1958年のフランス映画です。
武器商人の夫の殺害を愛人から持ちかけられた男(インドシナやアルジェリアの戦争での英雄の元軍人)が、殺人は成功したもののビルから脱出する際にエレベーターに閉じ込められてしまい、すべての歯車がくるってきます。
彼らの退廃と焦燥感(男はエレベーターに朝まで閉じ込められてしまい、女は殺人後に落ち合うはずの彼が現れないので彼を探して一晩中パリの町を彷徨います)に、彼の車を盗んで行きがかりでドイツ人観光客を殺してしまう若いカップルの無軌道さと幼稚さを対比させて描いています。
彼ら(武器商人の夫や腐敗した警察や検察も含めて)の背景には、インドシナ戦争後で、アルジェリア戦争の最中だったフランス社会の荒廃があります。
犯罪自体が行き当たりばったりなのでサスペンスはもう一つなのですが、全編に流れるマイルス・デイビスのトランペット、凝ったモノクロ映像、退廃的な深夜のパリの町、おしゃれな登場人物(モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー、リノ・バンチェラなど、当時のフランスの人気俳優が出演しています)などは今見てもとてもスタイリッシュで、当時弱冠25歳だったルイ・マル監督の名前を一躍有名にしました。
特に、若いカップルの驚くほど行き当たりばったりで刹那的な生き方(現在の日本の若いカップルも同様でしょう)は、彼らと年齢の近いルイ・マルでなければ描けなかったかもしれません。
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