2008~09年、栃木・静岡・岡山の各県立美術館と仙台市博物館で開かれた、「朝鮮王朝の絵画と日本」と題された展覧会の図録を今日友人からもらい受けました。
そういう展覧会が開かれたことさえうかつにも知りませんでしたが、図録を見ると非常に充実した展覧会だったことがうかがわれ、観に行かなかったことが残念です。
図録は分厚いだけでなく、載っている絵画作品が朝鮮の絵師のものが196点、日本の絵師のもの130点もあり、そのすべてに詳しい解説が付いています。
また朝鮮王朝の絵画についての概説や、朝鮮絵画史年表等もあり、作品リストはハングル表記のもあって、実に懇切。この内容で2800円は安いと思います。(美術館連絡協議会で特別賞を受賞したというのもナットク。)
この展覧会の概容は2回も足を運んだ方の<Art & Bell by Tora>(1回目・2回目)をご参照ください。この方の要望で栃木県立美術館は展示作品リストをサイト内にupしてくれてます。
リストからわかるように、韓国各地、そして日本各地から、よくこれだけの作品を集めたものです。5万ウォン札の図柄で知られる申師任堂の絵もあります。
さて私ヌルボ、もちろん図録は今後じっくり目を通すこととして、今回はイヌの絵に絞って紹介します。(9月1日の記事でネコの絵をとりあげたので・・・。)
まず図録で目についたのが表紙のイヌの絵。16世紀半ば李巖(이암.イアム)の「花下遊狗図(화하유구도)」。3匹の犬の表情がなんとものんびりした感じでカワイイです。日本民芸館所蔵、・・・って、見た記憶がある、と思ったのは6月11日に行った時かな? (年のせいか、見たという確たる記憶ナシ。)
【李巖「花下遊狗図」。右は部分拡大図。】
図録によると、以下の宗達や蕪村、そして若冲の犬の絵も、上掲の李巖の作品の影響がみられるとか。な~るほど、です。
具体的には、宗達の創案といわれる<たらしこみ>の技法も李巖との関連性が指摘されているとか・・・。
【俵屋宗達「犬図」。どちらも形態がユニーク、というか・・・。】
【与謝蕪村「狗子図」。顔が笑ってます。】
【伊藤若冲「百犬図」。実は59匹だそうです。右は部分拡大図。】
しかし<2chコピペブログ>を見ると、こういうジャンルにも熱心な嫌韓派の人たちがあれこれカキコしているのは感心します。レベルはピンキリですが・・・。