次のコメントを頂いたので、記事に書いてみます。
>「ひたすら札をジャンジャン刷れば、いくらでも穴埋め可能」という部分だけ賛成できません。
>可能ならジンバブエはとっくに回復してます。
確かに。ジンバブエのハイパーインフレは酷いですよね。
ジャンジャン札を刷っても、人々がそのお金を信用しない場合には、「価値がない」ということでしょう。仮に(犯罪なんで、できっこないんですが)、私が「マイお金」であるところの自分の肖像画入り紙幣―とりあえず単位をルドとしましょう―を大量に印刷して、「1ルド」は1万円と同じ価値でーす、と言って使おうとしても多分どこでも使えないでしょう。誰も私のお金を信じてはくれないからです。誰も私のお金「1ルド紙幣」を1万円どころか100円でも買ってくれないでしょう。それと同じようなものですね。お金というのは、みんなに共通する信頼が保たれていなければ価値を持ちえません。その信頼の源とは何かと言えば、幻想のようなものでしかなく、それは国家という実体のよく判らないものが「約束を守ってくれる」と信じることだけでしょう。担保は特にないでしょう。
参考記事:続・お金とは何か?
ジンバブエではこの信頼が崩壊してしまったので、どうしようもないハイパーインフレとなってしまいましたが、米ドルはジャンジャンお札を印刷してもまだ大丈夫でしょう。それは米ドルが基軸通貨であるからです。
今年1月に記事に書いたのがコレ>アメリカの「悪魔的手法」とは何か
先日、これと似たような話が出されていました。
はてなブックマーク - 金融帝国アメリカを支えるカラクリ:NBonline日経ビジネス オンライン
要するに、米ドルが基軸通貨である限り、米ドルが崩壊すれば同時に世界経済も崩壊してしまうことになってしまいますので、そう簡単にはいかない、ということでしょう。もしも米ドルの価値がジンバブエドルほどには下落しないとしても、ドル安が酷くなれば日本や中国やその他諸外国の持つ「ドル資産」は大幅に価値下落となり、大損することになります。でも、ドル資産ばかり持っている米国にとっては、さほど痛手でもありません。しかも、かつてドルで海外資産を購入していた分は、逆に「大幅高」ということになるでしょう。
米ドルが大幅に値崩れしないのは、貨幣需要が確実にあるからです。海外旅行者がドル紙幣を持ち帰って机の抽斗に置いておくとか、外貨預金口座にドル資産があるとか、米国債を買っているとか、そういったドル建資産を大量に持っているわけです。ドルペッグ制の国がある(主に産油国や途上国等)ことや、中国のような為替管理を行っている国などでは外貨準備高を相当積み上げており(日本もそうです)、これらの国々は米ドル(米国債)を大量に購入しているのと同じですので、突然の米ドル崩落みたいなことにはなり難いと思います。
ある朝目が覚めると前日の半分に米ドルの価値が下がっているとしたら、みんな一斉に「米ドルがお買い得なので自国通貨で買います」という風に飛びついてしまうので、安いと思われる水準が訂正されるまでドル買いとなるでしょう。すなわち、ハイパーインフレのような現象は起こらない、ということになります。万が一、米ドルの価値が10分の1になってしまうと、今まで1ドル=100円だったのが1ドル=10円になりますが、保有していたドル資産は極端に暴落することになるので、世界中が大変なことになってしまいます。米国内でのハイパーインフレが酷い状況になってしまうかもしれませんが、それ以上に全世界中の国々で破産者続出となり、経済は大混乱に陥ることになるでしょう。
ただのローカルマネーであったはずの米ドルが、いつの間にか世界中での共通単位通貨みたいに扱われるようになってしまったので、その分だけ米国は得しているのです。みんなが「いらねえや」と思って、売っぱらってしまえば、通貨安となってしまうだけですからね。かつて、南米、アジアやロシアなんかでは、実際にそういうことが起こってしまい、国ごと破産してしまったわけです。米国はその危険性を逃れている、ということですね。まさに今問題にされているGSEと同じだ、ということです。各種経済統計などでも、自国通貨だけでは比べ難いのでドル建て表示がされていることがあり、貿易ではどうしてもドル建てとなってしまうことが多いでしょう。そういう利点をフルに生かしているのが米国であり、米ドルだということです。
ヘンな架空の話で申し訳ないですが、また例で考えてみます。
ここに、米ドル市場という広場があります。取引はこの広場で行われます。今、Aさんが便座を持っているとします。この便座を担保に、1万ドル分の債券を発行することを思いつきました。債券を売り出して、「誰か買ってくれないかな~?」と広場で待っています。広場の外には、外国のJさんがいます。Jさんは、日本円で100万円持っています。Aさんの持っている債券を買ってみようかな、と考えました。1ドルは100円で、100万円あれば1万ドル分の債券を丁度買えますね。でも、円をドルに替えなければなりませんよね。
そこで中銀さんが登場します。中銀さんはお金を発行でき、広場に1万ドル供給します。すると、Jさんの持っている100万円と1万ドルを交換し、この1万ドルはAさんの債券と交換されます。すると、どうでしょう?
Aさんの持っていたもの:便座 (担保)
Aさんの獲得したもの:1万ドル
Jさんの持っていたもの:100万円
Jさんの獲得したもの:1万ドル債券
中銀さん:1万ドル発行
広場には:100万円
という風になります。
中銀さんが100万円を広場から回収するとすれば、何も持っていなかったところから「1万ドル」を生み出し、代わりに100万円を手にすることができます。発行コストと100万円の差額分は中銀さんの利益となりますよね。Jさんには将来100万円(+利息)が支払われるでしょうが、払うのはAさんです。中銀さんが100万円と1万ドルを交換したのと同じであり、1万ドルが生み出された根源というのは何かというと、「信用」ということだけでしょうね、多分。中銀さんは紙幣を発行できる権利を持っているけれども、特別に何かを創造したりする仕事や能力があるわけではありません。製造業じゃないですから(笑)。極めて抽象的でしかない「信用」というものから、「貨幣」を生み出しているのと変わらないんじゃないのかな、と。
では、中銀さんの後ろ盾は何かというと、国家でしょう、きっと。それは「政府保証」みたいなものと同じ意味あいでしょう。政府保証とは何ぞや、ということを考えても、特別な何かがあるわけではないでしょう。主に、「倒れるはずがない」とか「約束を守るはずだ」というような、思い込みか幻想のようなものです。極めて主観的な期待とか印象とか、そういうようなものと大体同じではないでしょうか。発行主が「ジンバブエ政府です」というと、誰も100万円を広場には持ってこない、ということです。けれども、米国政府です、という場合には、100万円と交換してもいいよ、という人たちが大勢現れるだろう、ということです。このジンバブエと米国の違いは何かというと、住所不定の日雇い労働者と、日本最大の時価総額を持つ企業の社長との違い、みたいなもんでしょうか。たとえこの社長が住宅ローンとして1億円の借金を抱えていたとしても、多くの人は社長の方を信頼するだろう、というようなことです。
今後、急激な変化は世界中の経済を破壊するのでマズいですけれども、長い時間をかけて変化させることは可能であると思います。英ポンド(GBP)の地位が低下していったのと同じく、米ドルの地位は相対的に低下していくことになるかもしれません。少しずつですが、ドル資産を持つ人たちが減っていく、ということです。代わりに、ユーロやスイスフランやシンガポールドルや中国元を持つ人たちが出てくる、ということです。ひょっとすると、日本円も入っているかもしれませんが(笑)。
「強いドル」幻想が崩れていくのは、時間の問題なのかもしれません。既に指摘もあるようですので。
こちら>はてなブックマーク - 米金融危機:自己責任原則の放棄で米国は弱体化、ドルは凋落 Reuters
日本はこれまで散々文句を言われ続けてきたし、日本だけが硬直的なんだ、というような「悪の権化」の代表例のように吊るし上げられ、それに反論することも対抗することもできないような政治家連中ばかりだったのです。いつでも言われっぱなし、叩かれっぱなし、という国だったのです。けれど、私はそういうのを傍観するつもりはないですね。
「ヨソの国に規制緩和を求める」の図
出島よりも種子島を知るべきだ
寿司を食いたきゃ箸使え!
言うべきことは言うべきだし、断固戦うべき時には一歩も退かずに戦うべきなんですよ。だが、日本はそうじゃなかった。腰抜け同然に、奴隷のように言いなりになって、欧米人からは蔑視対象とされてきたんです。そういう姿勢を今後も続けるということは許されない。お偉いさんたちがバカだったのか、自己利益追求の為に下らん手下に成り下がっていた連中が大勢いたのか、はたまた「ニッポン侵略」の陰謀のせい(笑)なのか、全く判らない。が、自分の頭で考えてみればいいだけなのに、それができないボンクラが多くいたんだな、ということはよく判った。「ふざけるな!」と怒鳴られたら、スゴスゴと引っ込むだけの人間しかいなかったんだよ。誰1人として、「なめるんじゃない!」と一喝する人が現れなかったんですよ。タカリに遭うのはそのせいなんです。米兵の事件にしてもそうだ。なぜ真剣に戦わないのか、って思ったよ。オレはそんなにお人よしじゃない。日本国民が一番大事なのであって、彼らの利益を守ることなんかじゃない。
戦いを挑まれたら、逃げずに戦うことも必要な場合はある、ということです。
>「ひたすら札をジャンジャン刷れば、いくらでも穴埋め可能」という部分だけ賛成できません。
>可能ならジンバブエはとっくに回復してます。
確かに。ジンバブエのハイパーインフレは酷いですよね。
ジャンジャン札を刷っても、人々がそのお金を信用しない場合には、「価値がない」ということでしょう。仮に(犯罪なんで、できっこないんですが)、私が「マイお金」であるところの自分の肖像画入り紙幣―とりあえず単位をルドとしましょう―を大量に印刷して、「1ルド」は1万円と同じ価値でーす、と言って使おうとしても多分どこでも使えないでしょう。誰も私のお金を信じてはくれないからです。誰も私のお金「1ルド紙幣」を1万円どころか100円でも買ってくれないでしょう。それと同じようなものですね。お金というのは、みんなに共通する信頼が保たれていなければ価値を持ちえません。その信頼の源とは何かと言えば、幻想のようなものでしかなく、それは国家という実体のよく判らないものが「約束を守ってくれる」と信じることだけでしょう。担保は特にないでしょう。
参考記事:続・お金とは何か?
ジンバブエではこの信頼が崩壊してしまったので、どうしようもないハイパーインフレとなってしまいましたが、米ドルはジャンジャンお札を印刷してもまだ大丈夫でしょう。それは米ドルが基軸通貨であるからです。
今年1月に記事に書いたのがコレ>アメリカの「悪魔的手法」とは何か
先日、これと似たような話が出されていました。
はてなブックマーク - 金融帝国アメリカを支えるカラクリ:NBonline日経ビジネス オンライン
要するに、米ドルが基軸通貨である限り、米ドルが崩壊すれば同時に世界経済も崩壊してしまうことになってしまいますので、そう簡単にはいかない、ということでしょう。もしも米ドルの価値がジンバブエドルほどには下落しないとしても、ドル安が酷くなれば日本や中国やその他諸外国の持つ「ドル資産」は大幅に価値下落となり、大損することになります。でも、ドル資産ばかり持っている米国にとっては、さほど痛手でもありません。しかも、かつてドルで海外資産を購入していた分は、逆に「大幅高」ということになるでしょう。
米ドルが大幅に値崩れしないのは、貨幣需要が確実にあるからです。海外旅行者がドル紙幣を持ち帰って机の抽斗に置いておくとか、外貨預金口座にドル資産があるとか、米国債を買っているとか、そういったドル建資産を大量に持っているわけです。ドルペッグ制の国がある(主に産油国や途上国等)ことや、中国のような為替管理を行っている国などでは外貨準備高を相当積み上げており(日本もそうです)、これらの国々は米ドル(米国債)を大量に購入しているのと同じですので、突然の米ドル崩落みたいなことにはなり難いと思います。
ある朝目が覚めると前日の半分に米ドルの価値が下がっているとしたら、みんな一斉に「米ドルがお買い得なので自国通貨で買います」という風に飛びついてしまうので、安いと思われる水準が訂正されるまでドル買いとなるでしょう。すなわち、ハイパーインフレのような現象は起こらない、ということになります。万が一、米ドルの価値が10分の1になってしまうと、今まで1ドル=100円だったのが1ドル=10円になりますが、保有していたドル資産は極端に暴落することになるので、世界中が大変なことになってしまいます。米国内でのハイパーインフレが酷い状況になってしまうかもしれませんが、それ以上に全世界中の国々で破産者続出となり、経済は大混乱に陥ることになるでしょう。
ただのローカルマネーであったはずの米ドルが、いつの間にか世界中での共通単位通貨みたいに扱われるようになってしまったので、その分だけ米国は得しているのです。みんなが「いらねえや」と思って、売っぱらってしまえば、通貨安となってしまうだけですからね。かつて、南米、アジアやロシアなんかでは、実際にそういうことが起こってしまい、国ごと破産してしまったわけです。米国はその危険性を逃れている、ということですね。まさに今問題にされているGSEと同じだ、ということです。各種経済統計などでも、自国通貨だけでは比べ難いのでドル建て表示がされていることがあり、貿易ではどうしてもドル建てとなってしまうことが多いでしょう。そういう利点をフルに生かしているのが米国であり、米ドルだということです。
ヘンな架空の話で申し訳ないですが、また例で考えてみます。
ここに、米ドル市場という広場があります。取引はこの広場で行われます。今、Aさんが便座を持っているとします。この便座を担保に、1万ドル分の債券を発行することを思いつきました。債券を売り出して、「誰か買ってくれないかな~?」と広場で待っています。広場の外には、外国のJさんがいます。Jさんは、日本円で100万円持っています。Aさんの持っている債券を買ってみようかな、と考えました。1ドルは100円で、100万円あれば1万ドル分の債券を丁度買えますね。でも、円をドルに替えなければなりませんよね。
そこで中銀さんが登場します。中銀さんはお金を発行でき、広場に1万ドル供給します。すると、Jさんの持っている100万円と1万ドルを交換し、この1万ドルはAさんの債券と交換されます。すると、どうでしょう?
Aさんの持っていたもの:便座 (担保)
Aさんの獲得したもの:1万ドル
Jさんの持っていたもの:100万円
Jさんの獲得したもの:1万ドル債券
中銀さん:1万ドル発行
広場には:100万円
という風になります。
中銀さんが100万円を広場から回収するとすれば、何も持っていなかったところから「1万ドル」を生み出し、代わりに100万円を手にすることができます。発行コストと100万円の差額分は中銀さんの利益となりますよね。Jさんには将来100万円(+利息)が支払われるでしょうが、払うのはAさんです。中銀さんが100万円と1万ドルを交換したのと同じであり、1万ドルが生み出された根源というのは何かというと、「信用」ということだけでしょうね、多分。中銀さんは紙幣を発行できる権利を持っているけれども、特別に何かを創造したりする仕事や能力があるわけではありません。製造業じゃないですから(笑)。極めて抽象的でしかない「信用」というものから、「貨幣」を生み出しているのと変わらないんじゃないのかな、と。
では、中銀さんの後ろ盾は何かというと、国家でしょう、きっと。それは「政府保証」みたいなものと同じ意味あいでしょう。政府保証とは何ぞや、ということを考えても、特別な何かがあるわけではないでしょう。主に、「倒れるはずがない」とか「約束を守るはずだ」というような、思い込みか幻想のようなものです。極めて主観的な期待とか印象とか、そういうようなものと大体同じではないでしょうか。発行主が「ジンバブエ政府です」というと、誰も100万円を広場には持ってこない、ということです。けれども、米国政府です、という場合には、100万円と交換してもいいよ、という人たちが大勢現れるだろう、ということです。このジンバブエと米国の違いは何かというと、住所不定の日雇い労働者と、日本最大の時価総額を持つ企業の社長との違い、みたいなもんでしょうか。たとえこの社長が住宅ローンとして1億円の借金を抱えていたとしても、多くの人は社長の方を信頼するだろう、というようなことです。
今後、急激な変化は世界中の経済を破壊するのでマズいですけれども、長い時間をかけて変化させることは可能であると思います。英ポンド(GBP)の地位が低下していったのと同じく、米ドルの地位は相対的に低下していくことになるかもしれません。少しずつですが、ドル資産を持つ人たちが減っていく、ということです。代わりに、ユーロやスイスフランやシンガポールドルや中国元を持つ人たちが出てくる、ということです。ひょっとすると、日本円も入っているかもしれませんが(笑)。
「強いドル」幻想が崩れていくのは、時間の問題なのかもしれません。既に指摘もあるようですので。
こちら>はてなブックマーク - 米金融危機:自己責任原則の放棄で米国は弱体化、ドルは凋落 Reuters
日本はこれまで散々文句を言われ続けてきたし、日本だけが硬直的なんだ、というような「悪の権化」の代表例のように吊るし上げられ、それに反論することも対抗することもできないような政治家連中ばかりだったのです。いつでも言われっぱなし、叩かれっぱなし、という国だったのです。けれど、私はそういうのを傍観するつもりはないですね。
「ヨソの国に規制緩和を求める」の図
出島よりも種子島を知るべきだ
寿司を食いたきゃ箸使え!
言うべきことは言うべきだし、断固戦うべき時には一歩も退かずに戦うべきなんですよ。だが、日本はそうじゃなかった。腰抜け同然に、奴隷のように言いなりになって、欧米人からは蔑視対象とされてきたんです。そういう姿勢を今後も続けるということは許されない。お偉いさんたちがバカだったのか、自己利益追求の為に下らん手下に成り下がっていた連中が大勢いたのか、はたまた「ニッポン侵略」の陰謀のせい(笑)なのか、全く判らない。が、自分の頭で考えてみればいいだけなのに、それができないボンクラが多くいたんだな、ということはよく判った。「ふざけるな!」と怒鳴られたら、スゴスゴと引っ込むだけの人間しかいなかったんだよ。誰1人として、「なめるんじゃない!」と一喝する人が現れなかったんですよ。タカリに遭うのはそのせいなんです。米兵の事件にしてもそうだ。なぜ真剣に戦わないのか、って思ったよ。オレはそんなにお人よしじゃない。日本国民が一番大事なのであって、彼らの利益を守ることなんかじゃない。
戦いを挑まれたら、逃げずに戦うことも必要な場合はある、ということです。