今まさに、図書館から宮内 悠介さんの『盤上の夜』を借りて読んでいたので、受賞のニュースを見て嬉しくてたまりません。
読んでみると、思いがけないほど硬派のSF作品でびっくりしました。六つの短編中、一話目の『盤上の夜』は、以前長男の持っている『年刊SF傑作選』で既読だったのですが、”囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋・・・対局の果てに、人知を超えたものが出現する。”と、表紙裏に書かれた紹介文のとおり、どのお話も人間の精神の仕組みの不思議さを描いた、素晴らしいお話ばかりでした。
二話目の「人間の王」は、小川 洋子さんの『猫を抱いて象と泳ぐ』を、六話目の「原爆の局」は、映画『未完の対局』を思い出しました。特に『未完の対局』は三國連太郎さんが素晴らしくて・・観ながら泣きすぎて頭痛がしたくらい泣きました(苦笑)
私は頭悪いので、次々に先読みをして、膨大なデータを記憶して戦う、将棋やチェスや碁などのゲームをされる方たちを、ほんっとに尊敬しているんです。その方たちに漠然と抱いている「人間の脳を超えて、次へいく存在」というイメージが、そのまんま文章になったようなのと、作者さんがそれぞれのゲームに対する敬意を持って書かれているのを感じられて、私には心地の良い物語ばかりでした。
SFという形を味わいつつ、人間の魂の戦いが読める良作です。SF大賞受賞、おめでとうございます。![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hakushu.gif)
★「日本SF作家クラブ/ 【速報】 日本SF大賞・日本SF評論賞決定」
( http://sfwj50.jp/news/2012/12/nippon-sf-taishou-hyouronshou.html )より引用
2012年12月8日、徳間書店会議室に冲方丁、貴志祐介、豊田有恒(選考委員長)、堀晃、宮部みゆき各氏をお迎えして行われた第33回日本SF大賞選考会において、月村了衛さんの『機龍警察 自爆条項』(早川書房)と宮内悠介さんの『盤上の夜』(東京創元社)が日本SF大賞に、伊藤計劃×円城塔さんの『屍者の帝国』(河出書房新社)が特別賞に選ばれました。
• 月村了衛(つきむら・りょうえ):1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒。在学中、清水邦夫、高橋玄洋に脚本・演劇を学ぶ。卒業後、予備校講師として現国・古典・漢文の教鞭を執る。1988年、『ミスター味っ子』で脚本家としてデビュー。代表作に原作・構成・脚本を務めた『ノワール』『神秘の世界エルハザード』、他の脚本執筆作に『天地無用!』『少女革命ウテナ』など多数。2010年、『機龍警察』で小説家デビュー。
• 宮内悠介(みやうち・ゆうすけ):1979年東京生まれ。1992年までニューヨーク在住。早稲田大学第一文学部卒。在学中はワセダミステリクラブに所属。海外を放浪したり麻雀プロの試験を受けたりと迷走ののち、プログラマに。2010年、「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞最終候補となり、選考委員特別賞である山田正紀賞を受賞。ひきつづき盤上ゲームを題材とした短編を書きつぎ、2012年に連作短編集『盤上の夜』として刊行、第147回直木賞候補になった。
• 伊藤計劃(いとう・けいかく):1974年、東京都生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。翌年、人気ゲームのノベライズ『メタルギア ソリッド ガンズ オブ パトリオット』とオリジナル長編『ハーモニー』を刊行。翌2009年3月没。享年34。没後、『ハーモニー』で日本SF大賞、星雲賞日本長編部門を受賞。その英訳版でフィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。
• 円城塔(えんじょう・とう):1972年、札幌市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年、『オブ・ザ・ベースボール』で文學界新人賞を受賞。同時期に『Self-Reference ENGINE』でデビュー。2010年、『烏有此譚』で野間文芸新人賞。2011年、『道化師の蝶』で芥川賞を受賞。同年、早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
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読んでみると、思いがけないほど硬派のSF作品でびっくりしました。六つの短編中、一話目の『盤上の夜』は、以前長男の持っている『年刊SF傑作選』で既読だったのですが、”囲碁、チェッカー、麻雀、古代チェス、将棋・・・対局の果てに、人知を超えたものが出現する。”と、表紙裏に書かれた紹介文のとおり、どのお話も人間の精神の仕組みの不思議さを描いた、素晴らしいお話ばかりでした。
二話目の「人間の王」は、小川 洋子さんの『猫を抱いて象と泳ぐ』を、六話目の「原爆の局」は、映画『未完の対局』を思い出しました。特に『未完の対局』は三國連太郎さんが素晴らしくて・・観ながら泣きすぎて頭痛がしたくらい泣きました(苦笑)
私は頭悪いので、次々に先読みをして、膨大なデータを記憶して戦う、将棋やチェスや碁などのゲームをされる方たちを、ほんっとに尊敬しているんです。その方たちに漠然と抱いている「人間の脳を超えて、次へいく存在」というイメージが、そのまんま文章になったようなのと、作者さんがそれぞれのゲームに対する敬意を持って書かれているのを感じられて、私には心地の良い物語ばかりでした。
SFという形を味わいつつ、人間の魂の戦いが読める良作です。SF大賞受賞、おめでとうございます。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/hakushu.gif)
★「日本SF作家クラブ/ 【速報】 日本SF大賞・日本SF評論賞決定」
( http://sfwj50.jp/news/2012/12/nippon-sf-taishou-hyouronshou.html )より引用
2012年12月8日、徳間書店会議室に冲方丁、貴志祐介、豊田有恒(選考委員長)、堀晃、宮部みゆき各氏をお迎えして行われた第33回日本SF大賞選考会において、月村了衛さんの『機龍警察 自爆条項』(早川書房)と宮内悠介さんの『盤上の夜』(東京創元社)が日本SF大賞に、伊藤計劃×円城塔さんの『屍者の帝国』(河出書房新社)が特別賞に選ばれました。
• 月村了衛(つきむら・りょうえ):1963年生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒。在学中、清水邦夫、高橋玄洋に脚本・演劇を学ぶ。卒業後、予備校講師として現国・古典・漢文の教鞭を執る。1988年、『ミスター味っ子』で脚本家としてデビュー。代表作に原作・構成・脚本を務めた『ノワール』『神秘の世界エルハザード』、他の脚本執筆作に『天地無用!』『少女革命ウテナ』など多数。2010年、『機龍警察』で小説家デビュー。
• 宮内悠介(みやうち・ゆうすけ):1979年東京生まれ。1992年までニューヨーク在住。早稲田大学第一文学部卒。在学中はワセダミステリクラブに所属。海外を放浪したり麻雀プロの試験を受けたりと迷走ののち、プログラマに。2010年、「盤上の夜」で第1回創元SF短編賞最終候補となり、選考委員特別賞である山田正紀賞を受賞。ひきつづき盤上ゲームを題材とした短編を書きつぎ、2012年に連作短編集『盤上の夜』として刊行、第147回直木賞候補になった。
• 伊藤計劃(いとう・けいかく):1974年、東京都生まれ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。翌年、人気ゲームのノベライズ『メタルギア ソリッド ガンズ オブ パトリオット』とオリジナル長編『ハーモニー』を刊行。翌2009年3月没。享年34。没後、『ハーモニー』で日本SF大賞、星雲賞日本長編部門を受賞。その英訳版でフィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。
• 円城塔(えんじょう・とう):1972年、札幌市生まれ。東京大学大学院博士課程修了。2007年、『オブ・ザ・ベースボール』で文學界新人賞を受賞。同時期に『Self-Reference ENGINE』でデビュー。2010年、『烏有此譚』で野間文芸新人賞。2011年、『道化師の蝶』で芥川賞を受賞。同年、早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。
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