月曜日の朝、いつものように6時に起きてリビングへ移動するぼくに従うシェラの様子がいつもとまるで違っていた。激しくよろけそうになる身体を懸命に支えて歩き、水を飲むのも前足を踏ん張りながら、それでもなかなか思うように飲めずに時間がかかった。
明け方からベッドに上がってきて短く吠えながら訴えていた原因がようやくわかった。毎朝、夜明けどきにやってきては吠えるいつもの行動とは少し違ってはいたが、まさか、こんな姿を見せつけられようとは思いもよらなかったので驚くばかりだった。
原因はわかっていた。日曜日にほかのマンションで3階まで階段を昇り降りしたのが悪かった。日曜日はそれからも出先で散歩をして、夕方、大型電器店の駐車場にとめたクルマに向かう途中、かなりヘタった歩き方をしているのに気づいた。
夜、家では感じなかったが、朝方に前日の疲労が一気に出てしまったらしい。散歩は最低の距離で終えた。シェラ自身もわかっているのか、すぐに排泄を終えてくれた。
殊勝にも、毎朝、排泄をなかなかすませてくれずにてこずらせるムギも月曜日は早めに終えた。
この日は、家人が4月からはじめる店のプレオープンの初日だった。3月のなかばにオープン予定でいたが、地震とそれに続く原発事故で世間が騒然としていたので4月にずれこんでいた。土曜日になって、周りからのリクエストもあって急遽プレオープンを決めたのである。
結局、家人はスタッフの方々にまかせて店へ行かなかった。シェラには、以前、クリニックでもらってあった栄養剤を飲ませて様子を見ることにした。足の自由が思い通りにならなくても、気力は充溢しているのが救いである。
午後、家人に電話をかけてその後の状態を訊くと、かなり好転していた。時間の経過がそうさせたのか、はたまた栄養剤のおかげなのか、あるいはその両方のおかげなのか……?
いや、いや、シェラの気力のなせるわざであろう。
今朝の散歩はシェラがルートを選んだ。休日の朝用のショート・コースである。まだ少し歩き方がおかしい。
これからは、階段をなるべく避けなくてはならない。ぼくたち人間の何倍もの速さで年をとっているのである。そのことへの配慮を失念していた。
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