獲得された絶望感(盲人ウエカジ @ウエカジハローセンター 公式ブログ)

~網膜色素変性症と司法試験とモー娘。と全盲ヘルパー事業所と・・・~

カニは横に歩く 自立障害者たちの半世紀 | 角岡 伸彦 をデイジー図書で読んだ。

2022-07-25 17:59:47 | 網膜色素変性症と私

ほーほー

先日、部落問題の後援会に参加して、その講師のカドオカさんという人はライターで、いろいろな本を出しているとのこと。その本のひとつ、重度心身障碍者の自立生活のルポ、関西お青い芝のメンバーたちのことを書いた、青春群像劇?1970年代から2000念ごろにかけての物語。カニは横に歩くを読んだ。3日ぐらいかけて読んだ。

読んだといっても、目の見えない私、。網膜色素変性症な私デスペア。目では文字は見えないので、耳で聞く読書。録音図書。その録音図書音声データを無料でダウンロードできる視覚障害者用ネット図書館、サピエ図書館でダウウンロードして2倍速で聞く。

差別解消運動といえば、部落差別の全国水平社、そして、その後の車いす脳性麻痺の重度障碍者による障碍者差別解消の青い芝の会。

脳性麻痺の重度の障碍者たちが、ヘルパーたちの力をかりつつ、乗車拒否をされたバスにのせろと、バスジャック。今では考えられないけども、車いすだバスにはのれなかったのよね。それは、スロープとかリフトとかがないからという理由ではなくて、ほかの人の迷惑になるからという理由。たしかに、車いすを固定する器具がないバスだと車いすはあぶないね。では、車いすを乗車中はおりて、座席にすわると申し出ても拒否。そもそも、車いす脳性麻痺はバスにのるなということ。いやもっというと、そんな人がバスに乗るとはその当時の人々は考えもつかなかったおいうこと。どう接したらいいかわからなかったといういこと。

ほかにもこの青い芝は、役所の障害福祉課を占拠したり、障碍者施設を占拠したりいろいろしているのね。あきらかに違法行為だけど、彼らはだれも逮捕されなかったとのこと。

これも障碍者差別。かわいそうな重度障碍者。きっと健常者が裏であやつっているにちがいないと警察。それに、こんな重度障碍者を拘置所で収容しても、扱い方がわからない。それで無罪放免。これも一種の障碍者差別だね。

この本を読んでいて、びっくりしたのは。かつて、脳性麻痺の重度障碍者、だれかの解除が必要な障碍者は、施設に入るか、家で家族が面倒をみるか、そのどちらかしかなかったということ。自分の好きな部屋をかりて、ひとり暮らしをするということは考えられていなかった。

これはおかしいということで、重度障碍者たちが、一人暮らしをはじめる。これが、大阪青い芝の会のスタートなのね。

おどろいたのは、その重度障碍者のひとり暮らしのために入るヘルパーは、みんな無償ボランティア。大学にビラをくばったりして学生ボランティアをあつめる。そして重度障碍者ひとり暮らしをする人の日中することといえば、次のヘルパーをさがすこと。ずっと電話をかけてさがさないといけないとのこと。

のちに、優勝ボランティアというのもでてくるけども、当初はまったくの無償のよう。びっくり。

そのヘルパーを派遣するために、大阪青い芝とまったく同時期に、健常者、当時は健全者といっていた、その健常者の無償ボランティアグループ、リボン、ゴリラが結成されていたのね。
当時はまだ学生運動のなごりがあって、理想とかにもえていた学生たちが多く、ボランティアとして障碍者の解除にはいっていたよう。いまだと考えられないね。だれが、無償で、障碍者の解除をすすんdでする人がいようか。制度として、ちゃんとヘルパー制度ができたので、みんなちゃんとお金をもらって働くのよね、今は。

なぜ、無償ボランティアが成り立ったかというと、障碍者が魅力的、話していて勉強になるからということらしい。それと、だれかに必要とされているっていうことに幸せ、今でいう自己肯定感を感じて無償ボランティアをやっていたよう。

だけど、このボランティアと青い芝の関係も断絶する。青い芝が、りぼんごりらを解散させる。それは、ボランティアの中に、障碍者に優劣をつけはじめたから。あの人は解除にはいるとためになる、おもしろい。でも、この人はなにもこっちにあたえてくれないつまらない。

これはおかしいということで、解散させられた。

いろいろ歴史があって興味深い。
そして、この青い芝というのは、多くの自立生活重度障碍者をだしたのかとおもいきや、大阪兵庫で、5ひとぐらいの重度障碍者の自立だけの時もあったとのこと。もっとわんさか、重度障碍者が自立していったのかとおもったけどそうじゃないのね。
まぁ、それはそうだね、だって、自分でヘルパー、しかも無償のヘルパーをみつけないと、当時は自立生活、一人暮らしができなかったんだからね。

今は、その意思さえあれば、重度障碍者は一人具暮らしはできる。ヘルパーの確保、相性のあうヘルパーを見つけるのは難しいけども、それはヘルパ派遣会社がやってくれる。

やっぱり、障碍者福祉っていうのは経済にくみこんでいく必要があるね。

この本は、はじめはいろいろな障碍者がでてくるのだけども、最後になるにつれて、フクナガとサワダの二人だけにしぼられる。最後の、夏祭りのシーンは実にいいね。ルポとも読めるし、ひとつの小説としてもたのしめる。おすすめ。
夏にこの1冊、おすすめ。

カニは横に歩く 自立障害者たちの半世紀 | 角岡 伸彦

PS
今も生きているとしたら、フクナガさんも、サワダさんも75歳ぐらい。サワダさんはいまでもホーホーと言っているのかな?

コメント
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