大学を卒業してすぐ、わけもわからず劇団を立ち上げた。
本番が迫ったある日の稽古前、主催だった私は一度、
「今日はしんどいから、もう稽古を止めよう」と言ったことがある。
本番間際なのに内容も決まらず、逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
結局その日の稽古は中止、
その後の本番はメチャクチャで、
それ以降、私たちが同じメンバーで公演を打つことは無かった。
「あの時『止めよう』って、主催のあなたが言うべきではなかっただろう」と
後で、その中の一人に言われたことがある。
「ショックだった」と彼は言った。
私もその言葉がショックだった。
それから自分で芝居を作る時は、困ったことがあるとその言葉を思い出し、
また逃げ出すんじゃないかという不安を感じつつも、
「もう絶対に逃げ出さないぞ」と自分に言い聞かせた。
あれから十年以上が経つ。
先日、何人かの大学時代の同級生と会った。
十何年の時間を感じさせない、同級生とは不思議で、
四年間一緒に芝居を作った学生生活は確かに楽しかったことを思い出した。
その中にその人もいて。映画監督となった彼は、
私がまだ芝居に関わっていたことが「信じられない」と言っていた。
いつか一緒に仕事がしたいねとも。
十年と少しで、私はどれほど変われただろう。
でも、もしもそんな機会があれば、
今度はぜったいに逃げずにいたいと、特に思う。
あたりまえのことだけど。
本番が迫ったある日の稽古前、主催だった私は一度、
「今日はしんどいから、もう稽古を止めよう」と言ったことがある。
本番間際なのに内容も決まらず、逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
結局その日の稽古は中止、
その後の本番はメチャクチャで、
それ以降、私たちが同じメンバーで公演を打つことは無かった。
「あの時『止めよう』って、主催のあなたが言うべきではなかっただろう」と
後で、その中の一人に言われたことがある。
「ショックだった」と彼は言った。
私もその言葉がショックだった。
それから自分で芝居を作る時は、困ったことがあるとその言葉を思い出し、
また逃げ出すんじゃないかという不安を感じつつも、
「もう絶対に逃げ出さないぞ」と自分に言い聞かせた。
あれから十年以上が経つ。
先日、何人かの大学時代の同級生と会った。
十何年の時間を感じさせない、同級生とは不思議で、
四年間一緒に芝居を作った学生生活は確かに楽しかったことを思い出した。
その中にその人もいて。映画監督となった彼は、
私がまだ芝居に関わっていたことが「信じられない」と言っていた。
いつか一緒に仕事がしたいねとも。
十年と少しで、私はどれほど変われただろう。
でも、もしもそんな機会があれば、
今度はぜったいに逃げずにいたいと、特に思う。
あたりまえのことだけど。