■子供と犬は雪が大好き
冬ごもりしていた虫たちが這い出してくるという啓蟄が昨日だったが、風も大気も凍えるようで、陽気はまだ真冬である。今日も都心では雪が降った。一時的とはいえ、場所によっては本格的な降り方だったようだ。東京がこれだから、相変わらず北国の雪の被害が報じられている。
ひと月前の2月8日(土)の東京は45年ぶりの大雪だった。たしかに近年、これだけの降雪は記憶にない。45年前の大雪ははっきり憶えている。社会人2年目で、当時は武蔵境に近い田無市のはずれのアパートに住んでいた。いま考えると都心の会社からよくぞ家に帰り着けたものだ。
大雪の記憶は、もう一度、昭和20年代のはじめの光景が鮮明だ。まだ物心ついたばかりのころ、むろんはじめての大雪である。子供心にとってもうれしかった。
2月8日の雪は、ルイにとってはじめての雪ではないが、去年よりもたくさんの雪なので喜び方も尋常ではなかった。犬は喜びの歌そのものである。シェラも雪となるとおおいにはしゃぎまわったから、雪が降らない年はシェラのためにわざわざ雪を求めて八ヶ岳方面まで出かけていったくらいだった。ルイにそこまでやってやる気力はいまのぼくにはない。
雪を前にしてのはしゃぎ方を見ていると、ルイはまだまだ子供だと思う。雪が降って子供と犬が大喜びする光景を見ていて、思い出したのが北海道出身の仕事の先輩の言葉だった。北大を卒業して、東京の一流出版社を定年まで勤め上げたSさんである。
「雪の中の小学校までの往復の辛さは言葉にできません。雪が美しい、雪に憧れるなどという言葉を聞くと殺意さえ覚えるほどです。雪はわたしたちにとって怨嗟の対象以外の何物でもなかったのですよ」
ぼくは相槌を打つことすらできず、ただ、うなずいて話を聞いていた。
■ラッセルなんて疲れるからね
たしかに、雪国の方々にとっては大雪に犬が喜んでいるなどという間の抜けた話は聞きたくもないだろう。こんな雪が何日も降り続き、ついには人の背丈を越えるほど積もっていけば、犬ですらうんざりし、おびえて外へ出たがらないだろう。
8日の雪がまだかなり残っているというのにさらに1週間後に降った大雪にはぼくもうんざりしていた。東京にこんなに雪が降った記憶はない。
うんざりしていたのはぼくだけではなく、ルイも同じだったらしい。8日のときは大喜びしていたというのに、二度目の雪にはもう興奮などせず、いやいや散歩に出かけた。一週間前は自分の身体が雪にもぐってもラッセルして走っていたが、二度目では人間の踏み跡をたどって積もった雪の中へ飛び込むような愚は繰り返そうとしなかった。無理やり入れようとしても、「おいら、疲れたくないんだよ」といわんばかりに新雪への突撃を拒否してすぐ戻ってくる。
異常気象ですっかり様子がおかしくなっているこの冬だったが、そろそろ春の兆しも濃くなっているのが幸いである。もう、雪はたくさんだから、早く暖かくなって気持ちのいい陽気を迎えたい。
ルイも7月で3歳を迎える。相変わらずのワンパクぶりで、毎日ぼくと女房は振り回されているが、少しずつ子供を脱皮している様子がみてとれる。春の到来とともにルイが多少は落ち着いてくれるのではないかと期待してもいる。ともあれ、春はもうすぐだ。
まるで温泉にでも入っているみたいです。
そんな大雪だったから2度目はちょっと懲りちゃったんでしょうかね?
また来年にでも降った時のルイ君の様子がどんな風か楽しみにしで~す♪v(*'-^*)^☆
今日(3月22日)の窓の外はまさしく春うらら。もう、今年の東京に雪は降らないでしょう。もっとも、高校生のとき、4月にも雪が積もったことがありましたけど。
来年も雪を喜んでくれるといいのですが、「面倒だから散歩になんかいかないよ」なんて態度だったらガッカリします。
どんな反応を示してくれるか、いまから楽しみです。