いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」

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郵政公社の収益構造について

2005年08月25日 17時01分57秒 | 社会全般
預託金については以前に少し書いた(郵政民営化の考察5)のですが、馬車馬さん(郵貯:改革の理由(2) 収益源のタイムリミット)が詳しく説明してくれています。やっぱりそうだったんだ、ということが明確になりました。調べるということは、重要ですね。ブログはこのような方々のお陰で、知恵が集積できるので、優れたツールだと思います。


それと、先日郵政民営化後の姿を予想(郵政民営化後の未来(追記後))したのですが、郵貯銀行について別な解釈も成り立つかなと、ちょっと思いました。それは、地方の基盤が弱い信金・信組や農協系の金融機関の問題です。所謂田舎を中心に、今後人口減少や企業減少などによって収益が落ち込むので存続そのものが非常に厳しい環境となってしまう可能性がある、ということです。そういう将来が予想されるならば、地域ごとに地銀、信金、農協や郵貯銀行がバラバラに存在していることの方が苦しい訳で、それならいっそ郵貯銀行が地域特化として、その地域の弱小金融機関を合併した方が効率的なのではないか、ということです。私には経営的な判断は分りませんけれども、大都市部のような地域とは事情が違えば、なかなか事業存続は厳しい信金・信組・農協というのが有り得そうで、弱体化して倒れる前に大同団結して地域内での生き残りを図るべきなのではないか、と。その場合に、存続事業会社は、その地域の郵貯銀行でも、別な名前の銀行になってもいいのではないかな、と。


結果的に郵貯銀行とその他の民間金融機関のどちらが残るとしても、統合の道を探るのが望ましく、それが地方の人口減少への対応ともなると思います。



国債償還と借り換え

2005年08月25日 13時57分05秒 | 経済関連
コメントなどでよく散見され、割と多くの人が心配されているようですが、所謂2008年問題として、国債の大量償還を迎えて借り換えが出来なくなる、という不安があるのだそうです。この問題については多くの専門家が本などを書いたり、色々研究されているでしょうから、私の方で専門的検討は出来ませんが、分る範囲でちょっと考えてみます。


今までの記事にも書いてきましたが(選挙と政治3)、今の借金レベルは普通の水準では利払いさえ困難です。そのことに変わりはありません。このために「プライマリーバランスの黒字化」を掲げて、政府は歳出削減を目指してきました。しかし、現状水準ではそれでも足りないという予想も立ちます。構造改革や地方分権によって、政府部門から大幅な切り離し(例えば、医療・介護、生活保護、など今後の伸び率が高いと推測されている部門)によって、一見スリムに出来ますが、これをやると、例えば労働人口の割合の低い地域―いうなれば高齢人口比率が高い、過疎地の多い都道府県―は、極端な財政難に陥る可能性があります。


それは働き手が少ない(仕事が無い、雇用がない)ことや若年人口が少ない(皆仕事を求めて都市部へ出て行く)し、大きな企業も少ないので、税収そのものが少ないのに、高齢化進展によって社会保障費だけが伸びていってしまう、という構図です。支え手は減り、医療・介護費が増加していくような状況です。現状の医療制度や年金制度等の枠組みのままで中央政府から切り離してしまうと、地方財政が困るだけです。従って、持続可能な税制・収入(保険料とか消費税?とか)と社会保障負担の改革を行うことがまず必要です。


それはとりあえず今後の問題として、当面の運営状況では国の借入金の元本返済は不可能です。借金返済の目処が立つような経済財政状況と長期展望が必要です。08年度までの時間は少ないので、当面は「借り換えが可能か」という点について、考えておけばよいと思います。


国債発行は、プライマリーバランスがマイナスであれば、償還額よりも多い金額が発行されます。歳出の不足分をそれで補うということですね。仮に償還が120兆円で、不足額が20兆円の合計140兆円の発行額ということであれば、資金調達規模がこの額が必要ということになります。


まず、償還を迎えた国債資金の多くは郵政や銀行・機関投資家などの国民から集めた資金を運用している人達にだいたい戻されます。要するに、国民が銀行に預金してるとか郵便局に預けてるとか生命保険に入っているとか、そういう理由で金融機関や機関投資家の元に集められた資金です。そういう人達が国債を大量に買っていたので、お金が戻されれば利用者達に利息を払ったりする為に、必ず何かで運用しなければなりません。勿論償還されたお金の有利な運用先があれば、そちらに資金は向かいますが、最近の状況では都銀ばかりではなく地銀や信金なども運用先が多い訳ではない(つまりは貸出資金の割合が多くは無い)ので、結構国債を買っています。従って、償還されて金融機関や機関投資家に戻された資金の多くは、行き先がなければ再び新規国債を購入する資金として当てられるという可能性が高いと考えられます。もしも、他の運用方法が魅力的で安全に増やせるとなれば、誰も日本国債のような低金利の債券など欲しがったりしませんが、お金の持って行き場がない状態では、ただ置いておくよりも国債を買った方がまし、ということになります。ですので、償還額が多ければ多いなりに、そのお金の運用先を求めることになるので、120兆円償還されてまた120兆円で新規国債を買ってしまうということなら資金移動はないのと同じです。この場合、必要となるのは不足額として上乗せされる20兆円分であり、これが消化されるならば問題ないと言えます。


20兆円が消化できずに資金調達が不可能となれば、利払いも出来ないということになりますが、実際には日銀が毎月1兆2千億円の長期国債買入を行っており、これだけでも年14兆4千億円の買入額となります(純増額とは若干違うかもしれませんけれども)。従って、かなりの国債買入が行われるのですから、せいぜい10兆円規模を売り切るなら、毎月個人向け国債を1兆円売れば済む程度です。これは個人金融資産1400兆円の規模から見れば、1%以下の水準に過ぎないですから、消化はそれほど困難とも思えません。不足する新規発行額(償還額に上乗せする部分)が大幅に増加していかない限り、当面の心配はないと思いますが、金利負担分が均衡するようにしていくことは最低限の目標として必要だと言う事です。


この前提としては、「日本」という言ってみれば大きな家庭が、破産しないという信頼に基づいていなければなりません。多くの人が、「日本」という家庭は金が払えなくなり破産しちゃうんじゃないか、というような不安が増大してしまい、皆が「お金を貸さないよ」と言うならば、その時にはデフォルトが起こる可能性が出てきます。それは、自らが破滅を恐れすぎて資金を止めると、次々に他の人々にもその恐怖が伝播してしまい、本当に破産するということになってしまうのです。ですから、不安を必要以上に増大させたり、恐怖を煽り立てるというのは、自分達の破滅を決定付けてしまう結果となるのです。


例えば、銀行が潰れもしないのに、風説の流布などで取り付け騒ぎが起こるのと似ています。一斉に現金化しようとお金を求めて銀行に殺到すれば、それだけでパニックとなります。その銀行は本当は潰れることなどなかったかもしれないのに、全ての預金者達が現金を回収しようとしたら、きっと潰れるでしょう。潰れたことによって、銀行に預けていた資金のうち戻ってこなくなる分があり、それで自分が損をしてしまうようなものです。


国民が国を信頼し続ける限り、利払いは続けられ、たとえ苦しい台所事情であっても持ちこたえることが可能であると思います。ですが、「破綻するんじゃないか」という不安だけが増大して、多くの人達が現金を回収しようとして国債大量売りが一気に起こるとするならば、長期金利暴騰とか海外資金引き上げによる株価暴落とか、為替市場の極端な円安とか(これは実際どうなのか定かではありません)、そういう混乱が起こることも有り得ます。現金に換えてみたところで、それは日本銀行券に過ぎず、国債を手堅く持っているのと、大して変わりもしない気もしますけれど。だって、日本という経済が大混乱となるなら、日本銀行券を大量に手にしたところで、単なる紙切れ同様となりかねないのですから、パニックに陥って国債売りを浴びせることは自分で自分の首を絞めるのと同じです。もしも、その可能性を信じ、「日本」が怪しすぎて国債なんて紙屑同然と思う人は、全財産を持って一刻も早く海外へと逃げた方がいいと思います。それが唯一助かる方法だと思います。


かつて、企業を中心に現金化が起こったのと似ているような気がします。土地も株も売り払って、眠っていた資産を現金化することで、日本のデフレが悪化、加速してしまったのではないか、という推測に過ぎないのですが。競って売り出し、何は無くともとりあえず「手元に金、金、金」とかき集めた結果が、この大きな停滞を深刻化させたと言ってもいいのではないか、と思う。株式持合解消の売りを浴びせた結果が、外資の買収の陰に怯えたり、安定株主を多数失うという今の状況を作ったというのも、どこかマヌケな話とも言えるけれど。資産劣化のリスクを減少させたということなんだろうと思いますが、逆にリスクをとらなくなった企業活動の結果が投資減少・雇用減少・銀行貸出減少となり、銀行に集められたお金の行き先は国債に集まった、ということです。


国の借入金の利払いが現状では非常に困難であり、ましてや元本返済は夢のまた夢です。ですが、借り換えを支え続けない限り破綻してしまうのですから、ここ数年で長期見通しをきちんと立てて、(社会保障制度等の)制度設計を構築が必要でしょう。当然その場合には、歳入部分にも着手する必要があります。


日本の国債保有者が国内が殆どで、海外比率が3~4%程度と極めて少ないことは、問題解決にとっては幸いしていると思います。これが唯一良かったと言えることなのではないか、と思います。海外投資家は、「損する」と思えば、容赦なく売ってきますし、日本のことを信頼するとかそういうことは全く関係ないでしょう。儲かるかどうか、が問題なのですから。そういう投資家が日本の国債を大量に保有していないということは、返済の為の経済財政政策は国内問題として解決できうるチャンスがあると言えます。これが海外投資家達に「返せない」となると、極めて深刻な事態も想定されますが、返済先が国民とか民間企業である限り、国民が「金返せー!!」とパニックに陥ったりしない限り大丈夫と思います。いうなれば、家族間の金の貸し借り(父である国と、母子の国民や民間企業)に過ぎないのですから、家庭の外の取立て屋に脅されたりするのとも違いますし(笑)、家庭そのものの破産はしないとも言えます。家庭内問題(=国内問題)であっても、対外的問題(国際間問題)とは本質がやや違う、ということでしょう。


国民が日本銀行券を信じるのと同じように日本国債を信じるならば、破滅的混乱は避けられると思います。その為の舵取りは甚だ困難な作業であるということは間違いないのだろうと思いますが。