広島シティーオペラ《タンホイザー》終演・・・
厳しくも楽しい巡礼の旅でした。。。
オファーを頂いたのは2月9日深夜!
昨年ではありません、今月の話です(笑)
そう、本番まで僅か17日間しか残されていない段階での代役オファーでした
そもそも日本国内でタンホイザー役を歌った経験を持つテノール、しかもパリ版、ドレスデン版、折衷版(二期会でも一幕はパリ版、二幕はドレスデン版・・・だったかな?)と、少なくとも2パターン存在する作品なので、「どの版を歌った経験があるのか?」というところも含めると簡単に代役が見つかる役柄ではありません。
トゥーランドットのカラフ、ボエームのロドルフォ、椿姫のアルフレード、これらの代役を探すのとはわけが違うのです(;´Д`)
代役を引き受けるにあたり学んだことは、「ピンチはチャンス」っていうのは結果論であり、
最後のフレーズを歌いきるまでずっと「ピンチはピンチ」でした笑
幕が降りた後に感じたことは「やっと終わった~」という安堵ではなく、もっとこうしたかった、もっとああしたかった、もっとおぞましく、もっと狂気に・・・というタンホイザーさながら欲に塗れたものでした笑
今回の公演、実は西日本での初めてのワーグナーということ!
しかも市民オペラでこのレベルの舞台を作り上げたことに驚きを隠せません(;´Д`)
まずオーケストラに至っては、楽譜の入手が最初にして最大の難関だったとのこと!
それもそのはず、そもそも国内の市民オペラ団体でタンホイザーを上演した団体は、広島シティーオペラが調べた限りでは見つからなかったと。。。
それはつまり、「オーケストラスコア」を入手することが困難を極めるということを意味しています。
しかし実際の演奏はそこからスタートしたとは思えないほど完成度の高いものでした!
歌いながら何も違和感は感じませんでしたし、舞台に聴こえてくる音の波、うねりも素晴らしく、1音たりとも的外れな音はありませんでした( ・∀・)
演出家、飯塚励生さんの作り出す世界観は奇を衒ったものではなく、初めてワーグナーを観劇する地元の方を物語の世界へ没入させるに相応しいもので、オペラに対するイメージを「より親しみやすいもの」に変化させたと感じました。
二幕第4場、歌合戦にてビーテロルフ(左)と睨み合うセリホイザー
そしてそのマジックに大きく貢献したのが舞台衣装!
衣装は地元、広島市内にアトリエを構える「愛型女帝Costume Studio」さんが、オールハンドメイドで100着(以上?)を制作し、物語をよりファンタジーに彩り、舞台に立つ人物を浮き立たせてくれました。
※愛型女帝Costume Studioさんから掲載許可頂いています
この愛型女帝Costume Studioさんが手掛けた衣装のデザインが素晴らしいのは写真から伝わると思いますが、それにとどまらず機能面で非常に優れています!
まず大前提としてオールハンドメイドで、且つ「舞台上で動き回ること」を前提に作られているため、ストレッチの効いた素材を用いており、通気性もよく吸湿性にも優れその上洗濯可能(ここ重要!)なのです。
舞台演出は衣装だけではなく、大道具さん、小道具さん、照明さん、ヘアメイクさんたちの功績は言うに及ばず、裏方をまとめる司令塔舞台監督、舞台スタッフの皆様の協力、連携プレイによって無機質な箱は物語の舞台へと変化を遂げるので、各々の役割に優劣など存在しません(歌手陣含め)。その空間に共存する全員が、己のベストを尽くそうと歯を剥き出しにしているのが「現場」なのです( ー`дー´)キリッ
さて、次にセリホイザーになれるのがいつになるかはわかりませんが、僕にとって初めてのタイトルロールであったこの役を、滅多に上演されない作品にもかからわず2度も歌うことができたのは何かの運命かと思いますので、今後はレパートリーとして持っていこうかな~っと思います(今から1ヶ月以内だったら準備期間1週間の超特急オファーでもいけそうな気がする笑)
あ、それと今回のヘアセットは地毛ですので、セリホイザーをご入用の際はカツラのご用意はいただかなくて大丈夫です笑
ヴェーヌス役羽山弘子さんと
タンホイザー男祭り
広島シティーオペラ事務局長、井口さんと
一幕、三幕に登場してくれた小池バレエスタジオの皆さんと
新幹線まで見送りに来てくれた二人を撮る芹澤と
撮られた芹澤
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