ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画の興行成績 [12月11日(金)~12月13日(日)]と人気順位 ►今年の世界一ヒット=中国映画「八佰」を観てみたい! ►ハン・ジミン主演の韓国版「ジョゼ」、日本でも観られそう

2020-12-17 10:09:06 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶年のせいか小さな声だけでなく、大きな声でも音が混濁して意味が聴き取れなくなってきた、といったことを最近書きました。サークル仲間にそんな話をすると、耳の後ろに手のひらを添えるとよく聞こえるとのこと。さっそく映画館でやってみたらナルホド、でした。ただ2時間もずっとやると疲れるし、ノートもとれないので、手品師のマギー審司が使ってるデカ耳のようなものを左右にヘッドホン式に装着するといいかも、などと考えてみました。

▶スピルバーグ監督の名作の1つ「シンドラーのリスト」(1993)について次のようなツイートがあり、これにいろんな見解が寄せられていて興味深く読みました。考えてみればもう30年近く経っているんですね。私ヌルボの学生時代、30年前は日中戦争勃発の頃か? たしかに勉強してないと知識はないわなー・・・。

▶この1週間で観た映画は先週同様1つだけです。
 「スパイの妻〈劇場版〉」★★★★☆
 ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞作・・・にしては大方の評価はそんなに高くはない。(低いというわけでもないが・・・) そんな中、私ヌルボのこの評点はかなり高い。それは主役(高橋一生の方。蒼井優もいいけど)の人物造形に感じ入ったから。他の皆さんはどう思っても、黒沢清監督と私ヌルボ個人が通じ合っていればいいのだ!ということ。同じ星の数でも、先週の「燃ゆる女の肖像」よりも断然コチラ。

▶今回の記事中の大きな収穫は、中国の戦争映画「八佰」についていろいろ知識を得たこと。1937年の<四行倉庫の戦い>とか<八百壮士>という言葉は恥ずかしながら知りませんでしたねー。映画の内容は後述の通りですが、とくに気になったのは史実と政治権力との関係です。昨2019年の上海国際映画祭で「10年に1度の大作」として上映予定だったのが取り消されたのは、四行倉庫に立てこもった国民党兵士が屋上に掲げた青天白日旗(中華民国国旗)を守り抜こうとするシーンがあったからとか。しかし、ねー・・・。国内だけでなく、台湾にも関わることなのでややこしいですが、→コチラの古畑康雄さんの記事は大変ためになりました。
    
 「八佰」は今年8月21日公開され、すでに興行収入は4億6千万ドルに達して今年世界で最大のヒット作となったそうです。なお、戦闘の舞台となった上海の四行倉庫は2015年に上海四行倉庫抗戦記念館として改築され、今年はコロナ禍のため1日の来館者数は約500人だったのが映画の公開後は1日3千人近くに急増したとのことです。
 権力と歴史認識の問題は中国だけの話ではありません。韓国では今与党によって歴史歪曲禁止法が発議されていますが、思想・言論・表現の自由を訴えた人たちがそんな自由を規制し、独裁政権を倒した人たちが独裁を進めるとはなんと皮肉なことか・・・。過去に同様の事例はいくつもあったな。(ロベスピエールとか・・・。) ※日本でももちろん教科書問題等歴史認識の問題はある。

▶そろそろ今年1年のふり返りの時期。これはという映画の再上映がいくつもの映画館で始まっています。現時点でのオススメを紹介します。(東京だけですみません。)
 ・キネカ大森 「はちどり」「37セカンズ」 ※2本立て(一般1,300円) 17日まで
 ・東京都写真美術館ホール 「ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん」「マロナの幻想的な物語り」
 ・新文芸坐 「のぼる小寺さん」「アルプススタンドのはしの方」 ※17日まで
 ・絶対オススメは「二人ノ世界」なんだけど、宇都宮ヒカリ座だけだからなー・・・。

         ★★★ NAVERの人気順位(12月15日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
  ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(2) さすらいのシェフ(韓国)  9.62(177)
②(4) カナの婚宴:口約  9.61(227)
③(新) 別れ猶予、1週間(韓国)  9.60(30)
④(新) SWAG(韓国)  9.57(108)
⑤(7) モンマルトルのパパ(韓国)  9.52(161)
⑥(5) 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(日本)  9.50(792)
⑦(9) 封鎖修道院カルトゥシオ(韓国)  9.47(57)
⑧(-) ブータン 山の教室  9.42(137)
⑨(-) 復活: その証拠(韓国)  9.41(384)
⑩(5) 私のお姉さんチョン・ジヒョンと私  9.41(85)

 ③④の2作品が新登場です。
 ③「別れ猶予、1週間」は韓国のドラマ&ラブロマンス。結婚を控えていたガラム(クォン・ユリ)とソンジェ(ヒョヌ)に突然降りかかった交通事故。その事故でソンジェは昏睡状態に陥り、ガランは命を落としてしまいます。この世を去ったガランは、未知の空間に行くことになり、そこで正体不明の男X(ユン・ジオン)に理解しにくい提案を受けることになります。1週間前に時間を戻してあげるから、ソンジェを助けたければ1週間以内に彼と完全に別れろとのこと。そうして1週間前に戻ったガランですが、一生を共にすることを約束していたソンジェに別れを告げなければなりません。しかし、その時初めて無神経な行動と言葉の中に隠されていたソンジェの心と思いやりにガランは気づき始めます。ソンジェが愛を守るために1人で戦ってきた切ない痕跡と遅ればせながら向かい合うのです。別れる言い訳を見つけなければならないのに、時間が経つにつれてどうしても別れることができない理由だけが一杯になる・・・。はたしてガランはソンジェとの別れに成功して彼を死から救うことができるでしょうか? 原題は「이별유예, 일주일」です。
 ④「SWAG」は韓国のドラマ。タイトルのSWAG(스웨그)はヒップホップでよく使うswagに由来した新語で、「ヤバい」や「めっちゃかっこいい」といった意味で使われている言葉です。ラッパー志望のエル(NIEL←TEEN TOPのメインボーカル)、浮上するK-POPスターのジェイ(イ・ボリム←スーパーモデル大会出身)、生まれつきの天才プロデューサーのオジ(チェ・ギュジン←俳優)。彼ら3人の夢と愛、そして情熱を描いたミュージックドラマです。特にデビュー10年目のベテランアイドルグループ、TEEN TOPのNIELはスクリーン初主演作ということで注目されているようです。原題は「스웨그」です。

     【記者・評論家による順位】

①(2) 恐怖分子  8.22(9)
②(4) Mank/マンク  8.14(7)
③(3) マーティン・エデン  8.00(8)
④(5) 夏時間[ハラボジの家](韓国)  7.83(12)
⑤(7) ガールフッド  7.60(5)
⑥(9) 逃げた女(韓国)  7.33(6)
⑥(新) 冬の夜に  7.33(6)
⑧(10) TENET テネット  7.18(11)
⑨(-) チャンシルさんには福が多いね(韓国)  7.00(10)
⑩(-) サムジングループ英語TOEIC班(韓国)  7.00(7)

 ⑥「冬の夜」が新登場です。韓国のドラマ。「春川、春川」(2016)「初めての行程[初行]」(2017)に続くチャン・ウジン監督の春川シリーズの新作です。大学時代に出会い、いつの間にか中年夫婦となったウンジュ(ソ・ヨンファ)と夫のフンジュ(ヤン・フンジュ)は江原道旅行に出かけますが、その帰途ウンジュがタクシーの中で携帯電話を失くしたことを気付きます。それを見つけるために春川の清平寺に戻りますが、その地は2人30年前初めて一晩を過ごした所でした。ウンジュは、立ち寄った所で僧侶(パク・ミョンフン)と言葉を交わしたり、過去の自分たちのような若いカップルと出会ったりします。フンジュは夜の街をさまよっていて昔の恋人ヘラン(パク・ソニョン)と遭遇します。本作はウンジュとフンジュを中心に過去と現在、現実と夢が交錯し、それぞれの境界を行き来するため、わかりやすい展開ではありませんが、要は何を感じるかということ、ですと・・・。何かを失くしてしまった彼らの忘れられない真冬の夜の夢のような映画、とのことです。原題は「겨울밤에」です。
 なお、④「夏時間」と⑩「チャンシルさんには福が多いね」は、これまで本ブログでは、「ハラボジの家」と「チャンシルは福も多いね」と映画祭でのタイトルを用いてきましたが、最近前者は来年2月27日、後者は1月8日から一般公開されることが公表され、それに合わせて標記を修正しました。

 ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績12月11日(金)~12月13日(日) ★★★
        「ジョゼと虎と魚たち」(2003)の韓国版リメイク、「ジョゼ」が初登場1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・上映館数
1(新)・・ジョゼ(韓国)・・・・・・・・・・・・・12/10 ・・・・・・・・56,239 ・・・・・・・・・78,848 ・・・・・・・・712・・・・・1,179
2(1)・・お隣さん(韓国)・・・・・・・・・・・・11/25 ・・・・・・・・25,689・・・・・・・・381,076・・・・・・・3,271・・・・・・・688
3(2)・・盗掘(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・11/04 ・・・・・・・・15,017・・・・・・1,452,176 ・・・・・13,239・・・・・・・456
4(3)・・Run:ラン・・・・・・・・・・・・・・・・11/20 ・・・・・・・・10,648・・・・・・・・255,596・・・・・・・2,350・・・・・・・459
5(新)・・八佰・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/10 ・・・・・・・・・5,715 ・・・・・・・・・・8,385・・・・・・・・・・71・・・・・・・223
6(新)・・ミッドナイト・スカイ・・・・・・12/09 ・・・・・・・・・3,017 ・・・・・・・・・・5,094・・・・・・・・・・44・・・・・・・218
7(9)・・インターステラー・・・・2014/11/06 ・・・・・・・・・2,214・・・・・10,320,104 ・・・・・82,775・・・・・・・・17
8(4)・・ザ・プロム・・・・・・・・・・・・・・・・・12/02 ・・・・・・・・・2,089 ・・・・・・・・・23,577 ・・・・・・・・205・・・・・・・151
9(10)・・ダンケルク・・・・・・・・・・2017/7/20 ・・・・・・・・・1,903 ・・・・・・2,801,241 ・・・・・24,659・・・・・・・・16
10(5)・・ファティマの奇跡 ・・・・・・・・12/03 ・・・・・・・・・1,569 ・・・・・・・・・14,666・・・・・・・・・117・・・・・・・・85
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 日本同様韓国でも新型コロナの第3波のため感染者数が増加し、過去最多を更新するレベルになってしまいました。週末の観客動員数もさらに減り、通常の年の独立・芸術映画のランキングを見るようです。
 今回の新登場は1・5・6位の3作品です。
 1位「ジョゼ」は韓国のドラマ。2003年に妻夫木聡と池脇千鶴主演の佳作「ジョゼと虎と魚たち」(2003)の韓国版リメイクです。(原作は田辺聖子の短編小説です。) ジョゼ(ハン・ジミン)は祖母と2人きりで暮らしています。足の不自由な彼女は本を読んで想像する自分だけの世界を生きています。ある日、ヨンソク(ナム・ジュヒョク)はそんな彼女に偶然出会い、特別な感情を抱き始めます。そして彼は閉じこもっていたジョゼを外の世界に連れ出します。しかしジョゼは初めて経験する恋にドキドキする一方、慣れない感情で胸を痛めたりもします・・・。日本版との違いはいろいろあるようです。ヨンソクは大学生で同じですが、ジョゼは30代半ばで、内面にも深い傷を抱えている女性に設定され、そのため日本版にはない過去の物語が加えられたとのこと。その他今の時代、そして韓国に合わせたリメイクが施されているようです。原題は「조제」です。なお→コチラの記事によると「世界12ヵ国に配給決定、日本での公開も予定」とのことです。
 5位「八佰」は中国の超大型戦争ブロックバスター。韓国題は「800」ですが、中国っぽく原題のままにしました。物語の舞台は、日中戦争の契機となった盧溝橋事件(1937年7月7日)に続く第二次上海事変中の最後の戦闘である四行[しこう]倉庫の戦いです。四行倉庫は呉淞江(蘇州河)北岸の6階建てのビルで、戦闘前は中華民国軍第88師司令部として使用され、食料や医療品、砲弾・弾薬が備蓄されていました。(対岸はあの上海租界てす。) ここで10月26日~11月1日繰り広げられた戦闘=四行倉庫の戦いで日本軍に対抗して戦った守備隊の兵士たち800人は2万人の日本軍の攻撃に耐え、中国軍退却の援護に大きな役割を果たしました。その功績は<八百壮士>と呼ばれて称えられてきました。これが本作のタイトルの意味です。4昼夜の激戦を経ても意に反して容易に陥落できない日本軍はビルを爆破する計画を立て、第524連隊の兵士たちは命がけの脱出をすることになります・・・。
 6位「ミッドナイト・スカイ」は、ジョージ・クルーニーが製作・監督・主演を兼任しているアメリカのSF。日本でも11日から公開されています。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・上映館数
1(1)・・ファティマの奇跡 ・・・・・・・・・・・・・12/03・・・・・・・1,569・・・・・・・・・・14,666 ・・・・・・・117 ・・・・・・・85
2(新)・・レベル16 服従の少女たち・・・・・・12/10 ・・・・・・1,406・・・・・・・・・・・1,837・・・・・・・・・17 ・・・・・・137
3(3)・・劇場版 ヴァイオレット・・・・・・・・・11/12・・・・・・・・・977・・・・・・・・・・48,080 ・・・・・・・411・・・・・・・・62
       ・エヴァーガーデン(日本)
4(4)・・復活: その証拠(韓国) ・・・・・・・・・・10/08 ・・・・・・・・865 ・・・・・・・・・28,020・・・・・・・・229 ・・・・・・・13
5(2)・・宴の日(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・12/02 ・・・・・・・・783・・・・・・・・・・10,064・・・・・・・・・78 ・・・・・・・55

 2位「レベル16 服従の少女たち」が新登場。カナダのスリラーです。10代の孤児の少女たちが学びつつ生活する寮学校ベースタリス。良い家に養子縁組に行くため少女たちは常に服従、忠誠、忍耐、清潔を強要する授業を受けています。そして16歳になると養子に出されることになります。ヴィヴィアン(ケイティ・ダグラス)も最終学年に上がった1人ですが、かつての友人ソフィア(セリーナ・マーティン)から聞いたある忠告から、この寮学校の目的は養子縁組ではなく、別の秘密があることを知ります・・・。韓国題は「레벨 16」。日本では劇場公開はありませんがDVDレンタル、動画配信で視聴できます。


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