ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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[韓国の食文化] 韓国のふりかけ事情

2014-03-16 22:23:38 | 韓国料理・食べ物飲み物関係
 「リンゴ ミカン」、「クリ カキ」の→「と」を韓国語で何というか?
 私ヌルボがずっと昔に読んだテキストには、「사과 귤」、「밤 감」のように「」とありました。その後「하고」が「会話ではよく使われる」というのが出てきて、さらに「」という語を知ったのがそのまた何年か後だったと思います。
 つまりは、これも「かしこまった言葉からだんだん日常的な言葉になってきた」という韓国語テキストの一般的な流れの中の1つなのかもしれません。
 一応整理しておくと、「와・과」は書き言葉、「하고」は書き言葉と話し言葉、「랑」は話し言葉で用いられるということです。

 昨日のハングルサークルで、これらについての話の中で「밥이랑(パビラン)」のことを教わりました。そのまま訳すともちろん「ご飯と」なんですが、この言葉が韓国ではふりかけの商品名になっている、ということです。

 帰宅してからいろいろネット検索した結果、いろんなことがわかってきました。

 発売元は大手食品会社のCJ第一製糖。海鮮味・カツオ海苔味・野菜味・カレー味・チーズ味の5種類出ているようです。

     
          【パビランの野菜味。】

 韓食の専門家・八田靖史さんのサイト<韓食日記>には、2008年1月の記事でこのパビランについて紹介されていました。(→コチラ。)
 それ以前では、2006年の<韓国B級グルメ>の記事中にチーズ味(→コチラ)や「カレー味」(→コチラ)をお子様たちと一緒に食べてみたという方の感想が載っていました。チーズ味については私ヌルボも「いかがなものか?」と思ったのですが、この記事によると「あつあつご飯にふりかけると、粉チーズの香りがすごいです。娘は「くさーい!」とか言っちゃって、全然食べてくれませんでした(T_T)」とのこと。カレー味の方は「期待を裏切らない味」だったとあります。

 上記の八田靖史さんの記事の中で、ヌルボがちょっと考えたのは「1袋がだいたいごはん2~3膳分という感じ」という分量の多さと、「ごはんに直接かけるときは塩気が強いので、量を調節しながら、かけるように」と注意書きにも記されているほどの塩気の強さのこと。
 で、思ったのは、日本のふりかけと韓国のパビランでは使い方が少し違うのでは?ということ。
 確かめてみたら、案の定でした。
 日本では、ふりかけは文字通りご飯にふりかけて食べるというのがオーソドックスな、というか、当たり前の食べ方。
 ところが、韓国ではパビランをふりかけて食べる(밥이랑을 뿌려 먹다.)というのもいろんな使用法の1つと理解した方がいいようです。

 たとえば下の画像のように、袋にいろんなメニュー例が描かれています。

      
     【ちょっと読み取りにくいですが、詳しくは後述。】

 また、たとえば下の画像の海鮮の袋には、ご飯に混ぜていなり寿司に詰めた写真が印刷されています。

      

 →コチラの韓国ブログにも、パビラン4種類でそれぞれ混ぜご飯を作って、いなり寿司に詰める過程が画像付きで詳しく書かれています。
 最初の画像でも、おにぎりの表面にふりかけているのではなく、混ぜご飯になっているようですね。

 やっぱり、韓国人の「混ぜて食べる」という基本形はふりかけについてもほとんど揺るぎないのでは、と思います。

 ふりかけという言葉は、韓国語でも「후리카케(フリカケ)」とそのままの形で使われることもあるようで、韓国ウィキペデアにもその項目があります。(→コチラ。)
 その説明文中にも、「韓国では、ふりかけを通常ゴマ油もしくはエゴマ油をかけてのように混ぜて食べる」と記されています。また「おこげ、お粥、ビビン麺、玉子焼き、玉子蒸し(ケーランチム)、チャーハンなど様々な食品に入れて食べることもある」とも。先の袋記載のメニュー例の通りですね。

 ウィペディア日本版の「ふりかけ」の項目(→コチラ)と韓国版(→コチラ)を比べて、「あれっ!?」と思った点が1つありました。
 その歴史についての説明文です。日本語版は次の通り。

 ふりかけの起源については、美味滋養を目的として大正時代から昭和初期にかけて数ヶ所で考案されたといわれており、業界団体の全国ふりかけ協会では、熊本県で売り出された「御飯の友」という商品を、ふりかけの元祖として認定している。小魚を尻尾も内臓も問わず粉砕して、一種の栄養補助食品と成したことで軍隊でも重宝された。子供のための食べ物になったのは、戦後しばらくしてのことである。

 一方、韓国版では、その歴史について最初から次のように記されています。

 ふりかけは、日本軍の戦闘食糧として送るために作られた食品である。戦争当時は日本人の主食であった魚を海から遠く離れた大陸まで運搬するのが大変だったため、日本は調味料と同様の形態の、携帯が容易で、美味しいふりかけを作った。

 また<エンハウィキミラー>(→コチラ)では、「本来、古くから存在していた調味料が、現在の姿と同じように作られたのは、日露戦争当時、日本軍が戦闘食糧に編成してからだ」とより具体的に記しています。

 うーむ、ここらへんにもビミョーに歴史認識の違いが・・・?(笑)

 その<エンハウィキミラー>によると、「ふりかけ」の呼称について、「2013年4月国立国語院が公募で후리카케(ふりかけ)のハングルの名前を맛가루(マッカル.味粉)に選定した」とも書かれています。(英語の外来語はOKでも、日本語そのままの言葉はダメなようです。)
 Google検索すると、밥이랑のヒット数が10,200,000件であるのに対し、맛가루は19,800,000件で、この新語は1年足らずの間に相当浸透したと言ってよさそうです。(ちなみに후리카케のヒット数は57,200件です。)

 また、先の八田靖史さんの記事で、「他社からもこうしたふりかけ商品は出ているのでしょうか」とも書かれていました。
 調べてみたところ、他の食品会社大手のオットゥギからは「밥친구(パプチング.ご飯の友)」、またロッテマート(Wiselectブランド)からは「밥 과 함께(パプクァハムケ(ご飯と一緒に))という製品が出ているようです。

       
   【パプチングの海老&チーズ味。どんな味がするのでしょうか?】

 今度韓国に行った時に直接確認してみます。もしかして、新大久保とか横浜でも売ってるかな?

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