風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

アメリカ

2009-01-22 01:50:47 | 日々いろいろ

みなさま、こんばんは。
無職なのをいいことに、昨夜はオバマ氏就任式をリアルタイムでみてしまいました。


ぼやーっとテレビを見ながら、はじめてワシントンDCへ行ったときのことを思い出しました。
大学時代、南部の大学に数ヶ月ほど交換留学したときです。
何時間も車で田舎道を走って、突如あらわれた巨大な建物。
延々延々と続くその壁に仰天し、運転していたアメリカ人になんなんですかこれ!?と聞いたら、「ペンタゴン!」と楽しげに言っていたものでした。
夕方だっただけに、ほんと不気味だった。。。


ところで、日本にいると、白人と黒人の間の壁が実際にはどれほどのものか、いまいち想像しにくいですよね。
当時、渡米前は「ケネディの時代じゃあるまいし、今は大したことないんじゃ」と正直思っていたのです、私。
ですが、すくなくとも十数年前の南部では、その想像は甘かったです。


わたしが通った大学は、わりと裕福な家の子供たちが通う大学で、たしか学生は白人が黒人より少し多いくらいだったとおもいます。
表だってはみんな仲良くしているんですが、実際の友人関係をみると、100%と言っていいくらい、白人は白人同士、黒人は黒人同士でしか友達になってはいませんでした。
ですから、大学のカフェを見渡しても、白人のグループと黒人のグループ、それぞれがそれぞれのテーブルで談笑しているような状態です。
街も、白人が主に住んでいる地域と黒人が主に住んでいる地域がかなりはっきりとわかれていました(貧富も)。


ある日、ランチを食べにカフェへ行ったところ、なんだか雰囲気がおかしい。
ふと見ると、壁に大きな(南北戦争の)南軍の旗がかかっているではないですか。
人がいないときに誰かがかけたのでしょう。
緊張した居心地の悪い空気のなか、学生たちは黙々とランチを食べていました。
私と友達も。
そこに、ハサミを持った黒人の男子学生がすたすたと歩いてきて、無言で旗をおろし、びりびりにやぶきました。
その様子を黙って見守っていた学生たちでしたが、誰かが拍手をしたのを皮きりに、カフェテリア中が拍手喝采となりました。
、、、ではあったのですが、よく観察すると、拍手をしているのは黒人全部と白人学生の一部なんですね。
真ん前で起きているその様子に一度も目を向けず、周りの喧騒が一切聞こえないかのように会話を続けている白人学生のテーブルが、少なからずありました。
そのことに、旗そのものより、びっくりしました。
彼らの感情が差別だったのか、差別とはもうすこし違う感情だったのかはわかりません。
当時、逆差別も問題になっていましたし。
もしかしたらもっと理性的な理由だったのかもしれません。
いずれにしても、いまだに両者の間にこれほど明らかな溝があるということに、正直おどろいたのでした。


旗を破いた学生はたまたま知り合いで、大江健三郎を愛読している男の子でした。
「大江は素晴らしい!君は読んだことがあるか?」と聞かれ、ノーベル賞もとったこの作家の作品を一作も読んだことがなかった私は、なんとも情けない気持ちになったものでした。良いも悪いも、読んでないことには話もできない。
ちなみに、いまだに読んでいません^^;


そういう国で選出された初の黒人大統領。
イラク、アフガニスタン、100年に一度の経済危機に直面しているこの国の国民が、こういう大統領を選んだ。
そのパワー。
テレビをみながら、あぁ、アメリカだなぁとおもいました。
これからのアメリカ。
たのしみですね。