4月27日、韓国でロシア・ドイツ・チェコ・ラトヴィア・韓国合作のドキュメンタリー「太陽の下」(韓国題:태양 아래.英題:Under the Sun)が世界で初めて公開されました。
ロシアのヴィタリー・マンスキー監督が北朝鮮の8歳の女の子ジンミとその家族の日常>(??)を撮ったドキュメンタリーで、1ヵ月ほど前に開かれた<香港国際映画祭2016>のヤング・シネマ・コンペティション部門で審査員賞を受賞した作品です。ところが、その内容というのが北朝鮮当局の露骨な<ヤラセ>をそのまま映し出したものとなって話題となり、また問題にもなっています。
私ヌルボ、昨年12月の<デイリーNK>の記事(→コチラ)を読んでこのドキュメンタリーのことを知りました。最近では、公開前日の4月26日の<聯合ニュース>にも記事(→コチラ)が載っていました。また、いつも重宝している<海から始まる!?>の記事(→コチラ)にもこの作品について詳しく記されています。
これらを総合するとおよそ以下の通りです。
ドキュメンタリーの(本来の)内容は、上記のように女の子ジンミちゃんとその両親という「平壌では一般的な」家庭の日常を描くというもの。ジンミが共産主義青年団に入り、太陽節(金日成の誕生日)の行事を準備する過程等が撮影されるというものだったのですが・・・。(※ある記事では光明星節(金正日の誕生日)の行事とありましたが、違うみたいかな?)
マンスキー監督と北朝鮮当局の共同制作で、台本は北朝鮮が自由に変更できるようにし、ロケの場所も当局が選定して関係者の指導のもとに撮影され、すべて検閲を受けることとして撮影スタート。
しかし問題は映画の全シーンが北朝鮮当局により演出されたもので、ジンミの父親が縫製工場の技術者、母親が豆乳工場の労働者という<模範的労働者>というのはウソ。ジンミ一家が住んでいる平壌の新しいマンションも当局が用意した偽物。おいしそうな夕食ははたして<日常>なのか?
監督は平壌に1年間滞在する中で徐々に考えが変わり、そして「ある手法」を使ってすべてを暴露することを決意します。その手法とは「カメラの録画スイッチを入れたまま放置する」こと。その結果、シーンの中に唐突に当局の人間だかが登場して撮り直しを要求する場面も映し出されています。あるいは出演者のセリフ、座る場所、微笑むタイミングなどを事細かく指導しているシーンなども。
また、北朝鮮の担当者が金日成と金正日の銅像に捧げられた花を無造作に撤去するという舞台裏まで暴露したのは彼にとって「処刑されかねない」大問題、というのはマジでその通りでしょう。監督は、「真の北朝鮮の姿を込めた映画を撮りたかったが、あの国には我々の考えるような日常の風景は存在せず、あったのは『日常の風景というイメージ』だけだった。そこで私たちはその『嘘の真実』を映画にした」と述べたそうです。
この作品の上映については当然北朝鮮が反対し、また資金を提供したロシアからも抗議が出ているそうです。
これまでの北朝鮮のもろもろから考えると、とくに意外なこと・驚くことでもなく、「やっぱりなー」といったところです。しかし、慣れっこになってしまってはいけないと思います。公開処刑等々、かの国では「当たり前」になっているようなことでも、大多数の国同様に許してならないことは許してはならないのですから。
ポーランドのアンジェイ・フィディック監督によるドキュメンタリー「金日成のパレード 東欧の見た“赤い王朝”」が注目されたのは1989年でしたが、この「太陽の下」は直接北朝鮮の体制の問題点を映し出している点がキモですね。
日本でも上映してくれないかな?
※この映画の予告編がYouTubeにあったので貼っておきます。
★2016年8月26日の追記
本作品が「太陽の下で -真実の北朝鮮-」という邦題で2017年新春シネマート新宿等で公開されることが決まりました。
★2016年10月11日の追記
「太陽の下で 真実の北朝鮮」が2017年1月21日から東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋ほか全国で順次公開されることが決まりました。。
ロシアのヴィタリー・マンスキー監督が北朝鮮の8歳の女の子ジンミとその家族の日常>(??)を撮ったドキュメンタリーで、1ヵ月ほど前に開かれた<香港国際映画祭2016>のヤング・シネマ・コンペティション部門で審査員賞を受賞した作品です。ところが、その内容というのが北朝鮮当局の露骨な<ヤラセ>をそのまま映し出したものとなって話題となり、また問題にもなっています。
私ヌルボ、昨年12月の<デイリーNK>の記事(→コチラ)を読んでこのドキュメンタリーのことを知りました。最近では、公開前日の4月26日の<聯合ニュース>にも記事(→コチラ)が載っていました。また、いつも重宝している<海から始まる!?>の記事(→コチラ)にもこの作品について詳しく記されています。
これらを総合するとおよそ以下の通りです。
ドキュメンタリーの(本来の)内容は、上記のように女の子ジンミちゃんとその両親という「平壌では一般的な」家庭の日常を描くというもの。ジンミが共産主義青年団に入り、太陽節(金日成の誕生日)の行事を準備する過程等が撮影されるというものだったのですが・・・。(※ある記事では光明星節(金正日の誕生日)の行事とありましたが、違うみたいかな?)
マンスキー監督と北朝鮮当局の共同制作で、台本は北朝鮮が自由に変更できるようにし、ロケの場所も当局が選定して関係者の指導のもとに撮影され、すべて検閲を受けることとして撮影スタート。
しかし問題は映画の全シーンが北朝鮮当局により演出されたもので、ジンミの父親が縫製工場の技術者、母親が豆乳工場の労働者という<模範的労働者>というのはウソ。ジンミ一家が住んでいる平壌の新しいマンションも当局が用意した偽物。おいしそうな夕食ははたして<日常>なのか?
監督は平壌に1年間滞在する中で徐々に考えが変わり、そして「ある手法」を使ってすべてを暴露することを決意します。その手法とは「カメラの録画スイッチを入れたまま放置する」こと。その結果、シーンの中に唐突に当局の人間だかが登場して撮り直しを要求する場面も映し出されています。あるいは出演者のセリフ、座る場所、微笑むタイミングなどを事細かく指導しているシーンなども。
また、北朝鮮の担当者が金日成と金正日の銅像に捧げられた花を無造作に撤去するという舞台裏まで暴露したのは彼にとって「処刑されかねない」大問題、というのはマジでその通りでしょう。監督は、「真の北朝鮮の姿を込めた映画を撮りたかったが、あの国には我々の考えるような日常の風景は存在せず、あったのは『日常の風景というイメージ』だけだった。そこで私たちはその『嘘の真実』を映画にした」と述べたそうです。
この作品の上映については当然北朝鮮が反対し、また資金を提供したロシアからも抗議が出ているそうです。
これまでの北朝鮮のもろもろから考えると、とくに意外なこと・驚くことでもなく、「やっぱりなー」といったところです。しかし、慣れっこになってしまってはいけないと思います。公開処刑等々、かの国では「当たり前」になっているようなことでも、大多数の国同様に許してならないことは許してはならないのですから。
ポーランドのアンジェイ・フィディック監督によるドキュメンタリー「金日成のパレード 東欧の見た“赤い王朝”」が注目されたのは1989年でしたが、この「太陽の下」は直接北朝鮮の体制の問題点を映し出している点がキモですね。
日本でも上映してくれないかな?
※この映画の予告編がYouTubeにあったので貼っておきます。
★2016年8月26日の追記
本作品が「太陽の下で -真実の北朝鮮-」という邦題で2017年新春シネマート新宿等で公開されることが決まりました。
★2016年10月11日の追記
「太陽の下で 真実の北朝鮮」が2017年1月21日から東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋ほか全国で順次公開されることが決まりました。。
いずれにしろ、総連の対応には注目!です。