現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

エーリヒ・ケストナー「子どもの読み方はちがう」子どもと子どもの本のために所収

2024-11-15 09:13:31 | 参考文献

 ここでケストナーが言っているのは、同人誌の合評会などでよく議論される「大人の読みと子どもの読みは違う」ということではありません。
 子どもが読書しているときの没入の深さのことです。
 私自身も、子どものころは、好きな本を読んでいるときには、まわりはまったく見えない、音も聞こえないぐらい深く物語の世界に入り込めました。
 そういった経験は、三十代半ばぐらいで終わってしまったように記憶しています。
 その代わりに、自分の子どもが、学校から本を読みながら帰ってきて、家の前に私が立っているのにまったく気が付かずに、玄関へ向かっていったことを経験しました。
 その本は、吉川英治の三国志でした。
 今の日本で、そこまで没入できる児童書はどのくらいあるでしょうか?
 おそらく、マンガやアニメやゲームの方が、そういった経験をさせてくれることでしょう。
 ただ、海外では、その後も同じような読書体験を目撃したことがあります。
 サンフランシスコ国際空港に着いたとき、レンタカー会社の迎えのバスの中で、まわりのことに一切関係なく、ひたすら分厚い本を読みふけっているアメリカ人(たぶん)の女の子がいました。
 その本は、ハリー・ポッター・シリーズの新刊でした。

子どもと子どもの本のために (同時代ライブラリー (305))
クリエーター情報なし
岩波書店

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