ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [11月4日(金)~11月6日(日)]

2016-11-09 07:45:48 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 <新大久保映画祭>」で観た2作品の最初は11月3日の「風吹く良き日」。なぜか「風が吹く良い日」になってましたが。20年くらい前、5年前に続き3回目ですが、いい作品は何度観てもいいし、またその度に新発見があります。また今回は何よりも上映後李長鎬(イ・ジャンホ)監督のトークを間近で聞けたのがよかった! 1980年というかなり昔の作品なので、監督さんもかなりのお年かなとなんとなく思っていたら1945年生まれの71歳で元気そのもの。日本の文化・風俗に親しんでいた最後の世代とのことで、映画界に残る日本語のこととか、監督デビュー作(「星たちの故郷」)のヒットの後の大麻事件による4年の空白期間中にいろんな本を読だこと、他の監督作品を観てリアリティがないと思ったこと、全斗煥までの軍事政権の時代の検閲のこと等々、多岐にわたって興味深い話が聞けました。全斗煥時代に女性作家の朴婉緒(パク・ワンソ)が敢然と作品の部分削除等に反対の声をあげてその要求を貫き通したということは初めて知りました。終わってから前の道で車で乗り込んだ監督にお辞儀をしたら降りてきて握手して下さいましたが、こういう時に限っていつも持ち歩いているデジカメを持ってきていなかったのが残念。
 もう1つ7日に韓国文化院で観たのが「危路工団」。1970年代の九老の縫製工場で働く女性労働者から、現代の飛行機の客室乗務員やソウル市の120茶山(タサン)コールセンターの担当職員、あるいはベトナムやカンボジアに進出しているアパレル関係の韓国企業で働く現地の労働者といった過去40年の女性労働者たちの労働実態とその闘いを、それらに関わった多くの人の証言や過去の映像を織り込んで構成していて、強く訴えるものがある優れた作品でした。今回だけでなく、もっと多くの人が観られる機会があればいいのですが・・・。

 11月12日(土)シネマカリテで「弁護人」の上映がスタート。韓国で2013~14年に大ヒットした作品ですが、初日の12日には主演のソン・ガンホが来るとのことで場所を武蔵野館に移して特別上映。料金も特別で2000円に設定されてましたが、昨日チケットのネット販売はあっという間に売り切れ。混乱もあった? まあ予想通りというか・・・。私ヌルボは他に予定もあってパスしましたが。この「弁護人」は盧武鉉元大統領の弁護士時代の逸話がモチーフになっているそうですが、盧武鉉といえば今韓国で「ムヒョン、2つの都市の物語」という彼のドキュメンタリーが上映されていて、→コチラの記事によると例の朴槿恵大統領退陣要求が高まる中、話題となって多くの観客を集めているそうです。

 私ヌルボが韓国で観た数少ない映画の1つ「ドンジュ(東柱)」が12月4日(日)立教大学で上映されます。映画以外にもいろいろあり。詳しくは→コチラ。一般劇場公開はあるのかな?
 そして12月7日(水)には神田外語大学で「愛を歌う花(原題=解語花)」上映。これも上映前に講演等が予定されています。詳細は→コチラ。この作品は来年1月7日からシネマート新宿等で公開されますね。

 韓国映画以外では、まず期待を裏切られることのないインド映画の期待作「PK」はいつ観にいけるのかな・・・?

 「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は先週掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(11月8日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(-) マルリー・ゴモンへようこそ  9.50(12)
②(3) フィドルスティックス  9.50(10)
③(2) おばあちゃんの遠い家(韓国)  9.47(120)
④(5) Bringing Tibet Home ~故郷を引き寄せて~(韓国等)  9.39(76)
⑤(4) 自白(韓国)  9.38(2,096)
⑦(1) 学校に行く日  9.34(53)
⑧(-) 手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE  9.31(296)
       忍者・インワンダーランド(日本)
⑨(8) KING OF PRISM by PrettyRhythm(日本)  9.30(1,249)
⑩(-) どのように別れるか(韓国)  9,27(11)

 今回の新登場は、①⑧⑩の3作品です。
 ①「マルリー・ゴモンへようこそ」(仮)は、フランスの田舎の村に医師としてやってきたコンゴ出身の男性&妻と子供たちと、村の人々とのコミュニケーションを描いた、実話に基づく物語。1975年、医師の資格を手にしたばかりのコンゴ出身のセヨロは、フランスの市民権を得るために、フランス北部の無医村マリゴーモンの医師になることを決心します。そこはパリから300kmも離れた辺鄙な所。市長は黒人のセヨルには絶対村の住民に歓迎されないだろうと思いとどまるよう話しますが、彼はやめるどころかアフリカの家族まで呼び入れて未来を夢見ます。セヨルと家族は期待して当地に来ますが、驚いたことにそこは故郷コンゴよりも遅れた村で彼らは大失望。その上悪いことに、黒人を初めて見た村の人々は、彼らを虫でも見るように警戒心丸出し。その後、そんな関係性がだんだん変わっていくというあたりは予定調和的かもしれませんが・・・。この作品については竹下節子さんがご自身のブログ記事(→コチラ)で詳しく書いていらっしゃいます。「多分日本で公開されそうもない映画だろう」とのことですが、なぜ韓国では公開されることになったのでしょうね? (日本に比べればフランス映画への注目度が高いような気もします。) 韓国題は「아프리칸 닥터(アフリカン・ドクター)」です。
 ⑧「手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド」は、およそ40年にわたってTV放映されている<スーパー戦隊シリーズ>の第39作、といっても、私ヌルボ、このジャンルも全然疎いからなー。男の子でも家族にいる人ならそれなりに知ってるのかな? 韓国題は「극장판 파워레인저: 닌자포스 VS 트레인포스 닌자 인 원더랜드です。(韓国題も長いな。)
 ⑩「どのように別れるか」は、よくあるロマンス+難病モノかと思ったらそうではなくて・・・。寿司職人の下で寿司シェフの道を歩むナビ(ソ・ジュニョン)は、ある日、猫と暮らしている旅行雑誌記者のイジョン(パク・ギュリ.←KARA)と出会います。ところがナビの目を引いたのはイジョンよりも猫のヤンマ。ナビには猫の魂と会話することができる秘密の能力があったのです。ヤンマにはマ・ジャンスン(イ・ヨンナン)という中年女性の霊が入り込んでおり、彼女もまた特別な事情を抱えていました。やがて取材のために家を空けなければならないイジョンに代わってヤンマの面倒を見ているうちに、ナビとイジョンは恋人同士になり、幸福な日々がずっと続くかと思われたそんな時、突然ヤンマが癌を患っているということを知らされます・・・。と、難病になるのは猫とは・・・。猫ブームはもうすっかり定着したようですね。「ナビ(나비.チョウチョ)」も猫につけられる定番の名前だし。(なぜ??) 「ヤンマ(얌마)」の方は知りませんでしたが、相手を優しく呼ぶ慶尚道方言とか。原題は「어떻게 헤어질까」です。

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) キャロル  8.96(13)
②(-) ヘル・オア・ハイ・ウォーター  8.10(10)
③(2) ラヴニール  8.00(6)
④(3) ベルヴィル・ランデブー  7.83(8)
⑤(4) ハドソン川の奇跡  7.75(8)
⑥(5) 自白(韓国)  7.67(10)
⑦(6) 私たち(韓国)  7.66(14)
⑧(7) 密偵(韓国)  7.50(12)
⑨(-) BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント  7.45(5)
⑩(-) ひつじ村の兄弟  7.39(9)

 ②と⑩の2作品が新登場です。
 ②「ヘル・オア・ハイ・ウォーター」については後述します。
 ⑩「ひつじ村の兄弟」は、日本では昨年12月に公開されたアイスランド映画。。韓国題は「램스」です。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績11月4日(金)~11月6日(日) ★★★

         「ドクター・ストレンジ」が前週に続きトップ
【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・ドクター・ストレンジ ・・・・・・・・・10/26・・・・・・・・・1,002,204・・・・・・・・・・・3,966,578・・・・・・・・34,769・・・・・・・・1,213
2(2)・・ラッキー(韓国) ・・・・・・・・・・・・・10/13 ・・・・・・・・・・450,923・・・・・・・・・・・6,384,000・・・・・・・・51,764・・・・・・・・・・848
3(3)・・ひとりかくれんぼ(韓国) ・・・・・10/26 ・・・・・・・・・・・48,275・・・・・・・・・・・・・273,028・・・・・・・・・2,142・・・・・・・・・・354
4(新)・・ヘル・オア・ハイ・ウォーター・・11/03 ・・・・・・・・・・38,333・・・・・・・・・・・・・・48,498 ・・・・・・・・・・389・・・・・・・・・・354
5(新)・・手裏剣戦隊ニンニンジャー ・・11/03 ・・・・・・・・・・38,098・・・・・・・・・・・・・・41,116 ・・・・・・・・・・322・・・・・・・・・・406
       VSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド(日本)
6(8)・・ムヒョン、2つの都市の物語(韓国)・・10/26・・・・・・35,613・・・・・・・・・・・・・・70,317・・・・・・・・・・・557・・・・・・・・・・101
7(31)・・すれ違いのダイアリーズ ・・・・10/26 ・・・・・・・・・・30,827・・・・・・・・・・・・・・51,344・・・・・・・・・・・346・・・・・・・・・・163
8(5)・・きみに読む物語・・・・・・・・2004/11/26・・・・・・・・・・・24,363 ・・・・・・・・・・・・562,368 ・・・・・・・・・3,876・・・・・・・・・・125
9(新)・・人魚姫:新しい冒険の始まり・・11/03 ・・・・・・・・・20,917・・・・・・・・・・・・・・22,465・・・・・・・・・・・176・・・・・・・・・・262
10(4)・・インフェルノ・・・・・・・・・・・・・・・・10/19 ・・・・・・・・・・・19,792・・・・・・・・・・・・・675,250・・・・・・・・・5,547・・・・・・・・・・174
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 全体的に数字が伸びない中、「ラッキー」は600万人を超えてまだ余力がありそう。
 今回の新登場は4・5・7・9位の4作品です。
 4位「ヘル・オア・ハイ・ウォーター」は、アメリカの犯罪ドラマ。銀行ローンの返済に窮したハワード兄弟=兄のタナー(ベン・フォスター)と弟のトビー(クリス・パイン)は、自分たちの母が遺した唯一の財産である農場の所有権さえ差し押さえられるという危機に直面します。そこで彼らが選んだ手段はその銀行をターゲットにした強盗。首尾く成功した彼らはその後も支店を次々に狙い続けます。ところが、当然のように彼らを追う保安官の追跡網が迫ってきます・・・。すでに観た方のブログ記事(→コチラ)によると「骨太な人間ドラマと兄弟愛、そして現代アメリカが抱える問題をうまく絡め、エンターテインメント作品としても社会派としても、まるで抜かりのないほぼ完璧な作品」の上「笑える場面も多い」とのことで「これは2016年どころではなく、生涯のベストに入るなぁ」と大絶賛してます。となるとぜひ観てみたい! 日本公開は未定のようですが、→コチラの記事によると「ハドソン川の奇跡」や「沈黙-サイレンス-」等とともにアカデミー賞候補になりそうだとか。原題の「Hell or High Water」は「たとえ火の中水の中」といった意味。韓国題は「로스트 인 더스트」です。
 5位「手裏剣戦隊ニンニンジャーVSトッキュウジャー THE MOVIE 忍者・イン・ワンダーランド」については上述しました。
 7位「すれ違いのダイアリーズ」は、日本ではすでに今年5月に公開されています。韓国題は「선생님의 일기」。
 9位「人魚姫:新しい冒険の始まり」は中国のアニメ。海軍提督であるお父さんの船に乗っていたソフィーは、嵐の中で海に落ちてしまいます。彼女を助けてあげようとする人魚姫を人間を信じていない海の神は引き留めますが、姫はソフィーを連れてて人々の世界に一緒に出て、ソフィーは無事にお父さんのもとへ。しかし海賊たちの陰謀で人魚姫姫とソフィーは、再び危機に陥ります・・・。絵柄を見ると、やっぱりキャラクターは「アナ雪」みたいだし、ネチズンの感想も「技術的に古くて、子供はだませても大人の目にはアラが目立つ」との感想がいくつも。原題は「인어공주:새로운 모험의 시작」。日本公開はなさそう、でしょう。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(10)・・すれ違いのダイアリーズ・・・・・11/02・・・・・・・・・・・・・・30,827 ・・・・・・・・・・・・51,344・・・・・・・・・・・・・346 ・・・・・・・・163
2(新)・・暗い日曜日・・・・・・・・・・・・2000/10/21・・・・・・・・・・・・・・・8,179 ・・・・・・・・・・・・10,926・・・・・・・・・・・・・・89 ・・・・・・・・128
3(1)・・自白(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・10/13 ・・・・・・・・・・・・・・・4,343 ・・・・・・・・・・・119,613 ・・・・・・・・・・・・937 ・・・・・・・・・45
4(26)・・2回目の二十歳(韓国・イタリア) ・・11/03・・・・・・・・・・・・4,324・・・・・・・・・・・・・・7,243 ・・・・・・・・・・・・・57・・・・・・・・・175
5(新)・・シーソー(韓国)・・・・・・・・・・・・・・11/10 ・・・・・・・・・・・・・・・1,260・・・・・・・・・・・・・・1,884 ・・・・・・・・・・・・・16・・・・・・・・・・・4

 今回は3位以外の4作品すべてが新登場です。
 1位「すれ違いのダイアリーズ」については上述しました。
 2位「暗い日曜日」は、1999年のドイツ・ハンガリー合作作品の再上映。韓国題は「글루미 선데이」です。
 4位「2回目の二十歳」は、韓国・イタリア合作のロマンス。2回目の20歳だと笑っていた40歳のミナ(イ・テラン)の前に現れた男性は初恋の相手ミング(キム・スンウ)。一目惚れして熱く愛し合い、すれ違いの末に別れた2人は、再会して1週間の秋のイタリアを共に旅することになります。はたして「私たちはまだ恋人同士なのか?」・・・。原題は「두 번째 스물」です。
 5位「シーソー」は、韓国のドキュメンタリー。イ・ドンウは、ある日自分の網膜を寄贈するという人の連絡を受けます。体を動かすことさえ困難な、ただ目だけ見ることができるその人イム・ジェシンと出会ったイ・ドンウは、自分に残った目をあげるという彼と済州島への旅行を計画します。家庭を持ち、愛すべき娘の父親でもある2人はこうしてお互いに親しくなり、それぞれの足りない点が満たされていくのを感じます。原題は「시소」です。
コメント (2)
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