現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

手塚治虫「火の鳥 復活編」

2024-03-08 11:52:44 | コミックス

 1970年から1971年にかけて、「COM」に連載された未来SF編です。
 「死んだ人間を人工部品を使って復活させる」、「人間の心や記憶を持ったロボットを作る」、「人間とロボットの恋愛」、「ロボットの大量自殺」などを通して、「人間とは何か」、「ロボットとは何か」、「外見と心」、「恋愛とは何か」、「不老不死や死んでも復活すること」など、様々な根源的な問いかけをしています。
 この50年以上前に書かれた作品世界は、AIやアンドロイドや医療技術の進歩により実現が近づいており、作者が投げかけたこれらの問いかけは、さらに重要性を増しています。
 どれも簡単には解決できない問題ですが、作品の後半で、殺された人間のレオナと破壊されたロボットのチヒロが、レオナの記憶がチヒロの電子頭脳(懐かしい言葉ですね)に移植されることによって、サイバー空間(当時はそうした言葉はありませんでしたが)で結ばれるのは、私にとっては大きな救いでした。

火の鳥 5・復活編
クリエーター情報なし
朝日新聞出版

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