1993年から1994年にかけて、女性ファッション誌に連載され、若い女性を中心に今でもカルト的な人気を持つ作品です。
私は、2015年に出たオリジナル復刻版で読みました。
すえた臭いのするよどんだ河口の川べり(川崎あたりを連想させます)にある高校とそのそばの河原を舞台に、異性にも同性にももてるかわいい高校二年生の普通の女の子(ただし、煙草も吸いますし、元彼の強引な求めに応じてセックスもします)を主人公にした学園ものです。
普通の高校生活(学食、教室内、バイトなど)が描かれる中に、暴力、いじめ、過激なセックス、麻薬、ゲイ、偽装恋愛(主人公が、元彼からのいじめをかばっている美少年は、同性愛を隠すために女の子と付き合っています)、男性売春、レズビアン、摂食障害(モデルをやっている下級生のレズビアンの女の子は、大量な食べ物を食べた後でそれらをすべてをトイレで吐いています)、子どもをタレントにして食い物にしている親、援助交際、引きこもり、ボーイズラブの漫画、リストカット、死体、放火、ストーカー、焼身自殺などの一見過激な事件が描かれます。
当時でも、個々の事件はそれほど目新しいものではないのですが、それらを日常的な高校生活と並行して描いているところが、この作品の優れた点だと思われます。
象徴的なのは、かなりかわいいとは言え普通の女の子である主人公を、暴力的で麻薬の売買をやり変態的なセックスもする元彼、男の子からはいじめられて女の子たちからはもてている新宿二丁目で男性売春をしている美少年、モデルやタレントをしている有名人だが親たちに食い物にされていて摂食障害になっている美少女といった、かなりデフォルメされた主要な登場人物たちが、全員彼女が好きでやすらぎ(時にはそれがセックスやレズビアンとして表現されているとしても)を求めている点です。
また、これらの過激な内容を、あまり緻密には描かずに、ラフでソフトなタッチで描いているので、あまり生々しくなっていないことも成功の理由でしょう。
全体的には、バブル崩壊後の閉塞感とノストラダムスの大予言(当時は若い世代を中心に真面目に信じている人たちがたくさんいました)に象徴される世紀末の退廃的な雰囲気を漂わせています。
ただ作品のところどころやあとがきに書かれている作者の直截的な言葉に対しては、読み手によって好き嫌いが分かれるところかもしれません。
また、25年も前に書かれた作品なので、LGBTに考えかたに関してはかなり古さを感じさせられます。
残念ながら、児童文学の世界では、当時このような作品は描かれませんでした。
しいていえば、岡崎とほぼ同世代の長崎夏海(「A DAY」や「マイ・ネーム・イズ……」の作者)などにはこういった作品を書ける資質があったと思われますが、当時の児童文学業界は出版バブルが崩壊して多様な作品を出す余裕がありませんでした。
そういった意味では、コミックスのマーケットの方がはるかに巨大なので、いろいろな作品を発表できるダイナミック・レンジの広さを持っていた(今ではさらにその差は広がっています)と思われます。
私は、2015年に出たオリジナル復刻版で読みました。
すえた臭いのするよどんだ河口の川べり(川崎あたりを連想させます)にある高校とそのそばの河原を舞台に、異性にも同性にももてるかわいい高校二年生の普通の女の子(ただし、煙草も吸いますし、元彼の強引な求めに応じてセックスもします)を主人公にした学園ものです。
普通の高校生活(学食、教室内、バイトなど)が描かれる中に、暴力、いじめ、過激なセックス、麻薬、ゲイ、偽装恋愛(主人公が、元彼からのいじめをかばっている美少年は、同性愛を隠すために女の子と付き合っています)、男性売春、レズビアン、摂食障害(モデルをやっている下級生のレズビアンの女の子は、大量な食べ物を食べた後でそれらをすべてをトイレで吐いています)、子どもをタレントにして食い物にしている親、援助交際、引きこもり、ボーイズラブの漫画、リストカット、死体、放火、ストーカー、焼身自殺などの一見過激な事件が描かれます。
当時でも、個々の事件はそれほど目新しいものではないのですが、それらを日常的な高校生活と並行して描いているところが、この作品の優れた点だと思われます。
象徴的なのは、かなりかわいいとは言え普通の女の子である主人公を、暴力的で麻薬の売買をやり変態的なセックスもする元彼、男の子からはいじめられて女の子たちからはもてている新宿二丁目で男性売春をしている美少年、モデルやタレントをしている有名人だが親たちに食い物にされていて摂食障害になっている美少女といった、かなりデフォルメされた主要な登場人物たちが、全員彼女が好きでやすらぎ(時にはそれがセックスやレズビアンとして表現されているとしても)を求めている点です。
また、これらの過激な内容を、あまり緻密には描かずに、ラフでソフトなタッチで描いているので、あまり生々しくなっていないことも成功の理由でしょう。
全体的には、バブル崩壊後の閉塞感とノストラダムスの大予言(当時は若い世代を中心に真面目に信じている人たちがたくさんいました)に象徴される世紀末の退廃的な雰囲気を漂わせています。
ただ作品のところどころやあとがきに書かれている作者の直截的な言葉に対しては、読み手によって好き嫌いが分かれるところかもしれません。
また、25年も前に書かれた作品なので、LGBTに考えかたに関してはかなり古さを感じさせられます。
残念ながら、児童文学の世界では、当時このような作品は描かれませんでした。
しいていえば、岡崎とほぼ同世代の長崎夏海(「A DAY」や「マイ・ネーム・イズ……」の作者)などにはこういった作品を書ける資質があったと思われますが、当時の児童文学業界は出版バブルが崩壊して多様な作品を出す余裕がありませんでした。
そういった意味では、コミックスのマーケットの方がはるかに巨大なので、いろいろな作品を発表できるダイナミック・レンジの広さを持っていた(今ではさらにその差は広がっています)と思われます。
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