「榎木津はね、あれはあれで、榎木津と云う面を被って暮らしてるんですよ。何も被ってないように見えるし、本人もそう振る舞っているけれど―――あれはそう云う面なんですよ」
(京極夏彦『百器徒然袋―風』)
京極堂が語る榎さんの魅力その2(違)。
普段は互いに馬鹿だ阿呆だと罵り合っている彼らですが、すごく榎さんのことを理解しているんですねー。ほんと羨ましくなるなぁ、この人達。あたり前ですけど、友達は数じゃないですよね。
榎さんだけでなく、きっと誰もが皆、それぞれの面を被って生きているのだと思います。
「あれはね、他人のことなんかどうでもいいと思っている代わりに、他人が自分をどう思っていようが関係ないと思っている。そう云う腹の括り方をしているから、あれだけ傍若無人に振る舞えるんですよ。他人に好かれたいとか自分だけ好い子になろうとか思ったら、あんな馬鹿な真似はしないでしょうに」
(京極夏彦『百器徒然袋―風』)
榎さんって、シリーズが進むにつれ着々とぶっとんでいっているような気がする。。
とはいっても、やっぱり格好いい榎さん(奇人だけど)。
その魅力は、ここで京極堂が言っているようなところにあるのでしょう。
そんな彼は、実は3人(榎さん、関君、京極堂)の中で一番繊細な人なのではないかなと思います。
(京極夏彦『百器徒然袋―風』)
榎さんって、シリーズが進むにつれ着々とぶっとんでいっているような気がする。。
とはいっても、やっぱり格好いい榎さん(奇人だけど)。
その魅力は、ここで京極堂が言っているようなところにあるのでしょう。
そんな彼は、実は3人(榎さん、関君、京極堂)の中で一番繊細な人なのではないかなと思います。

「人は人を救えないよ、関口君。僕は神や仏ではなく、人だ」
「しかし、神も仏も」
「そうだ。嘘っぱちだ。だから人は他人に騙されるか自分を騙すか、そうでなければ―――」
自分で自分の目で現実を見て自分の足でその場所に立つしかないんだと、私の友人はそう云った。
「傷の手当ては他人にも出来るさ。でも手当てをしたってそれで傷が治る訳じゃない。本当に傷を治すのは傷を受けた当人だ。当人の肉体だ。傷は自分で塞がるものなんだ。手当てと云うのは傷を治す手助けに過ぎないし、時に傷を受けるより痛いものだ。治るか治らないか、それは当人次第だ。そこは他人には手出しが出来ない処なんだよ。それは君が」
一番能く知っているだろう。
(京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』)
今更ですが、京極堂はいい男ですねー。。。
千鶴ちゃんは幸せものだなぁ。
でも、彼は新婚旅行先でまで本ばかり読んでいたそうですが。。。さすが世間の常識にとらわれないだけあります。
あらためて、関口君と京極堂の友人関係は本当にいいですね。
お互いがお互いをよく理解してて。一見京極堂が一方的に関口君に与えているようにみえるけど、彼も関口君からもらっているものが沢山あるのだと思います。で、そのことをお互いが分かってる。これに榎さんを加えた学生時代からの3人組のもつ空気は、すごく心地いい。
そして3人とも、世間からは変人と呼ばれているんですよね(笑)。
「能く、世間の立派な人は未来は自分で選ぶんだと云いますけど―――未来なんてものは選べないんだと思うんです。自分で決められるものじゃない。でも、過去は選べるんですよ、きっと。どの過去を選ぶかで、今が変わる。今を一番良くする過去を、きっと京極堂は選ぶんです。こうするべきだ―――とか、こうしなければいけない―――とか、それって思い込みであって、別に真実じゃないです。正しいとか間違っているとか、それは全部一定のルールの中でしか通用しないことじゃないんですか。だから、社会の中の正義はあっても、個人の中に正義なんてない。皆、思い込みを信じて自分勝手に生きてるだけなんです。なら思い直せば別の世界にいける。過去なんてものは、もうないんです。未来がないのと同じように」
「だから―――今が大事なんだな。だから俺達の納得出来る今を―――作らなきゃいけないんだよ関口さん」
(京極夏彦『陰摩羅鬼の瑕』)
今までの京極堂シリーズとは異なり、洋風(?)の雰囲気漂う本作。
わりとお気に入りの作品です。哀しいストーリーですが…。
でもアマゾンの評価はあまり高くないみたいですね。京極作品らしくないというのが理由のようです。
私はなんといっても『塗仏の宴』で散々な目にあった関口君の無事な姿を見られたことが嬉しかったです(元気とは程遠いけど)。
京極堂も榎さんも格好いいけど、このシリーズはやっぱり関口君あってこそ!
また前作で色々な経験をした彼が少しだけ成長、というか前向きな方向へ向かっていっている変化を感じられたのもよかったと思う。
「未来は選べないけれど過去は選べる」
「社会の中の正義はあっても、個人の中に正義なんてない」
一般的な常識とは別の道をゆくこのシリーズの、独特の「優しさ」が表われていますよね。