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野鳥・106~ルリビタキ雄3

 ヒタキ科ルリビタキ属の「ルリビタキ(瑠璃鶲)」。そのオスの成鳥の羽は鮮やかな瑠璃色になるが、これは羽自体の色ではなくカワセミと同じように“構造色”の仕組みによるもの。その羽毛は先端のみが青く羽毛を切断すると無数の微小な空気孔があるという。
 ルリビタキのオスが1歳の時の羽は瑠璃色ではなくメスと同じオリーブ色をしているが性的には成熟しており繁殖は可能になる。2歳以上のオスの羽は最終的な瑠璃色になるが、この独特な成熟現象は他の鳥には見られない特徴で世界的にも珍しいようだ。これは遅延羽色成熟=DPM(Delayed Plumage Maturation )と呼ばれ、若いオスがメスや幼鳥に体を似せることによって、力の強いオスとの闘争を避けるためで、異なる色同士では実力差が明らかで無駄な闘争は起こさないと考えられている。ちなみにオリーブ色同士でも縄張り争いがあるが、瑠璃色同士のほうが縄張り争いは激しいようだ。
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アセビ

 小山内裏公園の林縁で咲き始めた「アセビ(馬酔木)」。ツツジ科アセビ属の常緑低木で東北地方以南の山地に自生している。全草にアセボトキシン(asebotoxin)という毒素がり誤食すると嘔吐や痙攣を引き起こすので決して口にしてはいけない。
 多くの草食動物はアセビを食べないため奈良公園など場所によってはアセビが異常に繁茂していることがある。今年1月、宮崎大学と九州大学の研究チームは『九州山地でのシカ不嗜好性植物アセビの繫茂はシカ食害の問題をさらに深刻化する恐れがある』と発表した。その概要はやや専門的だが以下の通り。

●アセビが繁茂している場所と繁茂していない場所の周辺環境と土壌微生物相を比較した結果、光環境は暗くなり他樹種の発芽や成長を妨げる可能性のある腐植の量も増加していた
●さらに土壌微生物相を比較解析すると、樹木の生長等を手助けする外生菌根菌の相対存在量がアセビの繁茂によって減少しており、外生菌根菌と共生する樹木にとって定着しづらい環境になっている可能性がある
●シカの不嗜好性植物のアセビの繁茂で森林の更新阻害が起きていることがわかり、シカ食害による森林の更新阻害をより深刻化する恐れがあることを示していた

 これらの研究成果は、全国で増加しているシカによる食害後の森林で起きているシカ不嗜好性植物の増加と土壌生態系の関係性やそのメカニズムの理解を促進させ、今後の森林管理や生物多様性保全についての基礎的な知見を提供しているとしている。
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