なんだいきなり。おまえ、ホテルで倒れてたんじゃなののか?
C「で、アンコールトムのあとに合流したのか?」
クマル「ホテルに迎えにいってあげた、まるで女神のようなクマだから」
C「で、どこに向かったんだ?」
チャ「トレサップ湖」
クマル「ほんとはアンコール遺跡の中でももっとも古い建築で、プリア・コー様式ってのを見に行こうかと思ったんだけど、もう歩きたくなかったからチャイロ系ちゃんの意見に乗っかりまスた」
C「おまえ水萌えだもんな?」
チャ「ぼくは地元の人間の生活がわかるところが好きなんだなぁ。朝走った道も、まったくのジモティだったし」
Google Mapsで見ると、もっと舗装されたいい道あるんだけど、トゥクトゥクのドライバーによって、そういう道を嫌うヒトもいるよね 理由はわからないけど
C「おい、そこ大丈夫なのか? ネットではいろいろ悪い噂を聞くぞ」
クマル「それはヒトそれぞれの感じ方じゃないかなぁ ぼったくられたと思ったらそのヒトはそれ以外に感じようがないし、水上生活者がどれほど大変かわかれば、そんなの当たり前だと感じるヒトもいるだろうし」
C「てことは、ぼったくられたのか?」
クマル「そう感じるかどうかは、みんなの判断に任せる」
チャ「すごいよね。この湖に1115家族が住んでるって書かれてある」
クマル「ガイドの話だと、3種類の国のヒトたちが住んでるっていってた。カンボジア人とベトナム人と、あとなんとか人」
C「なんとかってなんだ!?」
チャ「雨季は12000k㎡の12mの深さで、乾季だと250k㎡の1.50mなんだって。で、ヒトビトの生計は漁業オンリーだった書かれてある」
クマル「そんだけ湖の面積が違くなるんだったら、当然住所もないわけよね」
チャ「どんな生活なんだろう?」
クマル「それをいまから見るんだべさ!」
C「ビリーってだれだ!?」
チャ「ぼくたちについたガイドさん。名前を聞くの忘れたので、ぼくたちが勝手にそう呼んでます」
クマル「チャイロ系ちゃん、ビリーに惚れられたから」
C「そうなのか?」
クマル「船の舳先に座って、なにやら話し込んでた」
チャ「水上生活者の説明を聞いてたんだよ」
C「なんか水汚いな」
チャ「でも、この湖には200種類以上の魚が生息してるんだって。琵琶湖ですら50種類なのに。雨季に水の中に水没する森があるんだけど、そこがかっこうの産卵場所になるみたい」
クマル「またまた、そんな話ばっかじゃないでしょ きみの肌の色はカンボジア人の女性にモテるだとか、んなこと話してたのこっちは聞き逃さなかったから」
チャ「……」
C「飲み会!?」
チャ「ビール安く買ってもらったしね。あれ、観光客が買うとぼったくられるみたい。それにいいことも聞いたし」
C「いいこと?」
チャ「うん。ビールの蓋がまだプルタブじゃないやつがあるんだけど、それにアタリがあることを教えてもらったんだよ」
C「てことはハズレもあるのか?」
チャ「うん。で、ぼくたちの買った6パックのビールのうち、3本がアタリ」
C「アタリが出るとどうなるんだ?」
チャ「もう1本。だから3本得する計算なんだけど、今回はレストランに持ち込みで飲んだので、1本分は寄付したんだよ」
クマル「どやらそれはジモティのニンゲンしかしらない情報らしい」
チャ「そう。いちばん最初の夜に入った店でも、同じビールだったのに、そのこと教えてくれなかったもんね」
クマル「日本人が団体で来たけど、土産物冷かして、とっとと帰ってったよな」
チャ「たぶん、不衛生だから食べるなっていわれてんだと思う」
C「それなのに食ったのか?」
クマル「これ、ものすげータンパクなんだけど、お通しのマンゴーのピクルスといっしょに食べると、めっちゃうまいのな」
チャ「ビリーから教わったんだけどね」
C「臭くないのか?」
チャ「臭みなまったくなし。なんかの本で読んだんだけど、カンボジアの魚料理は内臓をとったら、まず塩で徹底的に洗うんだって、だから臭みがないんだって読んだ記憶がある」
C「もちろんその湖の水で洗うんだよな?」
チャ「ビリーにおもしろいもの見せてもらったんだけど、なんて石かビリーもわからないらしいんだけど、カンボジアでとれる石で、水をキレイにしてくれる石があって、湖の汚れた水でもその石で表面をなでるだけで、水が分離して汚れが下に、キレイな水は上にって分かれるのを実演で見せてくれたんだよ」
クマル「あれはおもしれかった」
クマル「クマルは平気だったけどね」
クマル「さっきの子どもが使ってたハンモック、実はこの蓮の茎を切り裂いて乾燥させたものを編み込んで作ってあるんだって。この店でも売ってたけど、おそろしく頑丈なハンモックだった」
チャ「作り方もビリーが実演で見せてくれたんだよ」
クマル「ありえなくない? 結局東南アジア最大級の湖来ても、外国人といっしょに飲んでいても、チャイロ系ちゃんって、上野で飲んでるときのスタンスと変わりないから」
C「おまえは違うのか?」
クマル「アテクシ、そんじょそこらのクマと違うから」
C「それだよ、いろいろ書かれてあるの!」
チャ「トゥクトゥクのおじさんにも注意されたけどね。寄付を要求するのは大抵ベトナム人だから注意しろって」
クマル「カンボジア人だろうがベトナム人だろうが関係ないから 親のない子どもたちが困ってたら、それはだれかの助けがいるから」
C「でもそいつは、法外な請求があるんだろ?」
クマル「現金じゃなくって、ライスを買ってあげる仕組み。30ドルのライス買ってあげた」
チャ「おそらく売る側とガイドがそこからマージンとってるけどね」
クマル「あたりまえぢゃん! 水上で暮らすむずかしさを聞いてたでしょ! それをペン1本1ドルは高いとかいってる日本人のほうがおかしいでしょ 海外にまで来て遊ぶ金があるのに、ケチくさいこといって、それをぼったくりだとかブログに書いちゃってるほうがどうかしてるから! 親の愛情もなく、夜は蚊の大群に襲われ、貧しくてひもじくて、寂しさに餓えた子どもたちに、手をさしのべられないニンゲンに、とやかくいう資格ないから!!」
クマルさん、エライ!!
ちなみに、クマルといっしょに写したときは、こんなに笑顔じゃないから
*写真をするのはビリー本人の承諾を得ています
つづく
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