現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

手塚治虫「鉄腕アトム」

2024-03-14 09:35:43 | コミックス

 私が生まれる前の1952年(前身の「アトム大使」は1951年から1952年まで)から、中学生になっていてすでに漫画を卒業していた1968年までの長期にわたって、少年マンガ月刊誌の「少年」に連載されたロボットSF漫画です。
 私は、少年漫画週刊誌世代(私自身は少年サンデーを家で取ってもらっていました(当時は近所の本屋が配達してくれました)が、近所の友だち二人と交換で回し読みをして少年マガジンと少年キングも読んでいたので、当時出版されていた少年漫画雑誌はすべてカバーしていました。
 少年ジャンプは1968年(週刊誌になったのは1969年)、少年チャンピオンは1969年(週刊誌になったのは1970年)からなので、すでに私は漫画を卒業していて、本屋での立ち読みで人気漫画(少年ジャンプは「ハレンチ学園」や「男一匹ガキ大将」など、少年チャンピオンは「あばしり一家」や「夕焼け番長」など)を読むぐらいでした(Hな漫画と喧嘩の漫画ばかりですね)なので、当時は鉄腕アトムの漫画自体はほとんど読んでいませんでした。
 しかし、1963年から1966年まで、日本初の30分テレビアニメシリーズとして絶大な人気(視聴率30%以上)を誇っていたので、当時小学生だった私にとっては、伊賀の影丸(その記事を参照してください)と並んで最大のヒーローでした。
 当時の私の下敷きや筆箱には、他の男の子たちと同様に、アニメのスポンサーだった明治製菓のマーブルチョコレートなどのおまけに付いていたアトムやウランちゃん(アトムの妹、今考えるとすごいネーミングですね)のシールやマジック・プリントがベタベタと貼ってありました。
 それにしても、アトムが誕生するはずの2003年は、1960年代の小学生にとっては遠い未来でしたが、あっという間に過ぎ去ってしまいました。
 同様の感慨に浸ったのは、1984年(ジョージ・オーウェルの「1984年」)、2001年(スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」)の時を今でも覚えていますが、2019年にはついに「ブレードランナー」(その記事を参照してください)の時代になってしまい、その30年後を描いた「ブレードランナー2049」(その記事を参照してください)が2018年に公開されました。
 現実は、それぞれの優れた作者たちが描いた未来世界とはかなり違った世界になってしまいましたが、「鉄腕アトム」も同様です。
 お馴染みの空飛ぶ車や巨大なコンピューターはご愛嬌ですが、アトムが原子力エンジンで動く設定には、福島原子力発電所の事故を経た現在では、やはりギョッとさせられます。
 当時は、原子力についてもっと楽観的で、放射能も制御できると考えていたのでしょう(作者に限らず、私も含めて大半の人が同様だったと思います)が、人類はあまりにも無知でした(今もあまり進歩していませんが)。

鉄腕アトム(全21巻+別巻2巻セット) (SUNDAY COMICS)
クリエーター情報なし
秋田書店

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