この作品も、作者が第二次世界大戦でフランスに駐留していた時代に書かれた作品です。
題名とは全く無関係に、ダンスパーティーに参加するために、トラックの荷台で待っている自分も含めて34名の兵士のうち、定員が30名のために参加できない4名を選ばなければならないリーダーの軍曹の心の動きを、行方不明になったと連絡のあった弟を心配する気持ちに心を乱されている様子も含めて、克明に追っています。
ストーリーらしいストーリーは、受け入れ役の中尉がどうしても帰りたがらない1名のために例外を設けてくれるぐらいで、読者にとっては題名との関係も含めて非常に読みづらいものになっています。
ただ、主人公の軍曹の名字がコールフィールドで、弟がホールデン、妹がフィービときては、どうしても「キャッチャー・イン・ザ・ライ」(その記事を参照してください)との関連を考えざるを得ません(「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の主人公のホールデン・コールフィールドにもD・Bという歳の離れた兄がいます)。
ストーリー的なつながりは特に見出されませんが、この三人の人間関係は全く同じように思えるので、この作品もまた「キャッチャー・イン・ザ・ライ」の原型の一つと考えてもいいと思われます。
サリンジャー選集(2) 若者たち〈短編集1〉 | |
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