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Les Miserables

2008年12月18日 19時21分07秒 | 経済関連
間違いを喧伝する典型、ということですかね。

はてなブックマーク - 再交渉としての不況 - 池田信夫 blog


ゼロサムって、一体何を言っているんでしょうね。
損失の反対側には同額の得が必ず生じる、というのも単なる間違いですね。為替取引なんかだとゼロサムゲームとか言われたりしますけれども、今回の経済危機はそういうものだけではないですね。


信用創造はそもそも「持ってないお金」から、あたかも持っているかのように膨らませられる、ということですよね。それが過度に大きくなったことが問題になったのであって、その収縮過程で富が消えていったことが今の経済状況を生んでいるわけですから。


また例で書いてみます。

新規上場株があって、1株100円とする。
Aさんは1株購入し、Bさんに200円で売却。BさんはCさんに300円で売却。CさんはDさんに50円で売却した。

すると、Aさんは100円の利益、Bさん100円の利益、Cさんは250円の損失、ということになる。Dさんは50円を出しただけ、ということで、プラスでもマイナスでもないですね。利益と損失はDさんの50円も含めれば、同額ということになるでしょう。

ここで、上場時に100円で1000株購入していた株主の甲さんがいたとします。一度も売却していません。
甲さんは100円で買ったので全部で10万円投資したことになりますが、Cさんが購入した時点の300円で評価したとすると30万円になり、プラスは20万円と売買を通じてAさんやBさんが得た利益なんかよりもはるかに多くなります。しかし、現在価格は50円なので、価値は5万円しかありません。つまり、初期投資額10万円と現在評価額5万円の差額5万円は、誰も得をしていないのにも関わらず損失だけが残るのです。


甲さんの資産がこの株式1000株だけだったとしましょう。
Bさんが購入した時点の価格で見ると、200円ですから資産サイドに20万円分持っていることになります。
これを担保に同額の借入を行い、この20万円でレバレッジの効いた金融商品Xを400万円分投資できたとすると、資産サイドには金融商品X400万円分と株式1000株(評価額20万円)の合計420万円があることになります。

このように、持っていたものが1株100円で購入した株式1000株だけであったのに、価格が値上がりすることで信用枠ができ、それを用いてバランスシートが420万円まで拡張できたということになります。例えばFXとかオプション取引のような損益を増幅できる金融商品があるので、実際の投資額はレバレッジでかなり拡張できる、ということです。

ところが経済危機で株式の評価額が持ってるだけで5万円まで下がり、金融商品Xの損失も拡大してゆくと、バランスシート上では資産サイドだけが急速に収縮していったことになるのです。けれども、負債サイドには負債が残り続けるので、資産側に資金注入して維持するか、負債サイドを減らすこと(資産売却で返済とかデレバレッジなど)を同時にやるか、ということになったわけです。

特に、金融商品Xは猛毒らしい、と皆が思うと、誰も買わなくなるので、流動性が枯渇する、価格が暴落してしまう、ということになったわけです。この金融商品Xや株が土地や不動産などであっても同じようなものです。

結局のところ、バランスシート上で資産価値の値上がりで生み出された信用枠を利用して借入を行い、バランスシートを更に拡大させたのだということです。これが富の膨張を生んできたのであり、逆に崩壊過程では収縮が引き起こされたのです。



為替介入よりも

2008年12月18日 14時26分27秒 | 経済関連
日銀がゼロ金利に戻すしかないでしょう。
大企業のお偉いさんたちから「利下げしてくれ」という要望の声が出ているようだけれども、だったら何でもっと早くから言わなかったんだよ。07年に余計な利上げに踏み切っていなければ、こんなことにはなっていなかったんだぞ?

昨年末に書いた記事で述べたが、07年中の利上げが結果的には「余計なお節介」だったのだ。金利変更の影響度がタイムラグをもって経済に波及してゆくとすれば、阻止すべきはまさに「あの日、あの時」だったんだよ。だが、経済界の連中は浮かれていた。特に、輸出企業は先行きを楽観していた。だから、利上げには反対しなかったのだろ。その結果が、このザマだ。今頃になって「利下げしてくれ」なんて泣き言を並べるのは、片腹痛い。現時点で下げたって、直ぐには効果がでてくるかどうかは判らんぞ?無駄に年を取るだけが能でもあるまいに。
先人曰く、「転ばぬ先の杖」だろ?(笑)

米国が昨年に利下げに踏み切って以降、日銀も利下げせよ、という声が経済界からは全然高まらなかったでしょ。何故日銀が批判されねばならないのか、ということについてでさえ、誰も考えていなかったでしょう?そんなだから、今頃になって泣きつくことになるんだろ。

経済界をあげて日銀に直訴しに行けばいいんじゃないか?
日銀の玄関前に、経団連でも同友会でも役員たちは一斉に並べばいいよ。ホラ、道路特定財源の一般財源化に反対した時みたいに、社長総出で「利下げ運動」でもやったらいい(笑)。
まあ、後手後手になってしまうと、何をやっても「効き目が悪い」ということにはなるわな。今からじゃねえ…。

CMでもあるでしょ?
「食べる前に飲む」
お偉いさんたちは、「食べてから、腹が痛いので飲みます」ってなことだわな。だから、間に合わない。痛い思いをする、みたいなもんだ。手術中に血圧が下がってるな、という時には、用心して血圧を保つ(低いのを是正して上げておく)ようにしておかないと、大量にジャージャー出てから大慌てで血圧を回復しようとしても、間に合わないんだよ。循環機能が病み上がりで万全でなければなおのこと、何倍も注意してなけりゃダメなんだって。血圧が下がってきてるな、という兆候を察知したら、一時的に若干の出血があっても耐えられる程度までには輸液するなり、昇圧剤を入れるなりしておくのが当たり前なんだって。そういう注意を怠るから、こんな有様なんだろ。
大体、人の話を聞いてないからだろ。って、ウチのような寂びれブログだと、元から影響力はないんですが。優秀な役員連中が何人も揃っていながら、何故こんな事態に陥るのかなと不思議に思いますよ。


それと、為替介入してくれ、という声もちらほら出ていますが、輸出企業の連中を救う為に借金してまでドル買いをせねばならんので、それはそれで苦しいということもあるかもね。1円のドル安を達成するのに、いくらくらいかかるんですか?輸出企業を救う為に、10円ドル安を達成せねばならないとして、そうなると、10兆円とかの規模で金が必要ということになったりはしませんかね?恐らく、そういうことになってしまうと思いますけど。それなら、ドルを買わずに、ダイレクトに企業に金を渡した方が早くないですか?

といいますか、首切りマシンみたいな企業に、国民が高い原油を買わされてまで何故金をばら撒く必要がある?
切られた従業員の人たちに、次の雇用先の給与を一部支給する方がまだマシだわ。それなら、1人300万円としても、100万人分でも3兆円で済む。そこに給与を上乗せするなら、新規に雇った企業が払えばいいだけだから。そっちの方がマシなんです。だから、現時点での為替介入については、消極的な立場です。
今年春頃に95円切るくらいに一気に行ったことがありましたが、あの時はあまりの急激な変化だったので、為替介入も辞さずと思っていましたけれども、今の状況では今後ドル安が進展するのを日本だけでは止めることが難しいかも、と思えたりしますので、介入を継続するのは巨額資金が必要になってしまいます。外貨準備金で為替損が3兆円出てしまった、と諦めれば、その3兆円投入で雇用が確保されるし日本の輸入額は抑制されたままにできますから、お得ではないかと。


輸出企業は、これまで恩恵を独占してきたわけですから、ここは一つ自助努力で。