田中秀臣先生が岩田規久男先生と加藤出氏(プラス川北氏らしい)の座談会のお話を書いておられた(蒲焼の匂い:ミクロの必死圏)。これも、お決まりのメンバーで、前に調べものしてた時に見たのときっと同じような意味合いであろうと思う。岩田規久男先生はずっと前から内閣府に呼ばれる度に同じような説明を繰り返し、「デフレを脱却せねばならん」と説いて回っておられたが、中々政治的な部分でのテコとはならなかったのであろうと思います。もっと早くに政治的解決方法を真剣に考えるべきであったのです。これも前に書きましたが。一方、加藤氏は日銀派?なのか判りませんが、量的緩和に対しては反対(早々に解除せよ?)の立場であろうと思います。インフレターゲットについても大いに疑問を投げかける立場でしょう。前に「札割れ」ネタの時にも登場してましたね。
経済学は難しい4
で、田中先生の記事を楽しみに待っておりますが、その前に既に出された意見が分かり易い資料を挙げておきたいと思います。
まず岩田先生のご主張から。
ESRI-インフレ目標付き長期国債買い切りオペの提案
続いて、加藤出氏のご意見です。
インフレ目標政策を巡って
中身を是非全部お読み頂きたいと思いますね。前に出した資料(「堂々巡り」の議論)と似たような議論が繰り返されているわけでございます(笑)。
こちらの資料では、加藤氏は浜矩子教授とともに「インタゲ」に対しては、懐疑的ということですね。私は伊藤隆敏先生や岡田靖氏の御意見は非常にまっとうなものであると思いました。特に岡田氏の『そもそもこのような議論を今日に至って続けることの理由が私にとって非常に不可解であります。』というのは、全くその通り、と私の心の声が叫んでいました。因みに、浜先生の貴重な語録を挙げると次のようなものがあります(笑)。
『何となく過激派の役割はいつも私に回ってくるという感じでございますが、実際問題といたしまして、今日はインフレ目標政策の悪口を言うために来たのだからと、張り切って来たのでありますが、』
これはこれでいいのですが、要するに、何でこれ程の時間をかけて議論した挙句に放置してきたのか、ということが、この前にも書いた通り甚だ疑問なのです。一刻も早く悪い状態を脱出せねばなりません。経済状態が悪くなるということは、すなわちデフレがこれほど長く続くということは、国民にどれ程の被害をもたらしたか、ということを担当者達はよく噛みしめるべきです。議論の先にある、解決方法・答えを実践し、行動に移さない限り物事には進展が得られないのですから。そういう重大な決意や、責任感というものが、それぞれの担当者達の中には無かったのではありませんか?と問うているのです。そして、その同じ過ちをこれからも繰り返そうとしている人々がいるのかと思うと、非常に無責任ではないか、と思いますね。
ただ、このような一国民の声が届いたわけではないでしょうが、政治的には前進の兆しが見えてきています。そういう部分に真剣に対応しようという動きが見えつつあります。これは問題解決にとっては非常に重要なことなのです。
多分、田中先生の記事を読まなくても、何となく御意見の中身は想像がつきそうだな、と思ってしまいます。でも、近頃では考え方が変わってきてる可能性(まずないだろうけど)もあるので、詳細記事を待て!という所でしょうか(笑)。
追記:
政治的にも論争が始まっています。それでも、かつての堂々巡り論よりも前進してきたと思いますね。
NIKKEI NET:経済ニュース
NIKKEI NETの記事を以下に引用。
金融の量的緩和の解除が近いとする福井俊彦日銀総裁の発言を受け、10日の閣議後会見では、解除後の金融政策について閣僚発言が相次いだ。竹中平蔵総務相が「(日銀が)どういう目標を掲げ実行責任を負うのか、枠組みがない」と述べ、インフレ目標などの導入の必要性を示唆した。一方、与謝野馨経済財政・金融担当相は「目標への到達手段の議論をせず、いたずらにインフレ目標の話を進めるのは理解できない」と疑念を示した。
竹中氏は「金融政策の中身について発言する気はない」とした上で、政策運営に関し、目標と実行責任が担保されていないとの認識を強調した。与謝野氏は「インフレ目標は相当インフレが更新しそうな国でとられている政策。デフレの国でインフレ目標はあるのかという根本問題がある」と指摘し、「目標にどう達するのかターゲット論者から講義を受けないとならない」と述べた。
このような報道でした。
こちらはこちらで色々とございますね(笑)。これも郵政民営化と同様に、実現が困難なものに立ち向かうということで考えることにしましょう。偶然にも、郵政民営化担当も平ちゃんでしたし(笑)。
与謝野さんもかなり皮肉を込めて「目標にどう達するのかターゲット論者から講義を受けないとならない」と言ったようですね。要するに、「ターゲットまで”どうやって”辿り着けるのか」という、方法論を求めるものですけれど、恐らく「答えられまい」ということを念頭に置いている訳ですね。
今までの議論の中でも、「じゃあ、どうやってやるんだよ」と慎重或いは反対論者たちから、いつも言われてきたことであり、この明確な答えというものが出ていないからです。もしもこれが判れば誰も苦労なんかしない訳ですし。そういう方法が決まっているならば、「自由自在、思いのまま」にインフレ率を制御出来てしまうことになるのですから(笑)。要するに答えというのは、「やってみなけりゃ判らない」ですね。ただ経験則としては、「出来る」というのが答えだろうと思いますね。経験則は侮れないんですよ。星の運行や天体観察とかによる大昔の色々な知恵というのは、あながち馬鹿に出来ないものだと私は思っていますけど。
通常ある株式があって、投資を考える時には将来の正確な見通しというものはないですね。上がるかもしれないし、下がるかもしれない。それがどの程度かも判りません。それが普通なのです。投資はやってみなけりゃ、判らないのです。
また変な例を考えてみましょう。ある会社の株があり、現在株価1000円で、「目標株価のレンジを1010~1050円にする」と宣言したとしましょう。取引に大きな影響力を持つ大株主みたいな人が「絶対にこのレンジに納める」という決意を表明すると、どうなると思いますか?これはおそらくそのレンジでの取引となってしまうでしょう。何故なら、高く売ろうと思って別な高い値を付けても、宣言者がレンジの値段で株式を供給してしまう為に、皆は高い値段ではなくても手に入れられるからです。また、逆に安い値段で買おうと思っても、1010円以下になりそうな時には宣言者がすかさず買ってしまうので、売り手はそれよりも低い値段を付ける必要がなくなるからです。ですからもっと安い値段になるまで待っていても決して手に入らないということを体験させられる為に、もう次からはレンジ内での値段しかつけないようになるでしょう。
強力な力を持つ宣言者であれば、これが可能ということです。宣言者が非常に強い意志表明をしていると(勿論力も強い)、もしも抜け駆けして「1100円売り」という注文を出す人が出てきても、値段を目標レンジに下げるまで決して「売らせない」ようにするはずだと他の多くの人々が知っている時には、当然それは無効となってしまいます。いくら待っていても株価が「1100円」に上がってくることがないし、誰も買おうとしないからです。共通の期待形成というのは、そういう面があると思いますね。そこには大抵経済学的な合理性があると思います。
一般に、ある特定の株価に接近していく時というのは、TOBのような時です。これはTOB価格に現実取引の株価が「サヤ寄せ」していくので、仮に現在株価1000円である時「TOB価格は1200円」と発表されると、自然とその値段の近傍での取引が殆どとなりますね。つまり、「目標レンジ」というのがハッキリと判っている時には、そこを超えて取引される必然性というのはあまりないのです。人々が参照出来る有力な情報に合わせて合理的に行動しようとする結果ですね。
今後は政治的な解決方法を巡って、論争が行われるでしょう。それが竹中大臣の言葉に表されていると思います。
折角ですから(って、ナニが?笑)再掲しておきましょう。
「どういう目標を掲げ実行責任を負うのか、枠組みがない」
思えば遠くへ来たもんだ、ですね。ここまで長年頑張ってこられた方々にとっては、希望が見えてきたのではないでしょうか。
経済学は難しい4
で、田中先生の記事を楽しみに待っておりますが、その前に既に出された意見が分かり易い資料を挙げておきたいと思います。
まず岩田先生のご主張から。
ESRI-インフレ目標付き長期国債買い切りオペの提案
続いて、加藤出氏のご意見です。
インフレ目標政策を巡って
中身を是非全部お読み頂きたいと思いますね。前に出した資料(「堂々巡り」の議論)と似たような議論が繰り返されているわけでございます(笑)。
こちらの資料では、加藤氏は浜矩子教授とともに「インタゲ」に対しては、懐疑的ということですね。私は伊藤隆敏先生や岡田靖氏の御意見は非常にまっとうなものであると思いました。特に岡田氏の『そもそもこのような議論を今日に至って続けることの理由が私にとって非常に不可解であります。』というのは、全くその通り、と私の心の声が叫んでいました。因みに、浜先生の貴重な語録を挙げると次のようなものがあります(笑)。
『何となく過激派の役割はいつも私に回ってくるという感じでございますが、実際問題といたしまして、今日はインフレ目標政策の悪口を言うために来たのだからと、張り切って来たのでありますが、』
これはこれでいいのですが、要するに、何でこれ程の時間をかけて議論した挙句に放置してきたのか、ということが、この前にも書いた通り甚だ疑問なのです。一刻も早く悪い状態を脱出せねばなりません。経済状態が悪くなるということは、すなわちデフレがこれほど長く続くということは、国民にどれ程の被害をもたらしたか、ということを担当者達はよく噛みしめるべきです。議論の先にある、解決方法・答えを実践し、行動に移さない限り物事には進展が得られないのですから。そういう重大な決意や、責任感というものが、それぞれの担当者達の中には無かったのではありませんか?と問うているのです。そして、その同じ過ちをこれからも繰り返そうとしている人々がいるのかと思うと、非常に無責任ではないか、と思いますね。
ただ、このような一国民の声が届いたわけではないでしょうが、政治的には前進の兆しが見えてきています。そういう部分に真剣に対応しようという動きが見えつつあります。これは問題解決にとっては非常に重要なことなのです。
多分、田中先生の記事を読まなくても、何となく御意見の中身は想像がつきそうだな、と思ってしまいます。でも、近頃では考え方が変わってきてる可能性(まずないだろうけど)もあるので、詳細記事を待て!という所でしょうか(笑)。
追記:
政治的にも論争が始まっています。それでも、かつての堂々巡り論よりも前進してきたと思いますね。
NIKKEI NET:経済ニュース
NIKKEI NETの記事を以下に引用。
金融の量的緩和の解除が近いとする福井俊彦日銀総裁の発言を受け、10日の閣議後会見では、解除後の金融政策について閣僚発言が相次いだ。竹中平蔵総務相が「(日銀が)どういう目標を掲げ実行責任を負うのか、枠組みがない」と述べ、インフレ目標などの導入の必要性を示唆した。一方、与謝野馨経済財政・金融担当相は「目標への到達手段の議論をせず、いたずらにインフレ目標の話を進めるのは理解できない」と疑念を示した。
竹中氏は「金融政策の中身について発言する気はない」とした上で、政策運営に関し、目標と実行責任が担保されていないとの認識を強調した。与謝野氏は「インフレ目標は相当インフレが更新しそうな国でとられている政策。デフレの国でインフレ目標はあるのかという根本問題がある」と指摘し、「目標にどう達するのかターゲット論者から講義を受けないとならない」と述べた。
このような報道でした。
こちらはこちらで色々とございますね(笑)。これも郵政民営化と同様に、実現が困難なものに立ち向かうということで考えることにしましょう。偶然にも、郵政民営化担当も平ちゃんでしたし(笑)。
与謝野さんもかなり皮肉を込めて「目標にどう達するのかターゲット論者から講義を受けないとならない」と言ったようですね。要するに、「ターゲットまで”どうやって”辿り着けるのか」という、方法論を求めるものですけれど、恐らく「答えられまい」ということを念頭に置いている訳ですね。
今までの議論の中でも、「じゃあ、どうやってやるんだよ」と慎重或いは反対論者たちから、いつも言われてきたことであり、この明確な答えというものが出ていないからです。もしもこれが判れば誰も苦労なんかしない訳ですし。そういう方法が決まっているならば、「自由自在、思いのまま」にインフレ率を制御出来てしまうことになるのですから(笑)。要するに答えというのは、「やってみなけりゃ判らない」ですね。ただ経験則としては、「出来る」というのが答えだろうと思いますね。経験則は侮れないんですよ。星の運行や天体観察とかによる大昔の色々な知恵というのは、あながち馬鹿に出来ないものだと私は思っていますけど。
通常ある株式があって、投資を考える時には将来の正確な見通しというものはないですね。上がるかもしれないし、下がるかもしれない。それがどの程度かも判りません。それが普通なのです。投資はやってみなけりゃ、判らないのです。
また変な例を考えてみましょう。ある会社の株があり、現在株価1000円で、「目標株価のレンジを1010~1050円にする」と宣言したとしましょう。取引に大きな影響力を持つ大株主みたいな人が「絶対にこのレンジに納める」という決意を表明すると、どうなると思いますか?これはおそらくそのレンジでの取引となってしまうでしょう。何故なら、高く売ろうと思って別な高い値を付けても、宣言者がレンジの値段で株式を供給してしまう為に、皆は高い値段ではなくても手に入れられるからです。また、逆に安い値段で買おうと思っても、1010円以下になりそうな時には宣言者がすかさず買ってしまうので、売り手はそれよりも低い値段を付ける必要がなくなるからです。ですからもっと安い値段になるまで待っていても決して手に入らないということを体験させられる為に、もう次からはレンジ内での値段しかつけないようになるでしょう。
強力な力を持つ宣言者であれば、これが可能ということです。宣言者が非常に強い意志表明をしていると(勿論力も強い)、もしも抜け駆けして「1100円売り」という注文を出す人が出てきても、値段を目標レンジに下げるまで決して「売らせない」ようにするはずだと他の多くの人々が知っている時には、当然それは無効となってしまいます。いくら待っていても株価が「1100円」に上がってくることがないし、誰も買おうとしないからです。共通の期待形成というのは、そういう面があると思いますね。そこには大抵経済学的な合理性があると思います。
一般に、ある特定の株価に接近していく時というのは、TOBのような時です。これはTOB価格に現実取引の株価が「サヤ寄せ」していくので、仮に現在株価1000円である時「TOB価格は1200円」と発表されると、自然とその値段の近傍での取引が殆どとなりますね。つまり、「目標レンジ」というのがハッキリと判っている時には、そこを超えて取引される必然性というのはあまりないのです。人々が参照出来る有力な情報に合わせて合理的に行動しようとする結果ですね。
今後は政治的な解決方法を巡って、論争が行われるでしょう。それが竹中大臣の言葉に表されていると思います。
折角ですから(って、ナニが?笑)再掲しておきましょう。
「どういう目標を掲げ実行責任を負うのか、枠組みがない」
思えば遠くへ来たもんだ、ですね。ここまで長年頑張ってこられた方々にとっては、希望が見えてきたのではないでしょうか。