1999年に発表された、かの有名な「人食い」ハンニバル・レクター博士を主人公にしたホラー・サスペンスです。
作者は寡作で有名で、一作一作に非常に時間をかけて執筆しています。
デビュー作の「ブラック・マンデー」が1975年、ハンニバル・レクター博士が初めて登場する「レッド・ドラゴン」が1981年、代表作の「羊たちの沈黙」が1988年、そして、おそらく最後の作品になると思われる「ハンニバル・ライジング」が2006年と、31年間に5作しか出版していません。
どの作品もじっくりと調査して、精密に構成された作品なので、それだけの年数が必要なのだと思われます。
また、すべての作品がベストセラーで映画化もされているので、経済的にも作品を量産して質を下げる愚を犯さないで済んでいるのでしょう。
作品の出来としては「羊たちの沈黙」をピークとしてだんだん下がっているので、1940年生まれの作者の年齢を考えると、今後傑作が生みだされる期待はあまりできません。
この作品では、「レッド・ドラゴン」で生み出され、「羊たちの沈黙」で完成した「サイコホラー」というジャンルと「プロファイリング」という捜査方法は影をひそめ、ハンニバル・レクター博士の嗜好や生活、なぜこの「人食い」の怪物が出現したかに多くの紙数がさかれ、ややもすると冗長な感じさえ受けます。
また、アクションシーンや残酷なシーンが頻出して、心理的に怖い「サイコホラー」というよりは、スプラッター的なホラーといった趣が強くなっていて、「羊たちの沈黙」のファンとしては物足りませんでした。
作者は寡作で有名で、一作一作に非常に時間をかけて執筆しています。
デビュー作の「ブラック・マンデー」が1975年、ハンニバル・レクター博士が初めて登場する「レッド・ドラゴン」が1981年、代表作の「羊たちの沈黙」が1988年、そして、おそらく最後の作品になると思われる「ハンニバル・ライジング」が2006年と、31年間に5作しか出版していません。
どの作品もじっくりと調査して、精密に構成された作品なので、それだけの年数が必要なのだと思われます。
また、すべての作品がベストセラーで映画化もされているので、経済的にも作品を量産して質を下げる愚を犯さないで済んでいるのでしょう。
作品の出来としては「羊たちの沈黙」をピークとしてだんだん下がっているので、1940年生まれの作者の年齢を考えると、今後傑作が生みだされる期待はあまりできません。
この作品では、「レッド・ドラゴン」で生み出され、「羊たちの沈黙」で完成した「サイコホラー」というジャンルと「プロファイリング」という捜査方法は影をひそめ、ハンニバル・レクター博士の嗜好や生活、なぜこの「人食い」の怪物が出現したかに多くの紙数がさかれ、ややもすると冗長な感じさえ受けます。
また、アクションシーンや残酷なシーンが頻出して、心理的に怖い「サイコホラー」というよりは、スプラッター的なホラーといった趣が強くなっていて、「羊たちの沈黙」のファンとしては物足りませんでした。
![]() | ハンニバル〈上〉 (新潮文庫) |
トマス ハリス | |
新潮社 |
![]() | ハンニバル〈下〉 (新潮文庫) |
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