1991年に出版された、人気漫画「ちびまる子ちゃん」の作者のエッセイ集で、これもまたベストセラーになりました。
ここで描かれている作者自身は、本人もあとがきで書いているように、ちびまる子ちゃんに重なる部分もありますが、もちろんかなり違っている部分もあります。
ちびまる子ちゃんもかなり露悪的ですが、このエッセイではそれがさらに生な形で描かれています。
「ちびまる子ちゃん」は、もちろんフィクションです。
このエッセイもかなり事実がデフォルメされていてフィクション的な臭いをしますが、基本的には読者は事実として受け止めます。
こうした露悪趣味が自分自身に向けられている時は、読者も安心して「ちびまる子ちゃん」的に楽しめるのですが、それが他者に向けられた場合は、素直に楽しめない題材もありました。
対象が、父親や夫に向けられている時はいいのです。
あとがきに書かれているように、作者が彼らに愛情を持っていることがわかるので、読者も安心して笑っていられます。
それが、作者が嫌いな対象(祖父、週刊誌)に向けられた時は、単なる悪口、それもかなり辛辣な罵詈雑言とも呼べるような書き方なので、ギョッとさせられます。
あとがきで、これらのエッセイへの読者からの苦情にも触れていますが、そこでは完全に開き直って、そうした読者はあっさりと切り捨てています。
そうしたあたりには、超人気漫画家の驕り(何を書いても許される)と、担当編集者の媚びへつらい(売れているからいいじゃないか)を感じて、不愉快でした。
もものかんづめ (集英社文庫) | |
さくら ももこ | |
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