新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

トランプの交渉のカードとして持ち出す関税措置は天に投げたたブーメランか!?

2025年01月27日 12時07分54秒 | トランプ外交

週明けの朝の情報番組では、相変わらず「フジテレビの不祥事」の話題が尽きない。
 
こんな情報があった。
 


 
ネット民からは、「フジテレビ、他キー局にも手を出してたのかよ!
同業のよそ様に迷惑をかけていたとなるともうこれは潰すほかなくなっちゃうね。
フジテレビ 他局の女子アナも中居接待へ…幹部が手引き 民放キー局の調査で判明。
フジアウトだわ。
中居も復活の兆しも断たれたな!
 
すでに、こんな動きもでているらしい。
 
フジテレビ港社長の命運とフジメディアHD「株価急騰」の着地点は?運命の6月に向け狙われる不動産群…ホリエモンに期待の声も
 
中居正広のスキャンダルとその後の記者会見によって、すっかり「社会悪」のイメージが定着してしまったフジテレビ。同社と港社長はどうなる?一方、フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスの株価は、港社長の会見と前後して急騰。その理由は?
■「社会悪」となったフジテレビのスキャンダルはこれからが本番
フジテレビ(従業員数6000人)の組織的関与が疑われるスキャンダルが、とうとう局そのものを潰しかねないところまできました。

テレビの売上収入はスポンサーの広告費です。大手スポンサーのトヨタ、日本生命、明治安田生命、NTT、アフラック(保険)を筆頭に、1月21日までに50社以上が相次いでスポンサーを降りることを表明しました。

中居正広氏の問題よりも重いのは、あらかじめ取材を制限し、一方的に言葉を発するだけで、質問には何も答えない港浩一社長の会見です。これが、日枝-港体制のフジテレビが持つ「隠蔽体質」をあからさまに示した。約50回にのぼる回答拒否は、疑いを晴らすどころか、社長まで含む組織的なスキャンダルへの関与を示唆するものでした。
このスキャンダルを取り上げる理由は、わが国のテレビメディアに共通の問題だからです。“映像のない社長会見”のひどさに、スポンサーは即刻フジを離れました。フジの組織内部からも、隠蔽体質を露呈した会見を糾弾する声があがっています。ですが、テレビを特例的、特権的な世界と考え、何をやっても社会から許されると考えているふしがあるフジ幹部には、この問題の認識ができていないように思えます。

元SMAPのタレント、中居正広氏のスキャンダルが世間に知られる過程で、フジテレビには反社組織に共通する「社会悪」のイメージがつきました。「事件」の真相はまだ闇のなかですが、株主総会がある6月よりも前に明らかになるでしょう。経営者が恐れるのは株主総会の質疑です。スポンサー契約が更新される4月番組改編で、テレビ事業の危機が露呈します。
撤退ラッシュは、約4000億円(1日あたり11億円=テレビ局の売上)の広告料を払っていたスポンサー企業の過半以上に広がるでしょう。テレビ局は特定のスポンサーに、新聞は全国の購読世帯に情報を買ってもらう事業です。新聞購読者より5桁も少ない数のスポンサーに依存する事業構造ですから、いったん離れると速い。
■それでも「放送免許はく奪」はない。背景に総務省の天下り
一方で、放送免許はたぶん残るでしょう。フジテレビは電波帯(国民の共有資産)を総務省を通じて借りる立場ですが、フジテレビには総務省からの天下りが多数います。総務省とテレビ局は癒着しています。この問題は総務省を抜きには語れません。

どの業界でも官僚は監督すべき業界に天下っています。正常な神経では許されないことですが、官庁からの年間の天下り総数は3600人です。たとえば財務省・金融庁は銀行に天下りします。文科省は補助金を渡す学校法人、経産省は大手企業、厚労省は製薬と医療法人です。
官庁は、天下りのために予算と権限の拡大を求めます。日本の行政の根本にある問題です。補助金や業界への立法、それに企業に生じた問題を握り潰すための相談窓口と監督官庁へのパイプ役が、天下り官僚の役割です。
■PBR0.41倍。一等地の優良不動産を手に入れるのは誰か?
フジテレビを傘下に持つフジ・メディア・ホールディングスは、テレビメディアに関心をもつ投資主体に買収され、経営権を譲渡することになるでしょう(筆者の認識ではほぼ確定的)。
急落していたフジ・メディアHDの株価が、港社長の不首尾な会見があった1月17日から上がったのは買収期待によるものです。過去にフジテレビ買収を試みたホリエモンの名前も浮上するなど注目を集めています。
フジ・メディアHDの時価総額は3959億円、株価/純資産倍率(PBR)は0.41倍と低く(1月17日終値時点)、株価の約2.5倍の純資産(その多くは不動産)を持っているため、「フジテレビは安い買い物」です。同社が一等地に所有する不動産を時価の約1/2の価格で買うことと同じになります。
フジにかぎらず、テレビメディアのPBRは軒並み低い。TBSはフジ並みの0.51倍。テレビ朝日が0.44倍、日本テレビが0.41倍、テレビ東京でやっと0.91倍です。いずれも解散価値を下回っています。視聴数が減り、テレビ広告費が減少傾向にある中、どのテレビ局も放送事業は低迷が続いています。
■「新聞・テレビ時代」の終焉
新聞やテレビは長年、「社会正義」の味方のように装って「大きな顔」をしてきました。「自分は国民をバックにしている」という自負がある新聞記者やテレビ報道記者の、尊大な態度にそれが現れています。

「メディア権力」をもつ編成部、編集部やプロデューサーは「番組に出させてやる」という姿勢なのです。全盛期ほどの勢いはなく衰えつつあると言っても、彼らの番組や記事は国民に対してまだ「ブランド価値」を持っているからです。
「〇〇テレビです」「〇〇新聞です」と自己紹介すれば、たぶん70%の人は信用し、突然の取材にも応じるのが現状でしょう。当方は組織ではなく個人として人を見ることを習慣にしているからか、記者たちがかぶっている衣装の裏側、組織の権威や権力を利用する体質がよく見えます。
東京の有名大学の文系学生の間では、いまだに「報酬が高くブランド価値があるマスメディア」への就職人気が高い。しかし2024年、25年、26年は、20世紀以降の近代社会が行き詰まり、「時代適合」できない組織が崩壊していく時期です。政治、政党、メディア、金融、企業を巻き込んで、大きな転換点となるでしょう――


 
フジテレビ及び関連下請け会社で働く人たちの今後の身の振り方を全く考えなければ、個人的にはフジテレビという似非メディアはなくなってもいいのではないかと思ってしまう。
 
さて、すでに「トランプ2.0」という呼び名が広がっているらしいのだが、最後の調停官 島田久仁彦がこんな刺激的な記事を書いていた。
 
恐怖と脅しで他国を言いなりに。トランプとプーチンの共通点「いじめっ子外交」&「恐喝外交」の地獄絵図
 
第1期政権と同じくアメリカ第一主義の推進を掲げ、就任初日から自国優先的な大統領令への署名を行い続けるトランプ氏。その外交政策についてはマイナス面を強調する意見が多く見られますが、国際情勢の見極めに長けた専門家はどう読むのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、さまざまな要素を勘案しつつ、第2期トランプ政権が国際社会にどのような状況をもたらすかについて考察しています。
■もたらすのは国際秩序の安定か完全破壊か。ついに来たトランプ2.0
「国際政治、世界は大国が牛耳るべきであり、その他の小さな国々はそれにただ従うべきだ」
先週号の冒頭でもご紹介したトランプ大統領が就任前から繰り返してきた独裁者のような発言は、就任早々繰り返され、それが大統領令の連発という形で、それまでの国際秩序の総見直しをスタートさせようという動きとして表出してきています。
気候変動問題に対する国際的な対応を規定するパリ協定から離脱することを宣言し、コロナ対策の陣頭指揮を執ってきたWHOには、トランプ前政権時の苦々しい経験も反映されているのか、同じく離脱・脱退を宣言して決別し、今後、国際機関とどう付き合うべきかについて総見直しをしようとしています。
就任演説でも、バイデン前大統領とハリス前副大統領の前で、前政権を徹底的に非難し、これまでの政策を全否定する姿勢を明確に打ち出したトランプ大統領の姿は、有権者に向けた政治的なパフォーマンスと見ることも可能ですが、デンマーク領グリーンランドの購入やパナマ運河の返還といった無茶苦茶な要求と同じく、どの程度まじめに捉え、対応策を練るべきかという大きな問いが、国際社会に突き付けられています。
就任直後からいろいろと物議を醸しだしているトランプ政権ですが、面白いのは政権の目玉のはずの“関税”の即時実施を見送り、対メキシコ・カナダには25%、中国には最高60%の関税を発動すると言いつつも、その実行時期については“政権として”明言していません。記者から問われて「2月1日にカナダとメキシコに対して発動」と咄嗟に回答したものの、政権内では「早くとも4月1日付」という認識が広がっていたらしく、すでに発言内容と実施の不一致が生じています。
また「就任から半年以内に停戦を実現する」と言い直したロシア・ウクライナ戦争の停戦協議開始に向けて、トランプ大統領がロシアのプーチン大統領に突き付けたのも“関税措置”であるのは、個人的には意外でかつ面白い展開だと見ています(紛争調停・仲介に関税を結びつけたか…へー、という感じです)。
当のプーチン大統領は繰り返し「ロシアはアメリカからの呼びかけに応じ、いつでも協議のテーブルにつく用意がある」と発言していますし、トランプ大統領も「近日中にプーチン大統領と直接話す」と明言し、近々事態が動きそうな予感がしますが、実際には早くも米ロ間でのジャブの撃ち合いが始まっています。
先ほど触れた“対ロ関税措置”や“対ロ追加制裁の発動”などはアメリカ・トランプ大統領からのジャブですが、それを受けるプーチン大統領は笑顔でそれを交わしつつ、「協議のテーブルにはいつでもつく用意があるが、ロシアとしては停戦のための条件を緩めることはない」という固い意志を持ったジャブを打ち返している状況です。
■「ウクライナが重要」というわけではないトランプ
それを眺めながら「自分の知らないところで自国の運命が決められかねない」と焦っているのが、ウクライナのゼレンスキー大統領です。
今週はダボス会議に赴き、各国リーダーやビジネスのリーダーたちにウクライナに対する支援の継続と拡大を訴えかけていますが、その内容があまりにも無茶ぶりに思える内容であるため、その要請をまともに捉える者はいないという状況に陥っているようです。
交渉戦略的には、典型的なBargaining戦略だと思われますが、ロシア・ウクライナ戦争の停戦の落としどころが“緩衝地帯の設置”になると踏んでその緩衝地帯に欧州から(できればアメリカも)最低20万人の部隊の常時駐留を求めるというものになっていますが、欧州各国はまともに捉えておらず、「数万人単位の駐留は何とか検討できるが、それ以上となると…」という反応を見せて、コミットメントを約束しないという事態になっています。
欧州各国も「トランプ大統領はいろいろと決めても、後始末は欧州各国に押し付ける」と踏んでおり、非常にfragileかつhostileな国内世論と欧州経済のスランプに直面し、何の約束もしないという状況が続いています。
何とか欧米諸国の注意を惹こうとウクライナが差しだしたのは、これまで強く求めてきたNATOへの加盟というカードで、加盟交渉をしばらく凍結することと引き換えに、NATO各国から常駐の平和維持軍を派遣することを求めていますが、欧州各国は相手にしていないのが現状のようです。
トランプ大統領は「ゼレンスキー大統領とはすでにいろいろと話している」と気に掛けるそぶりは見せるものの、同時に「これからはプーチン大統領と直接話す時だ」とすでにフォーカスをプーチン大統領との直接協議に移しており、焦りのままに過大な要求を突き付けるゼレンスキー大統領をもう相手にしていないという分析も多く存在します。
トランプ大統領にとっては、ウクライナが重要というわけではなく、あくまでもこの紛争を公言通りに停戦に持ち込むことにはるかに大きな重心が置かれており、そのためにはプーチン大統領と話したうえで、プーチン大統領から出される条件をベースに、角を落として内容を若干丸めつつ、プーチン大統領とロシアが交渉の席に就き、“約束通りに”戦闘を停止するのであれば、ロシアが提示する条件を概ね受け入れて、その上で停戦の実現を自らのレガシーとしてアピールするのではないかと考えます。
ではどのような“条件”が考えられるでしょうか?
主だったものでは【ロシアがすでに一方的に併合・編入したウクライナ東南部4州およびクリミアの実効支配を認める】ことや、【ウクライナのNATO加盟交渉の無期限凍結】、そして停戦合意の実施と引き換えに【対ロ経済制裁の解除】などが含まれる可能性があります。
ただ、これをそのまま受け入れるとトランプ大統領としてもメンツが立たない可能性が高いので、プーチン大統領は代わりに【(いやいやではあるが…)国際的な部隊による平和維持活動と部隊の駐留に合意する】というカードを切るかもしれません。
この場合、大きな条件が付けられるのが【国際部隊による駐留】ということであり、これはゼレンスキー大統領や欧州各国が考える“欧州各国の部隊の駐留”という内容ではありません。イメージとしては、他の紛争における国連平和維持軍のようなもので、多国籍軍によって構成される中立の平和維持部隊というものかと考えます。
仮に妥協しても、欧州各国の部隊を受け入れる代わりに、ロシア側の要請として中国やイラン、ベラルーシ、そして比較的ロシア寄りと考えられるグローバルサウスの国々の部隊の駐留を受け入れさせることを強く推すことになると思われます。そしてバランサーとしてトルコを招き入れるか否かは不明ですが、エルドアン大統領は意欲を示していると聞きます。
■トランプやプーチンが全面に押し出す「共通する」手法
これが考えうる落としどころの一例だと考えられますが、今週、いろいろな国の人たちと話した際、「停戦がうまくいくかどうかを決めるのは、ゼレンスキー大統領がこれ(敗北)を受け入れることができるかどうかという点かと思う」という意見が多数聞かれました。
一瞬「なるほど」と頷きかけたのですが、これ、ロジックが完全に崩れていないでしょうか。
彼らの主張では「彼(ゼレンスキー大統領)はこの敗北の責任と多くの国民の命を犠牲にした責任を取るべき」という非常に乱暴な見解が示されているのですが、これは根本からおかしな話で、そもそも国際的な取り決めに反して、核保有国であるロシアが隣国に力を行使して侵攻したという“ことの発端”を棚に上げているように思えて、とても危険な状況に私たちは気づかずに陥っているのではないかと懸念します。
ただそれがベストな解決策であるかのように感じさせる“行動心理”が、トランプ政権の再登場によって、無意識のうちに私たちの考えに影響しているのであれば、これこそが大きな危機ではないかと考えます。
その心理の担い手が、ロシアのプーチン大統領であり、トランプ大統領ではないかと思いますが、共通しているのは“いじめっ子外交”と“恐喝による(脅しによる)外交”を前面に打ち出していることでしょう。
トランプ大統領が連発する関税措置の脅しや国境の閉鎖、移民の強制送還、パナマ運河の返還を求めること、そしてグリーンランドを米国領にするという領土拡大の野心などは、明らかに恐怖と脅しを梃子にアメリカの言うことを聞かせようとする外交姿勢です。そしてそれは皆さんお気づきの通り、プーチン大統領が得意とする手法でもあります。
そして強大な武力を盾に自国の言うことを聞かせる手法は、現在、イスラエルのネタニエフ首相が多用するものでもあると考えます。
トランプ政権誕生前日に、駆け込みの形でガザにおける戦闘の一時停止と人質解放についての合意が発効し、実際に人質の交換が行われ、すでに“トランプ大統領の影響力のおかげで事態が好転している”といったイメージ戦略が実施されていますが、その合意の発効ギリギリまでイスラエル軍はガザ北部に攻撃を続け、民間人の殺戮を行っていたことを決して忘れてはなりません。
圧倒的な力でねじ伏せ、再び立ち上がる気力を奪うことこそが、今、過去最高に極右に触れ、強硬策に訴えるネタニエフ首相が行っている作戦です。
そしてトランプ大統領が返り咲いたのを機に、ガザ情勢が収まったかのように見せ、ハッピーなムードを醸し出していますが、それと並行して、ネタニエフ首相とイスラエルの作戦は継続しており、ヨルダン川西岸地区に対する大規模な攻撃を開始し、すでに連立政権から離脱したはずの極右政党ユダヤの力の要求通りに、ユダヤ人入植を拡大すべく、軍事力を用いて、パレスチナ人の一般住民に攻撃を加えて支配地拡大を行っています。
その際、ネタニエフ首相はお決まりの「テロリストの壊滅に向けて必要な作戦」と攻撃を正当化していますが、実はこれ、トランプ大統領の無関心を逆手にとって強行しているのか、それともトランプ大統領から暗黙の了解を得てのことなのかは不明なものの、イスラエルは非常に危険な賭けに出ていると思われます。
ガザの停戦と人質の解放はアラブ諸国からも歓迎されていますが、そのポジティブな雰囲気を一気に冷ましているのが、このヨルダン川西岸への侵攻の強化です。
表立っての発言はないものの、サウジアラビア王国やUAE、そしてイランの高官は「この一連の攻撃は、イスラエルの本心を表しているものであり、イスラエルは国際社会の目がガザに向いている間に、実効的な支配を拡げようとしている」と激しく非難しています。
■トランプが政権発足間もない時期に成果を求めるウラ事情
トランプ政権については、上院で承認されて晴れて国務長官に就任したルビオ国務長官がヒズボラの弱体化やイランの弱体化などに対する“イスラエルの貢献”を称賛し、ガザにおける戦闘の一時停止に踏み切ったことを高く評価する旨発言しているものの、ヨルダン川西岸の事態については表立った発言もコミットメントも行っておらず、トランプ政権がどのような姿勢を本件について取り、イスラエルに対してどのような対応をするのかは、まだ不透明です。
ただ、中東地域における紛争のマグマと怒りの連鎖は収まることなく、沸々と燃え滾っており、何かしらの偶発的な衝突や事件が起きた暁には、一気に爆発し、下手するとこれまで以上に地域における戦争の勃発の可能性が高まるものと懸念しています。
ガザの停戦の仲介をしたカタール政府も、今回の成果を高く評価しつつも、「非常にデリケートなバランスの上に成り立っている合意・停戦であり、バランスを支える微小な駒が倒れるだけで、全体が一気に崩れて、最悪の事態に発展する可能性がある」と懸念を示しています。
すでにヨルダン川西岸でのイスラエル軍の横暴に対して、ガザの停戦の当事者であるハマスが反応しており「イスラエルの本心が露わになった。パレスチナは今こそ団結してイスラエルと戦うべきだ」と抗戦を呼びかけており、事態は予断を許さない状況と言えます。
この背景には、以前、中国政府が音頭を取ってパレスチナ関係団体14個とハマスをUnited Palestineとして協力する体制を作ったことがありますが(北京合意)、その協力を今、発動させるべく、中国が暗に発動を促し、ロシアもその支援を表明するなど、非常にきな臭い状況が生まれてきているのは、とても大きな不安材料になってきています。
この中国とロシアがパレスチナの後ろ盾になっているという事態を、トランプ大統領が気にしないはずはなく、実は、ウクライナ絡みでプーチン大統領と話す際に本件も持ち出すと言われていますし、近々、習近平国家主席と会談する際にも「中東には手を出すな」といった要求を、60%の関税措置の発動というカードをちらつかせながら、中国に迫るのではないかと考えます(これらについては、誰からも言質は得られていませんので、あくまでも私の懸念と妄想?!です)。
トランプ大統領のディール・メイキングが思い通りにいくかどうかは分かりませんが、再選の心配をしなくていいトランプ大統領は、実質的には好き放題できるはずのところ、どこかでバランスを取ろうとしているようにも見えます。
ロシアとウクライナの停戦や、中東における停戦の実現といった成果は、巷で囁かれるようにまさにノーベル平和賞に値するような内容かと思いますが、どうして政権発足して間もない時期に矢継ぎ早に成果を求めようとするのかは、いろいろな見方が存在するでしょう。
個人的には、すでにレガシーづくりに勤しんで自らの偉大さを示そうという自己顕示欲に加え、自身の保身のために、早めに成果を上げて、まずは2年後の連邦議会中間選挙で共和党の多数派を維持して、行政と立法府両方で共和党の権力基盤を強固にし、かつ自分の次の大統領(2028年)も共和党系候補を勝たせることで、前政権後、自らに降りかかる様々な訴追をとことん逃れることも画策しているため、成果を急いでいるのではないかと考えています(Yale大学の哲学教授のスタンリー教授の表現をお借りすると「トランプ大統領の最終かつ究極目標は刑務所に入らず、自分と家族を裕福にし、死ぬまで権力の座に居座ること」と言えます)。
米国経済にとってもマイナスとなる公算が高い関税戦争
初日に署名した46の大統領令のうち、いくつかは憲法違反が争われそうな様相だそうですが、そのような無茶をしてでも「政権発足直後から公約の実現に向けてスピーディーに勤しんでいる」姿を支持層に見せつけることで、自身に対する支持の強化はもちろん、2年後の中間選挙、そして次の大統領選挙に向けた権力基盤づくりを急いでいるのではないでしょうか。
いろいろな紛争に首を突っ込んで停戦を成し遂げようとするのもその一環ですが、先週号でも触れたように、プーチン大統領もネタニエフ首相も「今、言うことを聞いてトランプ氏に花を持たせておき、トランプ政権の間は大人しくしつつ着々と体制を整え、トランプ氏が去った後に宿願を実現するために再攻勢をかければいい」という思惑を持っているのではないかと勘繰りたくなりますし、ロシアやイスラエルの微妙な動きを見ていると、恐らくそうではないかとさえ感じます。
またトランプ氏が“いいとこどり”した後は、後始末を他国(ウクライナ情勢は欧州各国に任せ、中東は中東諸国に押し付ける)に押し付けることになることを皆、重々承知であるため、永続的な和平の実現は恐らく不可能になると思われます。
アメリカが世界の警察官としてのプレゼンスと、秩序作りに回帰するのであれば、様々なアメリカが絡む合意の実現と継続は裏打ちされるのだと思いますが、口だけ出し、おいしいところだけ取って、あとは放り投げる昨今の外交手法を、トランプ政権が継続するか、さらに露骨に行うのであれば、トランプ政権後の世界はまさに地獄絵図の様相を呈するのではないかと恐れています。
私の専門外ではありますが、トランプ大統領が交渉のカードとして持ち出す関税措置は、発動される側からすると恐怖以外の何でもありませんが、これは2国間の問題にとどまらず、すでにグローバル化し、相互依存が進んでいる国際経済と流通体制、需給体制などすべてにネガティブな影響を与え、食糧・エネルギー・資源などのソフトな安全保障体制にも大打撃を与えることになりますし、その無茶な関税措置を発動するアメリカも、その大打撃から逃れることはできないと思われるため、コロナのパンデミックとロシアとウクライナの戦争を機にブロック化し、スランプ状態に陥っている国際経済や流通体制に止めを刺す最悪の事態になるかもしれません(そしてその跳ね返りはアメリカのさらなる物価上昇に繋がるため、アメリカ経済にとってもマイナスになる公算が高いと思われます)。
トランプ政権はまだ始まったばかりですので、これらの懸念がすべて杞憂に終わるかもしれませんし、そうあってほしいと願いますが、これから訪れる国際情勢の不確実性と荒波に対して、いかにそれらに対応し、乗り越えていくかについて、私たちはできるだけ早急かつ具体的に戦略を練り、国際協力の下、実施していくことが大事だと考えます。
「近々、ワシントンに来てもらうから、準備していてほしい」
このような連絡が、このコラムを書いている最中に来ました。
具体的に何を期待されているのかは分かりませんが、どうも紛争調停・仲介に対する“考え”を尋ねられるのではないかと予想しています。

 
やはり他国に非常識な関税をかけたところで、決して米国内の経済は良くはならないことは多くの多くの識者が指摘しているのだが、トランプ自身がそのこと(両刃の剣)にいつ気づくのかが、今後のトランプ政権の明暗を左右することであろう、とオジサンは思う。  

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