横浜市立図書館で月刊「新東亜」11月号を開くと、第49回新東亜ノンフィクション公募最優秀作の「男、一人で死ぬ 無縁故死亡者83人の記録」が目にとまりました。
審査員にも注目された6人の大学生の共同執筆によるもので、韓国でも増えている<無縁死>の問題を、個々の事例を取材し、分析した記録です。
※この記事は<新東亜>のサイトで読むことができます。(→コチラ。)
このノンフィクションは、2012年3月~13年5月までのソウルの無縁故死亡者83人について調査し、とくにその中の7人についてそれぞれの事情を詳しく記しています。
とくに筆者たちが注目したのが、83人中男性が77人を占めていること。ソウル市の独居老人の71%は女性なのに・・・。
その理由・背景について、失業や事業の失敗によって生活を維持できなくなったことが大きいと分析しています。その結果離婚されたり、子供からも棄てられたり・・・。
無縁故死といっても、実は縁故者はいるのに遺体の引受けを拒否される事例が大半で、その数が増加しているといいます。
日本では、2010年NHKスペシャルで放映された「無縁社会 ― “無縁死”三万二千人の衝撃」が大きな反響をよびました。(→コチラ。)
韓国でも、日本と同様の高齢社会となり、また伝統的な家族や地域の人間関係も大きく変わりつつあって、<孤独死>や<無縁死>も共通の社会問題となってきたというわけです。
昨年9月の「朝鮮日報」(日本語版)の記事「無縁故者の「直葬」、韓国でも増加傾向に」(→コチラ)によると、ソウルの無縁故死亡者(身元未詳や、遺体引受人のない死亡者)は、2009年206人、2010年273人、2011年301人、2012年282人。
東京23区内の場合は、65歳以上の独居者が自宅で死亡したケースは2002年に1364人だったのが2008年は2211人。孤独死≠無縁死(正確には孤独死∋無縁死)ですが、まだソウルの方が数字的には少ないようです。
さて、上記の「新東亜」の記事中に無縁故死亡者83人のリスト(→コチラ)があり、そこに「住居形態」という項目があります。
その内訳は、チョッパンチョン(쪽방촌)滞在者が16人、考試院(고시원)生活者が8人、旅館(여관)に長期投宿3人、1間の住宅(주택 단칸방)及びチョッパン(쪽방)生活者22人、アパート(아파트)生活者5人。
考試院(コシウォン)は、元はといえば公務員試験受験者用の勉強部屋で、→コチラの記事では主にそのような説明をしていますが、それが経済的に苦しい人たちの生活の場所になってきて、その状況は<レイバーネット>中の「現代版貧民窟、考試院」と題した記事(→コチラ)に詳述されています。
また、おなじみのブログ<大塚愛と死の哲学>では2009年に「追跡取材:「1坪人生」送る会社員が急増」という見出しの「朝鮮日報」の記事を紹介しています。(→コチラ。) このブログでは、2011年には「死よりも先に無縁化が来る社会」と題した記事(→コチラで今回のこの記事と同じテーマを扱っているし、ホントに鋭敏な情報感度です。
考試院はヌルボ自身1度宿泊したこともありますが、それ以上に無縁故死亡者が多かったというチョッパンチョンのことはよく知りませんでした。
ということで、続きはそのチョッパンチョンについて書く予定です。 ※2017年5月現在、続きはまだ書いていません。
(しかし、このテーマは他人事ではないゾ。気が重くなってくるなー・・・。)
審査員にも注目された6人の大学生の共同執筆によるもので、韓国でも増えている<無縁死>の問題を、個々の事例を取材し、分析した記録です。
※この記事は<新東亜>のサイトで読むことができます。(→コチラ。)
このノンフィクションは、2012年3月~13年5月までのソウルの無縁故死亡者83人について調査し、とくにその中の7人についてそれぞれの事情を詳しく記しています。
とくに筆者たちが注目したのが、83人中男性が77人を占めていること。ソウル市の独居老人の71%は女性なのに・・・。
その理由・背景について、失業や事業の失敗によって生活を維持できなくなったことが大きいと分析しています。その結果離婚されたり、子供からも棄てられたり・・・。
無縁故死といっても、実は縁故者はいるのに遺体の引受けを拒否される事例が大半で、その数が増加しているといいます。
日本では、2010年NHKスペシャルで放映された「無縁社会 ― “無縁死”三万二千人の衝撃」が大きな反響をよびました。(→コチラ。)
韓国でも、日本と同様の高齢社会となり、また伝統的な家族や地域の人間関係も大きく変わりつつあって、<孤独死>や<無縁死>も共通の社会問題となってきたというわけです。
昨年9月の「朝鮮日報」(日本語版)の記事「無縁故者の「直葬」、韓国でも増加傾向に」(→コチラ)によると、ソウルの無縁故死亡者(身元未詳や、遺体引受人のない死亡者)は、2009年206人、2010年273人、2011年301人、2012年282人。
東京23区内の場合は、65歳以上の独居者が自宅で死亡したケースは2002年に1364人だったのが2008年は2211人。孤独死≠無縁死(正確には孤独死∋無縁死)ですが、まだソウルの方が数字的には少ないようです。
さて、上記の「新東亜」の記事中に無縁故死亡者83人のリスト(→コチラ)があり、そこに「住居形態」という項目があります。
その内訳は、チョッパンチョン(쪽방촌)滞在者が16人、考試院(고시원)生活者が8人、旅館(여관)に長期投宿3人、1間の住宅(주택 단칸방)及びチョッパン(쪽방)生活者22人、アパート(아파트)生活者5人。
考試院(コシウォン)は、元はといえば公務員試験受験者用の勉強部屋で、→コチラの記事では主にそのような説明をしていますが、それが経済的に苦しい人たちの生活の場所になってきて、その状況は<レイバーネット>中の「現代版貧民窟、考試院」と題した記事(→コチラ)に詳述されています。
また、おなじみのブログ<大塚愛と死の哲学>では2009年に「追跡取材:「1坪人生」送る会社員が急増」という見出しの「朝鮮日報」の記事を紹介しています。(→コチラ。) このブログでは、2011年には「死よりも先に無縁化が来る社会」と題した記事(→コチラで今回のこの記事と同じテーマを扱っているし、ホントに鋭敏な情報感度です。
考試院はヌルボ自身1度宿泊したこともありますが、それ以上に無縁故死亡者が多かったというチョッパンチョンのことはよく知りませんでした。
ということで、続きはそのチョッパンチョンについて書く予定です。 ※2017年5月現在、続きはまだ書いていません。
(しかし、このテーマは他人事ではないゾ。気が重くなってくるなー・・・。)
これはまた、まさしく『韓国版・無縁社会』といった感じのルポルタージュですね。大学生6人の共同取材で書きあげられたもののようですが、できることなら追加取材も含めて単行本化してもらいたいものです。
住居のことに加えて、ホームレスのこと、直葬のような葬儀形態のこと、いろいろ関連して思い浮かぶことがあります。後でじっくり読んでみることにします。
やはり、韓国社会の変容、それに伴う意識の変化(火葬の増加等)などいろんなことがこういう問題にあらわれていますね。
チョッパンチョンのことを書くにあたって、つい久しぶりに寿町のようすなんかを見て来たりしているので、記事の続編はまだ先になりそうです。