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経済学は難しい8

2005年08月02日 22時38分04秒 | 経済関連
本日のロイター記事によると、次のような日銀総裁の国会答弁があったようです。
一部転載します。


福井総裁は、「現在のところは、財政政策と金融政策との間に大きなコンフリクトがある状況ではない」と述べた。しかし今後、「経済がより順調に回復軌道に乗る、あるいは物価についてもデフレから脱却していく過程になると、マーケットがより変化しやすい経済になってくる。この時に、財政規律がきちんと堅持されているかによって、市場の期待が大きく振れる。ボラティリティの高いマーケットに移行しかねない」と述べ、財政規律の重要性を唱えた。

今後とも財政規律が堅持された場合は、「(日銀が)最良と思って判断した政策決定が、その意図した通りの効果を発揮しうる」と述べ、そうでなければ、「我々の政策の効果が減殺されることになりかねない。そういう意味ではコンフリクトはある」と指摘。「財政規律の堅持は、マクロの経済政策のより良き効果発現のために欠かせない条件だということを、今からかなり強めの言葉で申し上げている」と強調した。「現在は政府と日銀はともに、物価安定のもとでの持続的成長の実現という共通の目標を持って努力を進めている」と述べた。

原油価格に関しては「高騰を続けている。昨日あたりも非常に高い値段に上がっている。その動向ならびに、その影響は、やはり非常に大きな不確定要因だと思っている」と述べた。具体的には「海外経済を経由して日本に来る影響をよくみていかなければいけない」とするとともに、日本に対する直接の影響として「日本の原油の輸入のうち依存度が高い中東産の原油がなお高値圏で推移しているということは、やはりもう一枚、加えて注意をしておかなければいけない」と語った。



日銀総裁の答弁ですから、大変重要と思われますが、はっきり申し上げますと何を言っているのか良く判りませんね。私ごときには理解が難しいです。中段と後段は読んでみれば、「ああ、そうですか」と思いますね。ちょっと考えてみます。


前段は後回しとして、分かり易い方から見てみると、中段は要約すれば

「政府が財政規律を堅持してくれれば、日銀政策は正しいので、金融政策の効果発現はきちんとできる」
「逆に財政規律を守れないと、日銀政策が正しくても効果発現がきちんとできない」
「なので、今から厳しく言っておく、規律を守れ、と」

ということですね。まあ、言いたいことは判りますね。結局、財政当局次第なんだよ、と。政府は無駄遣いすんな、と。


次に後段ですが、これもそのままですね。「中東産の原油高は注視する、影響は出るが不確定要因である」と。
本題とは関係ないのですが、「もう一枚」というのはどういう意味なんでしょうか?これはおそらく業界用語の為、ちょっとよく判りませんね。答弁原稿が次のページにも一枚増えるってこと?それとも「イエローカードが2枚」みたいなこと?(そりゃ退場だな)それとも、議事録が別にもう一枚とか?先物の為替取引の勝負にいく注文で「もう一枚」?(って、使うかな・・・?)
これは割りと、目新しい謎です(笑)。


最後に前段部分。これは、意味がよく判らん。初めの、財政当局と日銀の金融政策ではコンフリクトがないのは、そうですかと。問題は「デフレ脱却過程で、マーケットはより変化しやすい経済になってくる」という部分。これは「インフレ」を暗に示唆しているんでしょうか?それとも、単に資産価格上昇を指しているのでしょうか?判らん。

続いて、「財政規律堅持か否かで、市場期待が大きく振れる」というのは、どういうことでしょう?財政赤字減少の為、緊縮財政を継続すれば財政拡張がないという予想でしょうから、市場期待はマイナスだ、と?(というか、景気対策のような効果がないという意味で)
逆に、財政拡張に動くと期待が膨らめば株高等に動き、長期金利上昇圧力が高まるとか?市場期待というのが、何を期待するのかがよく判りません。資産価格上昇という期待?財政拡張という期待?

「ボラティリティが高いマーケット」というのもよく判りません。ボラティリティは、ブラック・ショールズ理論でも出てくる、オプション価格の計算に使われるσですね。多分インプライド・ボラティリティを指しているんでしょうけれど、これは単純に考えるとリスクが高い(オプション価格も高い)ということになりますが、増加分の期待も大きいということになりますよね?バブルまではいかないにしても、過熱気味になるということでしょうか?それとも、リスクプレミアムのオーバーシュートのような状況を想定しているということ?


細かい解説がないと、どういう意味なんだかわからないですね。どうして、専門家というのは、簡単に述べたりしないのでしょうか?敢えて、議員や国民には判りにくく答えるのがいい答弁ということになっているんでしょうか?私が株でもやってなけりゃ、知らなかったと思う用語も多数です。普通の国民が「ボラティリティ」なんて用語を知ってることなんてなかろう?それに、日本人なんだから、漢字で言って欲しい(笑)。普通に判るように答弁して貰えないと、記者たちも何がどうなんだ?って思うんじゃないかな。そうでもないですか?総裁は誰に向かって答弁するんでしょう?国民へ?それとも経済関係者たちへ?アナリストとか機関投資家たちへ?海外投資家?ようわからん。



郵政法案の予測

2005年08月02日 13時27分01秒 | 社会全般
予測は甚だ困難ですが、また大胆予想をしてみたいと思います。都議選予想のように今まではハズレ(都議選大胆予想は全くのデタラメでした)が多いので、当てにならないのですけれども。立花隆氏の記事は中々面白かったですよ。小泉首相の友人という人が、参院可決でも解散なのだ、と言ってるとか。本当なのかな?よく知らないけれど。私は小泉さんのガンコさから考えて、「来年任期終了で、延長はしない」という言葉は真実だと思っております。また、否決された場合の解散カードが決して脅しでも何でもなく、本気であると思います。小泉さんは演技力という点では、アカデミー賞には遠く及ばないでしょうね(笑)、恐らく。それ程の演技派ではないし、国会答弁を見ていても感情が露わになりやすいですし。ロボ岡田くんといい勝負ですよ(笑)。抑制が効いてるのは、首脳会談の時くらいでしょう。


福岡氏は民主党に肩入れしてるのか、いつも民主党議席が多目ですね。テレ朝が福岡氏ばかり呼ぶのも何か関係があるんでしょうか?昨年の参院選の予想にしても、民主党議席がえらく多い予想だったもんね。私の大ハズレ予想と大して変わらんだろう?現時点でもテレビなどでは、民主党強気発言が多いのではないかと思いますが・・・


採決の行動パターンとしては、何だか「囚人のジレンマ」に似てますね。よく判りませんが、ちょこっと見たような気がします。あんまり理解出来てないんですが、少し考えてみます。組み合わせは参院での「可決・否決」と、小泉さんの「解散・解散しない」の2by2ですね。


まず自民党というか与党の立場で考えてみましょう。解散は確実に不利ですね。民主党の票の伸びや、衆院で反対に回った議員達への処置とか、亀井派の意気込みでは下手すりゃ分裂危機さえ有り得る状況となれば、与党にとってはかなり不利と言えるでしょう。

そのため最も望ましい選択は、可決して解散しない場合です。解散確率は、否決されると限りなく100%に、可決すればゼロにそれぞれ近づくという条件が判っているならば、与党は小泉さんが実際に解散するかしないかは別として、可決した方が得であると考えるのですよね?否決して解散というのは、パレート最適にはなり得ないのではないでしょうか。

現実には可決利得の方がかなり大きいと考えられ(例えば衆院採決で与党の賛成者の方が圧倒的に多かったことから)、それによっても可決しておいた方が戦略上は得(解散の有無に無関係に)ということになりますね。


ところが造反組は、解散や否決に対する利得感覚の大きさが単純な与党集団とは異なっており、「小泉憎し」が強ければ廃案に大満足する可能性も否定できない、ということでしょうか。恐らく、造反組は解散と解散しないが、同じくらいの利得と思っているでしょう。ナッシュ均衡は、造反組と小泉さんとの間では、必ず否決―解散(orしない)の組み合わせとなるのでしょう。これが与党内では少数派であることに変わりはなく、与党にとっては「可決して解散しない」を狙う戦略が最も有力でしょう。



では、共産党の立場ではどうでしょうか。衆参議席が確か9議席ずつで、解散総選挙となれば民主党や公明党に票が流れてしまい負ける公算が高いでしょう。つまり現状よりも衆院の1~2議席失う可能性がかなりあるでしょう。従って共産党にとっては、解散は効用が低く、解散しない方が有利です。これは自民党と利害が一致しています。賛成、反対では、賛成に入れると可決の、反対に入れると否決の可能性がそれぞれ高くなります。

共産党には否決した場合のメリットはそれ程多くはなく、単に内閣総辞職の場合には与野党の変化はないですし、「小泉おろし」が実現したとしても共産党に得られるものは殆どありません。解散総選挙の場合の議席減少という不利益の方が大きいはずです。逆に賛成票を投じる代わりに共産党の何かの要求一つと交換できるとなれば、要求を通せる方が効用は大きいはずです。となれば、最適戦略は賛成だと思いますが、共産党も「囚人のジレンマ」に陥っているのだろうと思います。

しかし、前提である「選挙で議席減少」という条件設定が違うのだと言われたら、そうですかとしか言いようがないのですけれども。今選挙やって、共産議席を伸ばせると本気で考える人は、よっぽどの博打好きとか大穴狙いでしょうけれども、多分その可能性は非常に少ないでしょうね。


これらを考え併せると、共産単独若しくは社民単独で「賛成」投票には抵抗があるとなれば、両党とも賛成か欠席という戦略もとり得ると思います。つまり、「土壇場での共産・社民欠席」ということで、自民党内の造反組が14人(前に記事でそのくらいかと推測しました、郵政法案―衆院可決)出たとしても、7.5票分(参院議席数が共産9、社民6だと思う)の反対票減少と同じ効果を持ちますから、23人欠席までは可決できるはずですね。その可能性は少なく、恐らく欠席者が出るとしても10人以下と思いますから、郵政法案は可決されます。

法案否決によって民主党が狙う解散総選挙も、他の野党にとっては迷惑な話でしかなく、共産が民主党と連立など有り得ないので、共産だけが欠席する可能性も有り得ます。流石に賛成に投じることは出来ないということであっても、共産9票が欠席ならば可決できる可能性が高くなるでしょう。要求を確実にすることを考えるならば(折角欠席したのに、否決されるということを防ぐ)、賛成票を投じるしかないでしょうね。


共産も社民も最適戦略をとるならば、反対票は民主党と造反のみ、両党は欠席(or賛成)ということになり、法案が可決する、ということになるのでは。

この戦略を選択せず、選挙で自民減少、公明微増、民主大躍進となったとしても、共産・社民には微減となるでしょう。両党とも大勢に影響はないということになりますね。与野党逆転せず自公プラス造反組の連立か、政権交代で民主プラス造反組の連立だとしても、共産・社民には何の効用もありませんよ。

いずれにしても敗北しかないのですよ、共産も社民も。
このような単純なことが判れば、最適戦略を選択するべきですね。それが党にとっての利益にも繋がり、国民利益の実現にも繋がるのですから。