録画していた『神様がくれた時間』を見ました。
「殺風景な病室ではなく、思い出のしみついた自分の家で死にたい」食道がんを患った映画監督・岡本喜八に、妻・みね子は在宅介護を決意した。がんの告知から300日、夫婦はどのような思いで毎日を過ごしたか。夫の死から2年、ようやく妻はその間の気持ちを語れるようになった。妻のインタビュー、介護日記、そして、監督と縁の深かった本田博太郎、大谷直子による再現ドラマを交え、介護の日々を静かに見つめる。(
番組サイトより)
監督と妻・みね子さんとの出会いから現在までのエピソードを、インタビューと介護日記で紹介。本田博太郎さんと大谷直子演じる再現ドラマが流されます。
あ、半落ちのときの裁判長だ~!・・初めはそんな余談も考えながら見ていたのですが・・
このお二人が、余りにも自然なので、再現ドラマだということを忘れてしまう程でした。
もう最後は泣きながら見ました。
あるとき、監督がみね子さんを見つめ、「どなたですか?」と尋ねます。
自分の存在が分からなくなる。
人の話やテレビや映画では、そういうことは何回も聞いています。でも実際に経験したときの辛さは・・
これまで介護の大変さについて、なんてことないくらいサッパリとした口調で話していたみね子さんの声が震え、初めて涙がこぼれました。
そして、見ていて一番辛かったのは、次女の方が留守番をしていたときのこと。岡本監督が娘さんに相談をするところです。
「好きな人ができた」
「いま、犬の散歩に行っているんだ。素敵なひとなんだ」
「結婚してもいいか?」
今、こうして綴っていても、涙が次から次へと溢れてきます。
でも、もう一度好きになってもらえるなんて、みね子さんは、きっと何度でも監督と結ばれるのだと思います。
この300日、特に残り時間が分かって、この家から一歩も出ないでいようと決意してからのふたりだけの45日間は「神様がくれた時間」だった・・
『四日間の奇蹟』で、真理子が言っていた「神様がくれた時間」。
人々に平等にそんな時間は与えられないと思うけど、でも、本当は誰にも与えられるものかもしれません。