ライトノベルなどを論ずる時に、マンガ的リアリズムという用語が使われることがあります。
それは、一般社会を描写する自然主義的リアリズムではなく、すでに膨大に蓄積されているマンガやアニメに依拠した世界を描写したリアリズムのことです。
それと同じように児童文学にも、児童文学的リアリズムがあります。
数百年に渡って蓄積された膨大な児童文学に依拠した世界を描写したリアリズムです。
一番分かりやすい例は、民話や伝説を再話して創作された作品(松谷みよ子の「龍の子太郎」(その記事を参照してください)など)でしょう。
民話や神話以外にも、グリム童話やアンデルセン、イソップなどの古典の作品世界は、多くの児童文学作品で半ば無意識に用いられています(雪の女王のイメージ、狐はずるいといった動物キャラクターなど)。
最近の魔法ブームの大本は、トールキンの「指輪物語」でしょうが、すでにその原点は知らずに、孫やひ孫のように依拠している作品(児童文学に限らず、ゲームやアニメなども)が夥しい数、存在します。
もっとも、トールキン自体、神話の世界に依拠しているのですが。
こういった古典の世界をもとに創作するのは問題ないのですが、最近の作品(特にディズニーなどの世界的にヒットしたもの)に依拠して創作すると、著作権などの問題を引き起こす恐れがあるので注意が必要です。
文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫) | |
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