前に炭鉱の話(地域間競争と労働)を書きましたが、昔は、炭鉱閉山によって労働者達は大量に失業したり、生活基盤となっていた地域を離れざるを得なかったり、長い労使紛争などが起こったりといったことが多分あったと思います。それまで国内産業の一部として存在してはいたが、海外の格安な石炭を輸入する方が得になるからです。でも、現在のような環境では、誰も「国内炭鉱を復活させ、失業者に仕事を与えよ」とか言ったりはしないでしょう。閉山になった時期には色々な紛争の元となったでしょうが、その結果たとえ地方の人口が激減しようが、街が寂れてかつての賑わいを失おうが、これは仕方がないことなのです。きっとその当時には、或いはその後暫くは炭鉱が閉山する弊害というものがあったとは思いますが、最終的には炭鉱がなくなって別な産業や仕事が生まれた方が経済学的には有利なのだろうな、と思います。
現在の幾つかの産業分野でも、似たようなことが起こりつつあるのかもしれませんね。かつては「日本の米」とまで呼ばれた半導体事業などもそういう危機的な分野であるかもしれません。台湾や韓国、ひょっとすると中国などの企業に多くの世界シェアを奪われてしまっているかもしれません。石炭と同様に、低成長分野とか収益の低い分野に、(相対的に賃金の高い)国内の資金や人員を振り向けることは、非効率であると思うからです。しかし、こうした構造変化の起こってしまう時期には、何がしかの紛争や摩擦などが起こってしまうので、そうした調整コストの負担というものが必要になってくるのでしょう。炭鉱の例で言えば、炭鉱労働者に給付する失業保険、離職のための退職一時金、雇用促進住宅のような政策に係る費用、裁判係争費用・・・等々でしょうか。
海外の低賃金国にそういう採算性の低い産業を、ある意味「アウトソーシングする」ということなのかもしれません。なので、グローバル化の進展ということによって、変化の度合いに応じた構造の為の調整コストが必要になる、ということでしょうね。炭鉱の時の調整コストはきっとかなり大きなものであったと思いますが、現在はそのコストを社会的にはあまり負担していないのかもしれません。若年層の給与水準の抑制や非正規雇用拡大によって代替されているのかな?ちょっとよく分からないのですが、最終的には産業構造変化は成長・収益分野へのシフトによって、国内全体で見れば経済発展に寄与すると思いますけれども、そこに至る過程では摩擦が生じてしまうのかも。かなり昔には、繊維分野は日本のメインの輸出産業だった時期があったと思いますが、現在は主に中国がその役割を担っているでしょう(米中繊維摩擦のようなことも起こっていますね)。しかし、いずれは中国であっても同じ道を辿ることは同じではないかと思いますね。もしも日本が繊維産業だけに頼っていたとすれば、現在のような経済成長は出来なかったのではないかと思います。産業構造というものは、こうして変化を遂げながら、効率化が進むのでしょう。
現在の日本の状況は、調整コストの負担というのがあまり明確にはなっていなくて、それは何かの産業全体が「消滅」というような大変化が見られないからなのかもしれません。その代わり、じわじわと変化が浸透していくので、一部の人々がその影響を受けていて、目立たないけれども、仕事を失い雇用から外れていっているということではないかな、と。なので、社会的には大問題という受け止め方がされないが、その大きなしわ寄せを受けたのが若年層であった可能性はあると思います。
そういうグローバル化ということに加えて、新規産業分野や雇用創出という点で長期間に渡る投資抑制が続いてしまった為に、成長が厳しくなったのではないかな?失業もそうだろう。この過渡期を乗り切るには、やはり新たな「チャレンジ」しかないと思うし、新規産業分野の積極的な開拓しかないと思う。今までには、日本の後から歩いてきているアジア地域の多くの国に「アウトソーシング」してきたが、そこで浮かせられた資金の振り向け先が日本経済の発展には全く役立ってこなかった、ということでもあると思う。その原因は、多くの企業が「金を持つ」ということばかりに執着し、余った金を有効に使ってこなかったのだと思う。また、成長の殆ど期待出来ないような固定資本ばかりに、資金配分のバランスを大きく失するほどの投資をひたすら続けてきた、ということだろう。この代表選手は所謂「公共事業」ってやつなのではないかな。資金的な割合は小さいのかもしれないが(笑)。
何かのいい対策は判りませんが、民間企業はガンバレよ、と思いますね。「何に投資していくか」ということも、よく考えてみて欲しいと思います。
現在の幾つかの産業分野でも、似たようなことが起こりつつあるのかもしれませんね。かつては「日本の米」とまで呼ばれた半導体事業などもそういう危機的な分野であるかもしれません。台湾や韓国、ひょっとすると中国などの企業に多くの世界シェアを奪われてしまっているかもしれません。石炭と同様に、低成長分野とか収益の低い分野に、(相対的に賃金の高い)国内の資金や人員を振り向けることは、非効率であると思うからです。しかし、こうした構造変化の起こってしまう時期には、何がしかの紛争や摩擦などが起こってしまうので、そうした調整コストの負担というものが必要になってくるのでしょう。炭鉱の例で言えば、炭鉱労働者に給付する失業保険、離職のための退職一時金、雇用促進住宅のような政策に係る費用、裁判係争費用・・・等々でしょうか。
海外の低賃金国にそういう採算性の低い産業を、ある意味「アウトソーシングする」ということなのかもしれません。なので、グローバル化の進展ということによって、変化の度合いに応じた構造の為の調整コストが必要になる、ということでしょうね。炭鉱の時の調整コストはきっとかなり大きなものであったと思いますが、現在はそのコストを社会的にはあまり負担していないのかもしれません。若年層の給与水準の抑制や非正規雇用拡大によって代替されているのかな?ちょっとよく分からないのですが、最終的には産業構造変化は成長・収益分野へのシフトによって、国内全体で見れば経済発展に寄与すると思いますけれども、そこに至る過程では摩擦が生じてしまうのかも。かなり昔には、繊維分野は日本のメインの輸出産業だった時期があったと思いますが、現在は主に中国がその役割を担っているでしょう(米中繊維摩擦のようなことも起こっていますね)。しかし、いずれは中国であっても同じ道を辿ることは同じではないかと思いますね。もしも日本が繊維産業だけに頼っていたとすれば、現在のような経済成長は出来なかったのではないかと思います。産業構造というものは、こうして変化を遂げながら、効率化が進むのでしょう。
現在の日本の状況は、調整コストの負担というのがあまり明確にはなっていなくて、それは何かの産業全体が「消滅」というような大変化が見られないからなのかもしれません。その代わり、じわじわと変化が浸透していくので、一部の人々がその影響を受けていて、目立たないけれども、仕事を失い雇用から外れていっているということではないかな、と。なので、社会的には大問題という受け止め方がされないが、その大きなしわ寄せを受けたのが若年層であった可能性はあると思います。
そういうグローバル化ということに加えて、新規産業分野や雇用創出という点で長期間に渡る投資抑制が続いてしまった為に、成長が厳しくなったのではないかな?失業もそうだろう。この過渡期を乗り切るには、やはり新たな「チャレンジ」しかないと思うし、新規産業分野の積極的な開拓しかないと思う。今までには、日本の後から歩いてきているアジア地域の多くの国に「アウトソーシング」してきたが、そこで浮かせられた資金の振り向け先が日本経済の発展には全く役立ってこなかった、ということでもあると思う。その原因は、多くの企業が「金を持つ」ということばかりに執着し、余った金を有効に使ってこなかったのだと思う。また、成長の殆ど期待出来ないような固定資本ばかりに、資金配分のバランスを大きく失するほどの投資をひたすら続けてきた、ということだろう。この代表選手は所謂「公共事業」ってやつなのではないかな。資金的な割合は小さいのかもしれないが(笑)。
何かのいい対策は判りませんが、民間企業はガンバレよ、と思いますね。「何に投資していくか」ということも、よく考えてみて欲しいと思います。