防府青年会議所創立55周年記念講演が開催されました。講師は『五体不満足』などの著書で知られ、現在は東京都教育委員も務める乙武洋匡さん。
「チャレンジ精神を忘れずに~自分に出来る事を考え行動を起こそう~」
会場の定員は500名(先着順)でしたが、1000人以上もの方が来場されたため、隣の建物の小体育館にプロジェクターが準備されました。(並べられた椅子は500)
自分自身の子育てのこと、小学校教員として勤務された3年間での子どもたちとのこと、東日本大震災やまた今年の冬の東京での大雪のときのこと、「自分のできること」を常に考えて行動されてきているというお話でした。
自分には実にわかりやすい「言い訳」がある。「できない」といえばみんなが納得してくれる非常にわかりやすい言い訳が。
でもそれを言い訳にしたくないし、自分はできて当たり前だと思うと言われていました。(もちろんできないこともたくさんあり、たくさん助けてもらっているとも)
最初は手も足もない自分のことをドキドキしながら見ていた子どもたち、友達も同じ、最初は自分と「違う」ところを見ていたはずなのに、つきあううちにそれが「違わない」に変わり、思わず「同じ」くらいに思ってしまう。
下駄箱のところで、上靴のサイズがどうのこうのと話していたクラスの女子たちの側を、車椅子でスーッと通りかかったとき「乙武先生、靴のサイズいくつ?」と聞かれたそうです。
「先生靴はかないんだ~」
聞いた子も「(あっ・・)」となりながらも、もう足が無いとかそういうことが全く気にならなくなっていたのだろうと思います。
スタッフの人とのエピソードも、「講演会で香川県に伺ったとき、道後温泉の街を散歩していたときのこと。スタッフが『時間まだあるから、足湯に行きませんか?』と。いやぁ僕が入ったら半身浴になっちゃいますから」と。
乙武さんは、実は子どものころいろいろなことができるたびに「すごいね」と誉められていた。それは嬉しいことなのだけれど、でも自分はできることが当たり前に思っていたので、誉められるとなんだか下に見られているようで嫌だったといわれていました。今はもうそんなふうに思うことはないそうですが。
確かに、私たちもプロ野球の始球式に出られた画像を見せていただいたとき、あんなにボールが投げられるなんてすごい!と思いましたが、でも乙武さんにとっては「自分でできること」の一つなんだから、特に「すごい」ことではないのでしょう。
できそうもないと勝手に決め付けている私たち、乙武さんの言われる「非常にわかりやすい言い訳」を、勝手に思い込んでいるだけなんですね。
乙武さんはご自分のことを「石橋をたたいて渡るという言葉がありますが、自分はそこに橋があるかどうかも確認せずに渡るくらい」と言われていました。
かなりのチャレンジ精神ですよね。
現在では東京新宿区において、地域のコミュニティを広げるためにNPOを創立し活動を始められたそうです。
まずはごみ拾いから。
そんな活動に、前回はホームレスの人たちも参加されたそう。行政主導ではこうはいかないような気がします。
笑顔が印象的な乙武さん、生の声を聞くことができて、よい時間が過ごせました。ありがとうございました。