昨年(2016年)韓国に行った時、ある所で軽く接待されました。「まあコーヒーでも1杯どうぞ」と出されたインスタントコーヒーの紙コップが下の画像。
片面(左)には「대한 독도(大韓独島)」、その反対側(右)には「아름다운 우리 땅 독도(美しいわれらの地 独島)」と記されています。小さい字を見ると、英語で「DOKTO OF KOREA」云々と英語で書かれていて、とくに「NOT JAPAN」の字は赤い色になっています。「本製品の収益の一部は<독도 사랑(独島愛)>キャンペーンに使用されます」という文言もあります。また独島が「天然記念物第336号」であることや、独島の総面積(187,554㎡)、そして10月25日が「独島の日」であることも記されています。
ヌルボたちにコーヒーを出した後この紙コップのことに気がついたアチラの方2人は、テーブルの下でこのコップを指さしながら「日本人にこんなもの出しちゃったよ」といったようすでヒソヒソ。しかしそこは紳士で、(双方とも)話題にはしませんでした。
ところが、ヌルボは行かなかったサークル仲間の皆さんの韓国旅行のおり、アチラさんの接待(アルコール付)の場で「独島についてどう考えていますか?」となんともストレートな質問をした御仁がいたとか。するとわが仲間中の<達人>Yハラボジがそれに対して何と答えたかというと「トクトは韓国の島です。が、タケシマは日本の島です」。その場の大勢の韓国人も大いに笑ったとのことです。
・・・と、ここまでが前置き。(←例によって長い。)
→2つ前の記事で、ソウルの地下鉄・良才(ヤンジェ)駅の近くにある外交史料館のことを書きました。
私ヌルボが昨年3月に初めて行った時、たまたま「独島」をテーマにした特別展のコーナー(下左)がありました。
なんとなく見回すと、そこにタッチパネル式の<独島クイズ>というのがあった(下右)ので挑戦してみました。
クイズは全10問。以下、問題と解答・解説をそのまま紹介します。※画像はどれも同じパターンなので、第2~10問は省略します。
なお、<正解>は薄い色になっています。これはいうまでもなく「韓国側の観点による<正解>」なので、日本側あるいはヌルボが考える<正解>というわけではありません。
このクイズについての感想等は最後に書きます。
【Q1】鬱陵島から天気が好い日にだけ肉眼で見える島は独島ただ1つである。
【A1】正解=○
世宗実録地理志(1454)には「于山(ウサン=独島)・武陵(=鬱陵)の2島が県の正に東の海の中にある。2つの島はたがいに遠く離れてはいなくて、天気が好ければ眺めることができる」とある。
【Q2】于山島という名がわが国最初の文献に現れたのは新羅時代からである。
【A2】正解=×
于山島がわが国の昔の文献に初めて現れたのは朝鮮時代(「高麗史地理志」(1451年)からである。
【Q3】日本の敗戦後、連合国の占領統治の時期に独島は日本の統治・行政範囲に含まれていた。
【A3】正解=×
連合国最高司令官覚書(SCAPIN)第677号第3章で、日本が統治権を行使できる地域は「本州、九州、北海道、四国など4つの主要島嶼と約1千の隣接小島」として、日本の領域から「鬱陵島、リアンクル岩(独島)と済州島は除外される」と規定し、独島を日本の統治・行政範囲から除外している。
【Q4】独島は東島と西島の2つの島からなる。
【A4】正解=×
独島は2つの大きな島である東島と西島、そして周辺の89の付属島嶼で構成されている。
【Q5】独島は鬱陵島東南157.5㎞離れた所に位置している。
【A5】正解=×
独島は鬱陵島の東南87.4㎞に位置しており、日本の隠岐の島の北西157.5㎞離れた所に位置している。
【Q6】独島の地質は主に玄武岩で構成されている。
【A6】正解=○
独島は海底2000mから噴き上がった溶岩が固まって形成された火山島で、その地質は火山活動によって噴出したアルカリ性火山岩である玄武岩及び粗面岩等で構成されている。
【Q7】独島は島全体が「天然記念物第336号」に指定されている。
【A7】正解=○
1982年11月16日東海岸地域で唯一ウミツバメ、オオミズナギドリ、ウミネコの大集団が繁殖し、独島を天然記念物第336号「独島海鳥類繁殖地」として指定して、1999年12月独特の植物が育ち、火山爆発により造られた島として地質的価値もまた大きく、島周辺の海の生物が他の地域と異なりとても特殊で「独島天然保護区域」と名称を変えた。
【Q8】独島に入るには鬱陵郡の許可を受けなければならない。
【A8】正解=×
独島は1982年天然記念物第336号に指定され、文化財保護法第33条を根拠に公開を制限してきたが、制限地域(東島・西島)中東島に限り一般人の出入りが可能とするよう公開制限を解除して(2005.3.24)入島許可制(承認)を申告制に転換した。
【Q9】国際司法裁判所は一方の提訴によって管轄権が形成される「強制管轄権」が原則である。
【A9】正解=×
紛争のすべての当事国が管轄権講師に同意したり、同裁判所規定第36号第2項(いわゆる「選択条項」により裁判所の管轄権を事前に受諾してのみ裁判権講師が可能な「任意的管轄権(facultative jurisdiction)」が原則である。我が国は強制管轄権関するICJの選択条項を受諾していない。
【Q10】Q10.1906年鬱陵郡守の沈興澤(シム・フンテク)は独島が日本領に編入されたという事実を知った後ただちに江原道観察使に報告した。
【A10】正解=○
1906年鬱陵郡守沈興澤は日本・島根県の官民で構成された調査団から独島が日本領に編入されたという事実を知らされるとただちに江原道観察使に「本国所属の独島が・・・」として報告書を差し出した。この報告を受け取った当時の最高機関である議政府では日本の独島の領土編入が「事実無根」なので再調査せよという<指令第3号>を出した。
全問正解すると次の画面になります。 ○×クイズに全部正解しましたね!
独島に対する正しい知識と関心が、独島を守る大きな力になります!
私ヌルボ、最初から全問正解したわけではありませんが・・・。
感想としては、見出しに書いたように「なかなかよくできている」といったところ。
たとえば「鬱陵島からの距離は・・・」とか「独島の地質は・・・」といった<客観的事実>と、日韓間で解釈の分かれる史料の関わる問題がほど良くミックスされている点はなかなか巧み。
また客観的事実だし直接領有権とは関係ないといっても、「隠岐の島からよりも鬱陵島からの距離の方がはるかに近い」ということは「韓国領!」という確信を強化します。「天気が好い日には鬱陵島から肉眼で見える」というのも同様で直接関係はナシ。すぐ近くに他国領の島が見えるという例はいくつあるのでは? ただこれについては→コチラの記事等では「見える」説に疑問を呈しているし、<客観的事実>と言えるかどうかから問題。(それにしても、主張の違いによって見えたり見えなかったりするものだろうか?(笑))
ヌルボとしては、元来<領土ナショナリズム>というものは肌に合わないので、竹島(独島)の領有権をめぐる議論に打って出ようという気はさらさらありません。
むしろ、昔から<国境>というものがどのように設定され認識されてきたかということを考察することの方がずっと<正しい歴史認識>が育まれると思います。竹島(独島)に限らず、世界各国の現在の国境などというものは、世界史的にはせいぜいこの200年ほどのうちに線引きされてきたにすぎないのに・・・。
上記のクイズの最後の「全問正解!」の画面で「올바른 지식(正しい知識)」という言葉がありました。日本では「正しい歴史」といえば「史実のまま」と理解する人が多いのでは? まあ中には「日本の精神」云々を強調する人もいるでしょうが・・・。一方韓国の「올바른(正しい)」という形容詞は「道義的に」正しい、つまり「かくあるべき」という理念的な正しさを意味しています。慰安婦問題等々でも日本側が「正しい歴史認識」を求められているのは、そうした「道義」の面を批判されているというわけです。(私ヌルボ、個人的には何割かは賛同しますが、自分たちが100%道義的に正しいという確信を持っちゃうのも非常に問題あり。それは<洗脳>の結果でしかありません。
なお、政府の主張をそのまま学校で教え込んでいる韓国に対して、日本も同じような方式で教科書を改定し授業でも学ばせようとしていますが、これでは「教育」ではなく「教化」になってしまいます。
最近いろんな面で「日本の韓国化」が見られるという見解があるようですが、この問題についても言えるかな? しかし、本気でそんな「教化」を推進しようとしても勝てるわけないですね。韓国ではこの件については保守系・進歩系を問わず強い思い入れがあるようだし、独島に対しては知識を通り越して、冒頭にも書いたように<独島愛>といったものまでありますからねー。
アラ、今回はいつになく政治的主張をけっこう書いてしまったような・・・。
片面(左)には「대한 독도(大韓独島)」、その反対側(右)には「아름다운 우리 땅 독도(美しいわれらの地 独島)」と記されています。小さい字を見ると、英語で「DOKTO OF KOREA」云々と英語で書かれていて、とくに「NOT JAPAN」の字は赤い色になっています。「本製品の収益の一部は<독도 사랑(独島愛)>キャンペーンに使用されます」という文言もあります。また独島が「天然記念物第336号」であることや、独島の総面積(187,554㎡)、そして10月25日が「独島の日」であることも記されています。
ヌルボたちにコーヒーを出した後この紙コップのことに気がついたアチラの方2人は、テーブルの下でこのコップを指さしながら「日本人にこんなもの出しちゃったよ」といったようすでヒソヒソ。しかしそこは紳士で、(双方とも)話題にはしませんでした。
ところが、ヌルボは行かなかったサークル仲間の皆さんの韓国旅行のおり、アチラさんの接待(アルコール付)の場で「独島についてどう考えていますか?」となんともストレートな質問をした御仁がいたとか。するとわが仲間中の<達人>Yハラボジがそれに対して何と答えたかというと「トクトは韓国の島です。が、タケシマは日本の島です」。その場の大勢の韓国人も大いに笑ったとのことです。
・・・と、ここまでが前置き。(←例によって長い。)
→2つ前の記事で、ソウルの地下鉄・良才(ヤンジェ)駅の近くにある外交史料館のことを書きました。
私ヌルボが昨年3月に初めて行った時、たまたま「独島」をテーマにした特別展のコーナー(下左)がありました。
なんとなく見回すと、そこにタッチパネル式の<独島クイズ>というのがあった(下右)ので挑戦してみました。
クイズは全10問。以下、問題と解答・解説をそのまま紹介します。※画像はどれも同じパターンなので、第2~10問は省略します。
なお、<正解>は薄い色になっています。これはいうまでもなく「韓国側の観点による<正解>」なので、日本側あるいはヌルボが考える<正解>というわけではありません。
このクイズについての感想等は最後に書きます。
【Q1】鬱陵島から天気が好い日にだけ肉眼で見える島は独島ただ1つである。
【A1】正解=○
世宗実録地理志(1454)には「于山(ウサン=独島)・武陵(=鬱陵)の2島が県の正に東の海の中にある。2つの島はたがいに遠く離れてはいなくて、天気が好ければ眺めることができる」とある。
【Q2】于山島という名がわが国最初の文献に現れたのは新羅時代からである。
【A2】正解=×
于山島がわが国の昔の文献に初めて現れたのは朝鮮時代(「高麗史地理志」(1451年)からである。
【Q3】日本の敗戦後、連合国の占領統治の時期に独島は日本の統治・行政範囲に含まれていた。
【A3】正解=×
連合国最高司令官覚書(SCAPIN)第677号第3章で、日本が統治権を行使できる地域は「本州、九州、北海道、四国など4つの主要島嶼と約1千の隣接小島」として、日本の領域から「鬱陵島、リアンクル岩(独島)と済州島は除外される」と規定し、独島を日本の統治・行政範囲から除外している。
【Q4】独島は東島と西島の2つの島からなる。
【A4】正解=×
独島は2つの大きな島である東島と西島、そして周辺の89の付属島嶼で構成されている。
【Q5】独島は鬱陵島東南157.5㎞離れた所に位置している。
【A5】正解=×
独島は鬱陵島の東南87.4㎞に位置しており、日本の隠岐の島の北西157.5㎞離れた所に位置している。
【Q6】独島の地質は主に玄武岩で構成されている。
【A6】正解=○
独島は海底2000mから噴き上がった溶岩が固まって形成された火山島で、その地質は火山活動によって噴出したアルカリ性火山岩である玄武岩及び粗面岩等で構成されている。
【Q7】独島は島全体が「天然記念物第336号」に指定されている。
【A7】正解=○
1982年11月16日東海岸地域で唯一ウミツバメ、オオミズナギドリ、ウミネコの大集団が繁殖し、独島を天然記念物第336号「独島海鳥類繁殖地」として指定して、1999年12月独特の植物が育ち、火山爆発により造られた島として地質的価値もまた大きく、島周辺の海の生物が他の地域と異なりとても特殊で「独島天然保護区域」と名称を変えた。
【Q8】独島に入るには鬱陵郡の許可を受けなければならない。
【A8】正解=×
独島は1982年天然記念物第336号に指定され、文化財保護法第33条を根拠に公開を制限してきたが、制限地域(東島・西島)中東島に限り一般人の出入りが可能とするよう公開制限を解除して(2005.3.24)入島許可制(承認)を申告制に転換した。
【Q9】国際司法裁判所は一方の提訴によって管轄権が形成される「強制管轄権」が原則である。
【A9】正解=×
紛争のすべての当事国が管轄権講師に同意したり、同裁判所規定第36号第2項(いわゆる「選択条項」により裁判所の管轄権を事前に受諾してのみ裁判権講師が可能な「任意的管轄権(facultative jurisdiction)」が原則である。我が国は強制管轄権関するICJの選択条項を受諾していない。
【Q10】Q10.1906年鬱陵郡守の沈興澤(シム・フンテク)は独島が日本領に編入されたという事実を知った後ただちに江原道観察使に報告した。
【A10】正解=○
1906年鬱陵郡守沈興澤は日本・島根県の官民で構成された調査団から独島が日本領に編入されたという事実を知らされるとただちに江原道観察使に「本国所属の独島が・・・」として報告書を差し出した。この報告を受け取った当時の最高機関である議政府では日本の独島の領土編入が「事実無根」なので再調査せよという<指令第3号>を出した。
全問正解すると次の画面になります。 ○×クイズに全部正解しましたね!
独島に対する正しい知識と関心が、独島を守る大きな力になります!
私ヌルボ、最初から全問正解したわけではありませんが・・・。
感想としては、見出しに書いたように「なかなかよくできている」といったところ。
たとえば「鬱陵島からの距離は・・・」とか「独島の地質は・・・」といった<客観的事実>と、日韓間で解釈の分かれる史料の関わる問題がほど良くミックスされている点はなかなか巧み。
また客観的事実だし直接領有権とは関係ないといっても、「隠岐の島からよりも鬱陵島からの距離の方がはるかに近い」ということは「韓国領!」という確信を強化します。「天気が好い日には鬱陵島から肉眼で見える」というのも同様で直接関係はナシ。すぐ近くに他国領の島が見えるという例はいくつあるのでは? ただこれについては→コチラの記事等では「見える」説に疑問を呈しているし、<客観的事実>と言えるかどうかから問題。(それにしても、主張の違いによって見えたり見えなかったりするものだろうか?(笑))
ヌルボとしては、元来<領土ナショナリズム>というものは肌に合わないので、竹島(独島)の領有権をめぐる議論に打って出ようという気はさらさらありません。
むしろ、昔から<国境>というものがどのように設定され認識されてきたかということを考察することの方がずっと<正しい歴史認識>が育まれると思います。竹島(独島)に限らず、世界各国の現在の国境などというものは、世界史的にはせいぜいこの200年ほどのうちに線引きされてきたにすぎないのに・・・。
上記のクイズの最後の「全問正解!」の画面で「올바른 지식(正しい知識)」という言葉がありました。日本では「正しい歴史」といえば「史実のまま」と理解する人が多いのでは? まあ中には「日本の精神」云々を強調する人もいるでしょうが・・・。一方韓国の「올바른(正しい)」という形容詞は「道義的に」正しい、つまり「かくあるべき」という理念的な正しさを意味しています。慰安婦問題等々でも日本側が「正しい歴史認識」を求められているのは、そうした「道義」の面を批判されているというわけです。(私ヌルボ、個人的には何割かは賛同しますが、自分たちが100%道義的に正しいという確信を持っちゃうのも非常に問題あり。それは<洗脳>の結果でしかありません。
なお、政府の主張をそのまま学校で教え込んでいる韓国に対して、日本も同じような方式で教科書を改定し授業でも学ばせようとしていますが、これでは「教育」ではなく「教化」になってしまいます。
最近いろんな面で「日本の韓国化」が見られるという見解があるようですが、この問題についても言えるかな? しかし、本気でそんな「教化」を推進しようとしても勝てるわけないですね。韓国ではこの件については保守系・進歩系を問わず強い思い入れがあるようだし、独島に対しては知識を通り越して、冒頭にも書いたように<独島愛>といったものまでありますからねー。
アラ、今回はいつになく政治的主張をけっこう書いてしまったような・・・。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます