突然、中年男性は、
『早く降りろコノヤロー!』
と怒鳴り、右手でグーを作り、私のフトモモを一発殴ってきたのです★
ついに手を出したきた訳です★
私も今までのイライラが頂点に達していたので、
『テメー!なんで殴るんだ!』
と、車内中に響き渡る大声を出しました★
すると、何があったんだと言わんばかりに殆どの乗客が立ち上がってこちらを見だしました★
私は手を出したこの中年男性の胸倉を掴み、
『ただで済むと思うなよ!』
と言うと、中年男性は
『ウルセー!さっさと行け!』と叫びます★
このまま睨み合っても埒が開かないので、車掌を呼ぶことにしました★
乗っていた車両が16号車ということもあって、すぐに車掌は現場に到着しました★
車掌は『どうしたんですか』と尋ねます★
私が事の顛末を説明すると、車掌は中年男性に本当かどうか確かめます★
中年男性は、
『・・・』
黙っているだけです★
このままだと証明するのが厄介だな-と思っていた矢先、
『この人が殴るのを見ました』
と一人の乗客が証言をしてくれました★
するともう一人の乗客も、
『あんたは悪くない、いきなりコイツが殴ったんだ』と、車掌に説明してくれました★
中年男性はまだ黙ったままです★
車掌が私に、『お客様はここでお降りになりますか』と尋ねます★
私は『はい』と答えます★
『それでは駅の事務室で今後の手続きをとって頂けますか』と説明を貰いました★
一方、中年男性はこれは思ったより大騒ぎになったと感じてはいるのは端から見ても分かったのですが、未だに沈黙のままです★
車掌は、『終点の名古屋まで各駅にパトカーを配備するように要請をかけますので、もしお体の調子が良くないようでしたら、駅職員に救急車を呼んでもらって下さい』と言われたので、取りあえず下車しました★
事務室はホームの中程にありました★
静かに引き戸を開けると、中には30才前後の駅職員がいました★忙しそうに電話の応対をしています★
暫くして後ろを振り向き、『話は聞いています、大変でしたね、救急車を呼びますか』と心配そうに私を見ています★
『いいえ、救急車は結構です。それより私を殴った相手は分かりましたか』
『まだ分かってないんです。先程の列車は次の新富士駅を出てますが、男性はまだ降りてません。これから停車する各駅で下車しましたらこちらに連絡が入るようになっています。』
『そうなんですか、それまで私はここで待たなくてはなりませんか』
『いいえ、後程こちらからご連絡しますので、警察への被害届け等はその後にお決め下さい。まずは治療を優先してくださいね』
『ありがとうございます、それではそうさせていただきます』
そう言って、私は三島駅を後にしました★
続く