ。

店主は、飯土井さんという。

「ヘンコです」と本人も言うように、頑固なおやじだ。

彼との付き合いも長い。

もともとは、浜大津の長等に店があった。

オプテックスの小林さんに教えてもらって訪ねたのが最初だ。

東大の浦先生と二人で行った時のことを今でも忘れない。

当時、と言っても今から25年ほど前のことだ。

二人ともまだ若かったから、ちょっとした悪のような恰好をしていた。

サングラスをしたままで店に入った。

初めて入る飲食店というものは、それなりに緊張するものだ。

引き戸を開けるとカウンターが見えた。

客はいない。

「空いてますか」と私が尋ねた。

「空いてません」と店主は言った。

「すみません」と言って、私たちは引き返した。

まるで漫才みたいなやりとりだった。

こうして再挑戦を繰り返しながら常連となってしまった。

店主もヘンコなら、客もヘンコだ。

その後、大津駅前に店が移ったが、ついて行った。

飯土井さんは、京都の料亭で修業した。

京風の季節(旬菜)料理を出す。

それが有職旬菜料理らしい。

私が気に入っているのは、鴨ステーキと焼フグと鯖寿司だ。

あと、珍味としては、鮒ずしの頭のタタキがいい。

これは飯土井さんのオリジナルだ。

これまで大津や京都の店をあちこち行ったが、舌の肥えた人には、いと井はお薦めである。

ただ、このヘンコなおじさんからうまいものを食べれるようになるには、20年くらいの付き合いが必要なのかもしれない。

息子さんも板さんだが、親父さんに似てヘンコだ。

二人は喧嘩したり仲直りしたりして、引っついたり離れたりしている。

この二人がいる間は、大津での会食には不自由しないと踏んでいる。

私が生きている限りは、頑張ってほしいと思っている。
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10月9日(水)のつぶやき

2013-10-10 06:04:49 | 物語
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