新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

終活は自分でできるが、そのあとは?

2018年11月18日 12時15分04秒 | 家族もろもろ


 
「終活」なる言葉は、調べてみると世に出て10年も経ってはいない言葉らしい。


週刊誌『週刊朝日』から生み出された言葉とされており、同誌元副編集長の佐々木広人が生みの親とされる。2009年(平成21年)に終活に関する連載が行われた時期以降から「終活本」などと呼ばれるこれに関する書籍が幾つも出版されるなどといった風潮とともに、世間へこの言葉が広まってきており、2010年の新語・流行語大賞にもノミネートされ、2012年の新語・流行語大賞でトップテンに選出された。(Wikipedia)

 
個人的には数年前に地元のある団体が「エンディングノートを作って見よう」という企画で参加者を募集していたチラシを見た記憶がある。
 
そこには、「エンディングノートや遺言で、どのように葬儀などを執り行うかや、また財産分与などの方法を事前に親族に伝えておく。意思表示ができないような障害を負うと手遅れになる。認知症の症状が出る前に意思表示をしておく必要がある。
生前整理として生きて動ける間に行う、身の回りの物品の整理と社会的な関係の整理。難しいことではあるが、欲と役を捨てることが必要となる。」などと書かれていた。
 
もちろん、オジサンは疑心暗鬼の冷めた目で無視していた。
 
定年退職した翌日から認知症の母の介護を始めたのだが、在宅介護を3年、その後老人施設で5年すごして母は今年の6月30日に満93歳で大往生した。
 
すでに施設では嘱託医と相談して救命措置は最低限に留め、安らかに「看取り」をお願いしていたので、亡くなった直後からあらかじめ決めていた葬儀社に依頼して、通夜、告別式等は滞りなく行われた。
 
特に本人の意思を確認することは、認知症が進んでいた母には無理な話であったので、遺族として粛々として事を進めた。
 
ところが、その後に様々な手続きに翻弄された。
 
役所に死亡届が到着した以降、「介護保険被保険者証」、「後期高齢者医療被保険者証」、「介護保険負担割合証」などの返却を求められた。
 
記念に残すほどのものではないので、さっそく返却に地元の区役所に出向くと、ある書類を記入して提出するように求められた。
 
それは、母の年金では施設費が賄えない金額の内、介護保険対象の項目への助成金が月遅れで支給されており、死亡する前月分の金額を振り込む先を変更する手続きであった。
 
それは、遺族としてオジサンの本人確認と振込先を指定するだけでことなく済んだ。
 
さらに高齢者死亡に伴う「葬儀代」も支給されことを後から知らされ、同様な手続きで受け取ることができた。
 
ここまでは国が管理することであったが、7月になって突然、母が生前、民間保険会社に委託していた年金保険の「継続請求手続きについて」という厄介な作業が発生した。
 
その保険会社からの手紙では、必要な書類としては「継続年金にかえての一時請求書」と母の年金証書、「死亡事実の記載がある戸籍謄本」、それに受け取人の「戸籍謄本」と本人確認書類、さらに世帯全員の住民票とあり、少々費用がかかるが区役所での手続きとなんら変わりがないと安易に考えていた。
 
ところが、母が施設に入所する際に担当のケアマネージャーから「世帯分離」を進められ住民票は母と別になった。
 
そして、ここが役所と異なり保険会社らしく、受取人の順位の確認が最も面倒くさいことになった。
 
母の配偶者の父は既に他界しており、同一生計の子はおらず、順位としてはオジサンが7位の「子」となっていた。
 
これが、後の悲劇の始まりであった。
 
最初に提出した母の戸籍謄本では、生まれてから亡くなるまでの過程が不明で、その間に離婚して再婚して相続人となる「子」がいないことを証明できないと指摘された。
 
戸籍謄本は、戸主の名前で取得するため、受取人であるオジサンの戸籍謄本は父の出生は記載されているが母の場合は出生と父との結婚とその後出産した子等の氏名しか記載されていない。
 
母の軌跡をさかのぼるには現謄本に記載されていた住所に転籍する前の謄本が必要であり、その後の転籍も含めて、杉並区役所と渋谷区役所に父の名前で戸籍謄本を取り寄せて、保険会社に送った。
 
しかし、母が生まれたのは鹿児島県大島郡であり、それ以降、子どもを生んでいない証明が必要と連絡が入り、今度は母の生まれた役場に事情を説明し戸籍謄本を送ってもらった。
 
大正時代の手書きの戸籍謄本は母の父を起点として、その妻、亡き母の兄弟姉妹は全員、その嫁と子等までが記載されている代物であった。
 
その大量な戸籍謄本を保険会社に郵送し、ようやく保険会社も観念したのか、最初の通知からナント3か月目にして給付金が指定口座に振り込まれた。
 
戸籍謄本は1通が750円、住民票が300円であり、オジサンは2通の住民票と、結局4通の戸籍謄本、そして返信封筒&切手代を含めると、ザット4000円近くの費用が発生した。
 
交通費や書類集めに振り回された時間も含めれば、そんな費用では収まらなかった。 
 
昨年から「法定相続情報証明制度」が始まり、戸籍謄本に代えて、法務局から交付された「法定相続情報一覧図の写し」提出で相続手続きが可能となった。
 
しかし、その必要書類として、出生から連続した戸籍謄本が求められている。
 
出生時から連続した戸籍を提出する理由はいうまでもなく、すべての相続人を特定するためである。

これは、オジサンが知らない異父の兄弟姉妹がいないかを国家や金融機関が調べるわけである。

ある意味では重大なプライバシー侵害と言えるかもしれない。

それでも、今回の母の連続した戸籍を初めて見て、改めて母はオジサンを最初に生んでくれていたことを確認した次第であった。
 
単に「終活」をしても、やはり自分が死んだ後のことは、必ずしも自分の意に沿った通りにはいかないのではないだろうか、とオジサンは思う。
 

 


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