5月1日のメーデーは雨と寒さに見舞われたが、昨日の憲法記念日は晴天に恵まれ全国で様々な憲法集会が開かれていた。
コロナ禍で中断されていた護憲派の憲法集会はいつもの場所で行われた。
「『微力だけど無力ではない』憲法記念日に護憲派の集会、10年の節目に3万2000人が平和の訴え」
そしていつものように「改憲派」の集会にはあの安倍晋三に倣って事前に撮影したビデオメッセージで岸田文雄は叫んでいた。
「首相「改憲は先送りできない」 立憲『議論する正当性はあるのか』」
岸田文雄首相(自民党総裁)は憲法記念日の3日、東京都内で開かれた憲法改正派の集会にビデオメッセージを寄せ、「社会が大きく変化し、憲法改正がますます先送りのできない重要な課題となる中、国民に選択肢を示すことは政治の責任だ」とし、改めて改憲への意欲を示した。 首相は、大規模災害時の議員任期の延長といった緊急事態条項の創設などに触れつつ、「いたずらに議論を引き延ばし、選択肢の提示すら行わないということになれば、責任の放棄と言われてもやむを得ない」と強調した。 ただ、これまで主張していた今年9月までの総裁任期中の改正には言及せず、「党派を超えて真摯(しんし)に議論を行う姿を国民に見せたい」などと述べるにとどめた。改憲のための国民投票を行うには国会発議から60~180日間の周知期間が必要な一方、6月の今国会会期末までに衆参両院で改正原案を可決・発議するのは日程的に厳しい状況にある。 ■野党「裏金議員に議論する正当性あるか」 一方、都内で開かれた護憲派の集会に出席した立憲民主党の逢坂誠二代表代行は自民派閥の裏金事件に触れ、「法律を犯しているかもしれない裏金議員の方々に憲法の議論をする正当性はあるのか」と指摘した。 共産党の田村智子委員長は、4月の日米首脳会談で米軍と自衛隊の「指揮統制」の連携強化を確認したことなどについて「武力で平和は守れない」と批判し、「戦争の放棄」を定めた憲法9条に基づき、対話を続けることこそが重要だと訴えた。社民党の福島瑞穂党首は、同性婚を認めていない民法などの規定は違憲とした札幌高裁判決などに触れ、「憲法改正ではなく、憲法を生かしていこう」と呼びかけた。 |
岸田首相が「いたずらに議論を引き伸ばし、選択肢の提示すら行わないということになれば、責任の放棄と言われてもやむを得ない」などと「改憲」を強調。今まさに「裏金」問題という不法行為の責任から逃げている人間が憲法を云々するだけで犯罪的。法も守らず何が「改憲」か。 https://t.co/f4TA3oLD9X
— 異邦人 (@Narodovlastiye) May 3, 2024
うるさいよ、裏金集団が🙄
— 法學院狂魔 (@Adepteater029) May 3, 2024
現行憲法も政治資金規正法も遵守できない連中が「改憲」を語るんじゃねぇよ🙄 https://t.co/Lzht2BnaBD
歴代の自民党出身の総理大臣が「憲法記念日」に自ら「憲法99条」違反を繰り返しているのだが、ある意味では自民党の岩盤支持者の極右層に対するリップサービスでもある。
そんな岸田文雄に対しては、昨日「狡猾な安倍晋三より「少しはまし」と思われた岸田文雄は、決して「無知」ではなく狡知であるゆえに「自民党の常識」も通じないとなれば、自民党と共に政界からフェードアウトすることが国民のためになるだろう」と、つぶやいたのだが、まさにその狡知振りを遺憾なく発揮しているようである。
「岸田総理『ずっと俺のターン!』...補選惨敗なのに「岸田おろし」が起こらない驚くべき「カラクリ」
■「ゼロ打ち」惨敗の衝撃 「島根1区においては、これまでの選挙を上回る圧倒的な運動量でありましたけれど、非常に逆風が強かった」 自民党が唯一、候補者を擁立した島根1区の惨敗を受け、幹事長の茂木敏充は党本部でこう語った。午後8時の投票終了直後、開票率0%で立憲民主党候補・亀井亜紀子の当確が報じられた。 自民党中堅議員が言う。 「事前調査で厳しい数字が出ていたとはいえ、岸田(文雄)総理が投票前日にも現地入りしたのに、『ゼロ打ち』で惨敗は衝撃が大きい。茂木さんも自身の責任を回避するために、『裏金問題』の逆風が強かったと強調したのでしょう」 かくして3補選は下馬評通り、自民党の全敗で終わった。 「岸田総理では次の選挙は戦えない」「一刻も早く新しい選挙の顔を」 自民党の若手議員からはこんな声があがる。 新聞各紙が行った世論調査でも、「政権交代を望む」という意見が軒並み50%を超えている。もはや岸田政権が国民の信を失っているのは明白だ。 しかし、不思議と党内には本格的な「岸田おろし」につながる気配はない。永田町には妙な凪の雰囲気が漂っている。 ■岸田の必殺「解散ちらつかせ」作戦 実は岸田はこうなるように布石を打っていた。補選から遡ること3日、最側近である幹事長代理の木原誠二が党会合で突如、こう切り出した。 「今、自民党は非常に厳しい状況だ。政権交代が起こってもおかしくない」 この発言に永田町は騒然となった。 「岸田さんがもはや木原さんの進言も聞かなくなったのではないかとの憶測を呼んだのです。このままでは岸田さんが暴走してやけっぱち解散を打ちかねない。そこで木原さんが党会合で危機を煽り、岸田さんに思いとどまらせようとしているのではないか、と」(元安倍派若手議員) さらに党本部は岸田と茂木の連名で、所属の国会議員に年4回支給する「支部政党交付金」について、7月分の支給時期を同月末から6月に前倒しすると通知した。しかも「パーティー収入の減少などを鑑みた」として支給額を増額させた。 「これは総理からの『6月解散7月選挙に備えよ』というメッセージではないか」(二階派若手議員) しかし、こうして議員たちに解散があるのではないかと思わせることこそが、岸田の手なのだ。 総理を批判して刺激しすぎると、本当に解散を打ちかねない。そして自公が過半数を失う─こう思わせることで、「岸田おろし」を封じ込め、党内に萎縮ムードを作り出そうというわけだ。 もちろん岸田とて、今の状況で解散を打つほど愚かではない。あくまで解散はちらつかせるだけ。皆が慌てているあいだに、党内のライバルの動きを見て、弱体化させることに勤しんできた。 ■財布の紐を握って「茂木封じ」 現在、岸田にとってもっとも目障りなのは、幹事長の茂木だ。 「政治資金規正法の改正について、岸田さんは渡米前に自民党の改正案をまとめるよう指示を出していた。にもかかわらず岸田さんが渡米すると、取りまとめの動きに急ブレーキがかかった。結果、自民党は公明党からも『独自案がないのはおかしい』と非難されるハメに。これは茂木さんがわざとサボタージュしたためと言われています」(自民党幹部) 茂木はこのように、ことあるごとに岸田の足を引っ張ろうと小細工をしかけてきた。総裁選への意欲も隠そうとしない。 そこで岸田は茂木の首に鈴をつけることにした。 「23日の党総務会で、政治資金収支報告書の記載漏れの処分を受けた元二階派の林幹雄さんの後任として、岸田さんは信頼している山本有二さんを経理局長に任命しました。経理局長は幹事長から政策活動費などをはじめとしたカネの使い道の指示を受け、差配するポスト。茂木さんは元自派閥で前復興相の渡辺博道さんを推しましたが、岸田さんがこれを却下して、山本さんにしました。 今後、茂木さんのカネの使い道はすべて岸田さんの耳に入るわけで、茂木さんは動きづらくなりました」(自民党議員秘書) すでに茂木の足場となるはずだった茂木派は解消が決まっている。そこで元安倍派の若手議員らと会食を繰り返しているが、党内支持はまったく広がっていない。茂木に誘われたという安倍派の若手議員が言う。 「茂木さんは自分の話ばかりで、こちらが話をしても途中で遮って、一方的にまくし立ててきた。そういうのが続いて、もうこちらから話すのはやめた。正直がっかりした。 茂木さんは後ろ盾になっていた麻生太郎さんからも見切りをつけられたと言われている。もはや総裁選に出られないんじゃないか」 (続き) ■石破茂が総理以上に補選で奔走 総裁選で岸田にとってもっとも強敵になりそうなのが石破茂だ。世論調査では毎回「ポスト岸田」候補1位を独走している。「選挙の顔はやはり石破しかいない」となれば、議員票も一気に石破へと雪崩を打つ可能性がある。 「石破さんは総理がピンチのときにも、党内野党よろしく平気で政権批判するので、『石破は皆が苦しいときに、後ろから鉄砲を撃つ』と評判が悪く、なかなか党内での支持が広がらなかった。 最近は石破さんもそれではまずいと思ったのか、補選で皆があきらめムードの中、島根に4回も入って必死に応援活動をしていた。そういう姿を見せることで、『石破が頑張ってるじゃないか』という空気が少しずつ党内にでき始めています」(二階派中堅議員) 補選前にラジオ日本の番組に出演した際には「島根(の補選)を一生懸命やらないで『岸田けしからん、辞めろ』と言うのは自民のすることではない」と宣ってみせた。これまでとは一味違う。 しかし、岸田はこちらについてもすでに手を打ってある。 ■ライバルを蹴落として、自分を上げる 「最近、麻生さんが突然、『石破も見どころがあるじゃねえか』と言い出した。麻生さんは首相だった'09年に、現職の農水相だった石破さんに早期退陣を迫られたことを根に持っており、石破さんを嫌っている。だからこの発言はおかしい。もちろんこれは罠です。党内支持を集めようと必死な石破を増長させるために、わざと言っているのでしょう。 石破さんも真に受けているわけではないのですが、どうもこの動きを麻生さんの政敵である菅義偉さんが警戒しているようで、石破さんと距離を置き始めました」(自民党関係者) 二階俊博が引退を表明した今、非主流派を取りまとめるキーマンは、前総理の菅しかいない。長年、無派閥を貫いてきた菅が持っている手駒は2枚。それが石破と、自身の内閣で法相を務めた上川陽子だ。 麻生は石破を持ち上げることで、菅と石破のあいだに楔を打った。一方、「ポスト岸田」として名前があがり始めた上川についてはとっくに手を打ってある。 「そもそも麻生さんが上川陽子を『このおばさんやるねえ』と持ち上げたのは、単なる失言ではなく、『ポスト岸田』となりうる菅さんの持ち駒を潰すため。その思惑通り、すでに上川は菅の手から離れている」(同前) 残るは党内基盤のない高市早苗や河野太郎などのザコばかり。総裁選に立候補したとしても岸田にとって敵ではない。 解散をちらつかせることで、あえて遠心力を働かせ、ライバルたちを浮き足立たせる。相手の失策を誘い、最後は総裁選で僅差であっても再選に持ち込む。これが岸田が目論む勝利のシナリオだ。 |
総理の椅子にしがみ付くことに関しては驚くべき戦略を張り巡らせているようだが、そんなエネルギーを国民のために費やせば少しは内閣支持率も向上するのだろうが、もはやコヤツには通じないことであろう、とオジサンは思う。
【付録】
「おまえはすでに死んでいる(鈴木耕)」
『人生が二度あれば』(井上陽水)という歌がある。年老いていく父と母を見つめながら、ああ、人生が二度あれば……とふたりへの想いを歌ったものだ。歌われていたその父母よりも、もうぼくのほうが年老いてしまっている……。 人生が二度あれば、人は二度死ななければならないか。 そういえば『007は二度死ぬ』という映画があったな。むろん、人は二度は死ねない。だから、死んだように見せかけて実は……というストーリー。大人気シリーズで、007(ジェームズ・ボンド)役のショーン・コネリーが、ぼくは大好きだった。それにこの『二度死ぬ』は日本が主な舞台になっており、その点でもちょっと興味をひかれた作品だった。若きボンド・ガールは浜美枝が務めていたな……。 人(いや、あらゆる生物)は、二度は死ねないけれど、この世界には生きているように見えたとしても死んでいるヤツ(もの)も存在する。そう、「おまえはすでに死んでいる!」である。漫画『北斗の拳』(原哲夫、武論尊)の主人公ケンシロウが放った言葉として有名になった。 生きているように見えたって、実は死んでいる……。ぼくには、その代表的なモノが見えている。原発というヤツだ。 原発に「人生(!)が二度」あってはならない。原発は日本では、あの福島で一度死んだのだ。ジェームズ・ボンドではないのだから、二度と生き返らせてはいけない。「原発よ、おまえはすでに死んでいる」のである。 こう書くと「じゃあチェルノブイリはどうなんだ。ロシアではチェルノブイリ事故以降も原発は生きているぞ」などという非難罵倒が飛んでくるだろう。だからここでは「日本の原発」の話だ。だって日本はこんな地震大国なのだから……。 能登半島地震と志賀原発 能登半島大地震で、改めて原発は瀕死状態であることが分かった。 もし、今回の地震でもっとも揺れの大きかった珠洲市に、計画どおり「珠洲原発」が建設されていたら、日本はいったいどんな惨禍に見舞われていただろう。珠洲原発がなくて日本は救われたのだ。これは粘り強く原発建設に反対してくれた地元住民のみなさんのおかげである。我々はほんとうに、心から感謝しなければならない。 だが、能登半島の志賀町には「志賀原発」が現存する。実はこの原発がそうとうヤバかったのだ。それは、北陸電力の対応のひどさにそのまま表れていた。 志賀原発は2011年の福島原発事故のあと運転停止中だったからなんとか助かったようなものだけれど、もし運転中だったら、と想像するとゾッとする。それほど北陸電力の対応はデタラメだった。 さまざまな報道をぼくなりに整理すると、以下のようになる。 ◎北陸電力の対応 なぜか地震発生後、ほぼ2カ月にわたって被害の詳細を明らかにせず、報道陣への公開もずっと拒否し続けてきた。むろん「内部調査が終わっていない」「被害状況の把握に時間がかかっている」などと言い訳したが、本来ならその被害状況をそのまま公開するのが筋だろう。なぜ公開できなかったのかは、以下の事情による。 ◎監視付きの公開 やっと原発施設の公開に踏み切ったのは、実に2カ月以上も経った3月7日だった。だが報道陣には、各社ごとに北陸電力社員が1名ずつべったりと張り付いて監視、その上で撮影場所を指定した。それ以外のところは撮影を拒否し、カメラを手でふさぐということまで行った。当然、報道陣からは不満の声が上がったが、北陸電力側は批判を受け付けなかった。 ◎外部電源 核燃料棒を冷却するためには外部電源が必要だが、冷却プールに電力を供給するための変圧器が1、2号機ともに破損。3系統5回線(志賀中能登線=500kV 2回線、志賀原子力線=275kV 2回線、赤住線=66kV 1回線)の外部電源5回線のうち、いちばん大きな2回線がいまだに使えていない状況だという。他の3回線でなんとか冷却をしているというのだから危なっかしい。 なお、この変圧器の撮影も、当然のように拒否されたという。 ◎変わる説明 当初の北陸電力の発表では、変圧器からの油漏れは3500リットルとなっていたが、後にその5倍超の1万9800リットルと訂正。実は2万リットルを超えていたのではないかとの疑問もあったが、スーパーの売り出しの198(いちきゅっぱ)と同じように、値を低く見せるための数字合わせだったらしい。実際には2万3500リットルだったという。漏れた油は敷地内にとどまっていたとの説明だったが、これも後に海へ流出していたことが判明した。 さらに津波の高さは、当初は「水位計に変化はない」と発表。だがこれも後に、1~3メートルの津波が数度にわたって押し寄せていたことを認めた。とにかく、発表を小出しにして、後から訂正していく。なんとも姑息な対応である。なぜこんなにも、いずれバレるようなウソをつき続けるのだろう? そこがよく分からない。 ◎モニタリングポスト 地震発生後すぐに、モニタリングポストの値に異常はない、との発表があった。だが実際には96カ所のモニタリングポストのうち最大で18カ所が作動せず、放射線量の測定はできていなかった。しかも、モニタリングポストの非常用電源が確保されていなかったという杜撰さも露呈した。 ◎北陸電力の体質 どうも、この北陸電力という会社には「隠蔽体質」が染みついているらしい。この会社には、かつて大きな事故隠蔽の過去があった。1999年6月、志賀原発1号機で定期点検期間中に、原子炉で臨界事故が発生した。 臨界事故というのは、制御不能の状態で臨界(中性子の生成と消失の均衡が保たれている状態)を超えてしまう事故で、中性子が増えて臨界超過になり、そのままだと放射線が急激に放出されて、原発機器だけではなく人体にも影響を与える。 この重大な事故があったにもかかわらず、これを公表せず、表沙汰になったのは事故から8年後の2007年4月であった。つまり、北陸電力は8年間にわたって「臨界事故」という重大事故を隠蔽し続けたということだ。 これに対し、さすがに原子力・安全保安院(現在の原子力規制委員会)が、厳重注意を行った。 電力会社は不祥事のデパートである こんな隠蔽は、実は北陸電力に限ったことではない。極論すれば日本のすべての電力会社に共通した体質と言える。 例えば東京電力の事故やトラブル隠し(2002年に発覚)は社会問題となり、ついには当時の南直哉社長ら幹部5人が引責辞任する事態に陥った。 また、高速増殖炉「もんじゅ」の運営体である動燃(動力炉・核燃料開発事業団⇒現在は日本原子力研究開発機構)が、1995年に起きたナトリウム漏出事故のビデオ映像を公開せずに隠蔽したことも大きな批判を浴びた。さらに、この件に関しては当時の動燃の総務部次長の不審な死(1996年)もあって、その闇はいまだに解明されていない。 他にも、関西電力では美浜原発の伝熱管破断事故(1991年)や、原発立地の高浜町元助役から関電幹部たち計20人が総額3億2000万円にものぼる金品を受け取っていたという大スキャンダルまで発覚(2019年)、さらには談合事件や顧客情報の漏洩など、不祥事には事欠かない。 政財官学が構成するいわゆる“原子力ムラ”が諸悪の根源である。政治家や財界、御用学者や推進官僚たちの跋扈によってエネルギー政策そのものが歪められているのは、多分、多くの方たちは、すでにご承知のことだろう。 天災は忘れてなくてもやってくる 2011年3月11日の東日本大地震と、それによる福島第一原発の過酷事故が起きてからすでに13年が過ぎた。 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の格言どおり、岸田文雄首相はGX(グリーントランスフォーメーション)などというわけの分からぬ横文字を使って、一挙に原発推進に舵を切った。福島事故など、すっかり忘れたフリである。 「天災は忘れた頃にやってくる」とは物理学者・寺田寅彦の残した有名な警句だ。だが、この列島の住民たちは、忘れようとしても忘れられない。度重なる大地震がそれを思い出させてくれるからだ。 能登半島大地震(2024年1月1日)で、原発の危険性がいま改めて問われているし、それに続く愛媛高知の地震(4月17日)でも、伊方原発(愛媛、四国電力)がクローズアップされた。なにしろ、細長い佐田岬半島の付け根に伊方原発は建てられている。もし伊方原発が事故を起こしたら、半島の住民たちは完全に逃げ場を失う。そんなことは、地図を見るだけで一目瞭然なのだ。 「避難路なき原発」は「トイレなきマンション」どころの騒ぎではない。住民は、ほとんど「死ね」と言われているに等しいのだ。 ゾンビを生き返らせてはならない 避難路に関しては、沖縄に例がある。 4月3日に台湾で大地震が発生、それに伴い沖縄の先島諸島や本島に「津波警報」が出された。台風には慣れている沖縄県民だが、津波警報には震え上がった。直近の能登半島地震の被害の大きさを知っていたからだ。 そのため、沖縄各島の多くの住民たちは車での避難を試みた。本島のモノレール以外に鉄道のない沖縄では移動のほとんどを車に頼る。だから、高台へ通じる道は、あっという間に大渋滞となった。 中には、車を乗り捨てて走って逃げる人や接触事故で動けなくなった人などが続出。とても、避難などできる状態ではなかったところも多かったのだ。 このことからも、原発事故の際の「避難計画」などは、まったく机上の空論、絵に描いた餅だったことがよく分かる。 日本は、世界でも稀なほどの地震大国である。世界で発生するマグニチュード6以上の大地震の約2割は、日本周辺で起きているといわれる。 こんな国で、まだ原発を推進し、原発エネルギーに頼ろうとする連中の気が、ぼくには理解できないのだ。「では代替案を出せ」「江戸時代に帰るのか」「お前は電気を使うな」などと、使い古された罵声を浴びせてくる連中は、逆に石器時代の生き物としか、ぼくには思えないのだ。 原発とはゾンビである。 ゾンビを生き返らせてはならない。 |