1954年(私が生まれた年です)に公開された、言わずと知れた黒澤明監督の代表作の一つです。
手に汗握るアクション時代劇でありながら、人生とは何か、生きるとは何か、死とは何か、野武士たちに搾取されている百姓たちの悲しみ、負け戦を転々とする浪人たちの悲しみなどを余すところなく描き出した傑作中の傑作です。
志村喬演じる軍略に通じいつも冷静沈着なリーダー役を初めとして、三船敏郎の百姓上がりの野性児、木村功の育ちの良い若侍、稲葉義男の温厚なリーダーの補佐役、加藤大介のほがらかなリーダーの女房役、千秋実のひょうひょうとしてとぼけたムードメーカー、宮口精二の寡黙な剣の達人と、七人の個性が際立っていて、後のいろいろな映画を初めとしたエンターテインメントで、リメイクされたり(一番有名なのは「荒野の七人」)、模倣されたりしています(フランシス・フォード・コッポラやスティーブン・スピルバーグやジョージ・ルーカスといった面々にも、この映画は多大な影響を与えました)。
見る人によって七人のうちの誰が好きかは意見が分かれるでしょうが、四十年以上も前に初めて見た時以来、私にとっては、作品中で木村功演ずる勝四郎が心酔したように、宮口精二演ずる久蔵が一番魅力的でした。
味方が窮地に立たされた時は常に平然と一人で死地にも赴き、抜群の功績を残しても決して驕らず、「男の中の男」という言葉は、この男のためにあるのじゃないかと今でも思っています。
全編、男臭い映画なのですが、津島恵子演ずる美しい百姓の娘しのと、勝四郎の、身分を超えた激しい恋愛が色を添えています。
七人の侍 [Blu-ray] | |
クリエーター情報なし | |
東宝 |