ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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少女時代等について、対馬亘氏のすご~い文章

2010-12-03 15:14:01 | 韓国の音楽
 1つ前の記事で少し少女時代のことについて書いていて思い出したのが、ちょっと意外な感じ(?)の「週刊金曜日」(10月15日号)の音楽欄の、対馬亘「「韓流」が芯にはらむプロの世界」と題したなんともスゴい(!)一文。
 対馬亘という人は、相田冬二というペンネームの映画評論家でもあり、また「息もできない」等々のノベライズもしている人です。
 2ヵ月前の記事ですが、他のサイト等を見ても載っていないので、以下一部抜粋します。

 韓流を「洋楽」として捉えるか否かについては議論があってしかるべきだが、「洋楽」として捉えない場合、国際問題に発展しかねないので、「洋楽」として捉えたいと思うのだが、だとすれば、今回の一件は、「洋楽」としての快挙ということになるだろう。少女時代の日本上陸である。 
(中略)
 彼女たち(日本の若い女性ファン)もそのビジュアルに惹かれていることは間違いないが、プロモ映像を一切封印してCDに向き合ってみると、「GENIE」のありようは決してAKB48あたりと比較するべきではなく、むしろPerfumeなどの傍らに置いたほうがしっくりくることがわかる。
 未成熟なものを愛でる日本のカルチャーは長いこと、それこそ「少女時代」だったわけだが、韓流の根本は歌唱力の有無にかかわらずプロフェッショナリズムにある。そう、きわめてショウビズ的なのだ。少女時代にしてもそれは同じ。スタッカートされるリズムに、群唱がトッピングされる呼吸は、なめらかなムースのようなテクスチャーを持続させる。あたかも曇り空を切り裂いていく飛行機雲のごとく、あいまいな時空をさすらう怠(だる)い失踪は優れて現代的だ。もちろん日本語は「未成熟」である。しかしながら彼女たちが芯にはらんでいる「プロの世界」が、これから我が国のオーディエンスの耳をどう侵蝕し、調教していくのか楽しみだ。


 ・・・うーむ、すごいなー。こんな文章は私ヌルボにはどう逆立ちしたって書けそうにありません。と言いながらも、つい茶々をいれたくなっちゃいます。

 「洋楽」として捉えなければ「邦楽」になっちゃうから「国際問題に発展しかねない」というわけですか? しかし、ここまで脳細胞をムダに(?)働かせるのであれば、ムダついでに「洋楽」と「邦楽」という用語や音楽の分類についてまで疑問を呈してほしかったところです。
 「邦楽」といえば私ヌルボがまず思い浮かぶのはNHKでやっていた「邦楽百選」という番組。つまりこの語は本来的には日本の伝統音楽、狭義にはとくに三味線や箏等を用いた近世の音楽のことで、それがいつからかJ-POP等々も含めて国産の音楽を包括的にさす言葉となり、上述の本来的「邦楽」は「純邦楽」とよばれるようになっているようです。
 「洋楽」も本来は(音楽の様式上の分類の)西洋音楽のことなので、学校の音楽の授業で教わった音楽もほとんどは(「越天楽」等を除いて)洋楽で、J-POPも国産の「洋楽」ということになります。
 ・・・などと正面切って理屈をこねても現実には話をややこしくするだけだから(ブログ上は別として)言わないことにしてますが・・・。
 音楽の分類にまで踏み込むとさらに複雑になるので深入りは避けますが、「邦楽」「洋楽」という用語も、そうした言葉による分類も便宜的なものにすぎない、というのが当たり前すぎる結論です。

 また対馬さんは、「歌だけ聴いてみると」ですみそうなところを、「プロモ映像を一切封印してCDに向き合ってみると」と書いてますが、ヌルボが思うに、韓流各グループの魅力は歌も振り付けも全部ひっくるめての魅力ではないでしょうかねー・・・。
 ・・・などと心にいくつもの「?」を残しながら、いまだに記憶に残るユニークな音楽評でありました。

 ほんの少しだけ関連する記事で、11月23日付「朝鮮日報」に「소녀시대•보아 노래는 '메이드 인 북유럽'(少女時代、BoAの歌は<メイドイン北欧>)」という記事がありました。
 「願いを言って(소원을 말해봐')」や「ハリケーンビーナス(허리케인 비너스)」等の作曲はノルウェイの作曲家グループ、少女時代の「HOOT」はデンマークの作曲家によるもので、それに韓国で歌詞をつけて編曲し、アメリカと日本の振付師が振りをつけるそうです。

 音楽を聴く側だけでなく、作る側もまさにボーダーレスといったところですね。楽曲を聴いてもホントにどこの音楽だかわからないご時世です。久しい前から、日本のアーティストも曲名もアルファベット(またはカタカナ)が大半になってしまって、ヌルボのような昭和のおじさんはよくわかりませんがな・・・。

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